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DSCHさんのコメント: 点数順

★5パルプ・フィクション(1994/米)キャラを状況に放り込んだらどうなるかという純粋興味が最高の果実を結んでいる。サミュエルの圧倒的滑舌を筆頭に、会話劇のテンポは最早ミュージカル。サリー・メンケの編集も流石。戦禍をくぐった時計を巡る「英雄的」挿話を与太話(コーエン的な無常もない、単なる与太話)に変換する逆説的な真摯さや、駒と時制を統制して「我こそは神」と叫んでしまうあたりも、やっぱりタラちゃんカワイイわ、と思う。 [review][投票(3)]
★5トイ・ストーリー(1995/米)嵐のように荒れ狂うアンディにもみくちゃにされてもなお、貼り付けたように笑みを崩さないウッディ。土台に足を貼り付けられても頓着しない「兵隊さんフィギュア」の「作戦行動」。冒頭から催涙フラグが乱立し、全アクションから情感がだだ漏れている。制約の中でそれに頓着せず力一杯飛翔すること。更に「棄てられるものたち」に寄せる想いの強さはティム・バートンに比肩する、泣き笑い映画の傑作。(初見) [review][投票(3)]
★5蒲田行進曲(1982/日)「愛」と分かちがたい「憎」のぐちゃぐちゃが深みを与える「銀ちゃん・・・かっ・・・こいい」。愛も憎もサドもマゾも本質的には変わりないという証明。混沌とした「便宜的に愛とよばれるもの」を描いて比類ないと思う。この混沌とした極端こそ、私が映画に求めるものです。 [review][投票(3)]
★5許されざる者(1992/米)黄昏れる世界。英雄と正義(幻想)の殺害もしくは自殺。真『ヒストリー・オブ・バイオレンス』。 [review][投票(3)]
★5機動警察パトレイバー2 the Movie(1993/日)「まどろみ」を越え、柘植の「テスト」を受けて立つ特車二課の闘い。文字通り理論ずくの「青」(蒼白=虚無=「睡魔」)から地下迷宮の戦闘シークエンスの「赤」に至る色調変化に固唾をのむ。そりゃもう素晴らしいです。 [review][投票(3)]
★5バッド・ルーテナント(2009/米)奇天烈極まりないケイジに対し、ある者は怪訝そうに曰く「何だお前?」。またある者は苦笑まじりに「面白え奴だな」。全くもって同感です。イグアナがチロチロと舌を出す感じで。終始そんな感じで。イタくて愉快な「人間失格」。 [review][投票(3)]
★5バリー・リンドン(1975/米)流石ですね先生。本当に意地悪。意地悪だなあ。珍しくちょっと優しいけど。ナイス。 [review][投票(3)]
★5母なる証明(2009/韓国)ポン・ジュノはブレない。信念(母性)を嘲笑う息子(運命)。「笑い」について。『殺人の追憶』、『グエムル』を経て続く無常的運命論第3章。(左記二作とレビュー内容が一部重複し、重大なネタバレを含みます) [review][投票(3)]
★5トカレフ(1994/日)人の営みにまるで興味がないように天を目指して成長する街。反比例するように深く男を蝕む社会への苛立ちとあてどない怒り。団地という閉塞的空間で醸成される現代的リアリティが生み出すラストのアクションの圧倒的緊張感。 [review][投票(3)]
★5イリュージョニスト(2010/英=仏)失われる時代へのレクイエム。 [review][投票(3)]
★5荒野のストレンジャー(1972/米)一見整合性が取れないように見える奇妙な部分が一番の肝のように思える。誰にも(善も悪もなく)容赦ない不条理さは災害を思わせるが、それは公平さですらある。言わばイーストウッドの『ゴジラ』。本気度が窺える「地獄の業火」。 [review][投票(2)]
★5映画ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム(2015/英=仏)このところ、本家『ウォレスとグルミット』で喋らせ過ぎ感のあったアードマン、渾身の原点回帰。写真、8mmというアイテムで開幕から全力で腹筋と涙腺を壊しにかかってくるが、何より「ここにはアクションしかない」という衝撃がある。崖っ淵の攻防は『黄金狂時代』に匹敵、かつ情感まで加えて凌駕すらする。そしてアードマンの「涙」の質感はいつも僕を動揺させる。なんちゅういい映画や・・・(追伸:牧場主LOVE。)[投票(2)]
★5インターステラー(2014/米)マーフィーの法則=起こりうることは起こるー転じて、「起こりうることは起こす」。そのままノーランの映画製作の矜持なのだろう。作劇にも演出にもこの哲学が最大限・確信的に息づいている。キュアロンの『Gravity』もそうであったように、「重力」は軛でありながらそれを越える「意志」でもある。そしてアクションに意志が漲る。もう激しく好み。この情感がハッタリなら、僕は頭を丸めて映画を観ることをやめる。 [review][投票(2)]
★5WALL・E ウォーリー(2008/米)ブレードランナー』のレプリカントが写真をかき集めるように、ウォーリーは貪るようにガラクタ(人類の記憶)を集め、束の間の星空を録画(記憶)する。もちろん目と手の映画なのだが、結末を待つまでもなくこれは記憶についての物語でもある。記憶が人を形作る。人が人であることの記憶を無くした人類の誰よりも「人」として描かれる「機械」の一挙手一投足にハッとさせられる。「人が人であることを思い出せ」と。 [review][投票(2)]
★5血と砂(1965/日)アンサンブルのピースが、一つずつ、着実に、鉄の暴風で捻り潰される。それでも、最後の一人に至るまで、倒れた仲間が赴いた「あちら側」との共演が続いているかのように、「聖者の行進」のリズムは崩れず、音勢は弱まることがない。最後の一人が倒れた無音の地に、人間性への信頼と非人間性への呪詛が、尚も永劫に奏で続けられる錯覚。呪いのような祝福のような、物凄い音楽演出である。圧倒的。[投票(2)]
★5ウォレスとグルミット ペンギンに気をつけろ!(1993/英)無言のペンギンの所作の充実が凄まじく、隅々まで伝説の悪党感が漂う。この無言に対峙するアクション探偵グルミットの無言にも歴戦の猛者感があり、さながら無言のプロ同士の戦いの様相を呈している。もっとも、手練れかどうかなんて「漂わせる」だけでほとんど説明してないのがミソ。「雄弁な無言」の追求の最高峰の一つだろう。めちゃくちゃ面白い。(末尾は1歳半の娘と本作に関する余談等です) [review][投票(2)]
★5マグノリア(1999/米)クソッタレな人生達に降りかかるクソッタレな雨。この世界の「転換」なんて、むしろこんなクソッタレな形でしか起こりえないのではとさえ思う。汚濁=苦しみは汚濁=苦しみでしか流せないかもしれない、しかし必ず流せる、と静かに強く語る監督の厳しくも優しい視線。苦しみが頂点を迎える「合唱」シーンに涙腺が決壊した。これはレクイエムだろう。アルトマン後継者筆頭の面目躍如。全てが高水準だが楽曲が特筆。[投票(2)]
★5ギター弾きの恋(1999/米)俺はモートンの激可愛さで失神・・・というのは現実には嘘だが、心象の比喩という意味では誇張はゼロ。エメットはばかやろうだが、その「ばかやろうだからこそ奏でられる音楽」のほろほろした哀しさと美しさを描く説得力が凄い。しれっとした表情で放り出されるギャグや夜の光のやわらかさも全てが完璧で、ペンアレンの頭を愛をこめてギターでぶん殴りたくなる。「このばかやろう」と。宝物のような一本。[投票(2)]
★5ヒミズ(2011/日)園子温の「堕落論」。破壊される世界の不条理に対峙するに、お仕着せの美辞麗句や自己愛塗れの善意を拒絶し、怒りと自壊から始めようとする姿。否定や肯定の世界ではない。深い闇に沈潜してこそ見える光。新世界。しかし、そこには常に「コントロール」の問題が立ちはだかる。「泥」(怒り)塗れの天の邪鬼な「ボーイミーツガール」。 [review][投票(2)]
★5キル・ビル Vol.2(2004/米)復讐者に倒されることを待ち望むかのような倦怠を漂わせつつも、条件反射のように殺しの手練れが顔を覗かせてしまうマドセンの屈折が個人的には好物。その倦怠と渇きが曝されるテキサスの荒野をはじめ、情念とロケ、シーンのケレンの配合が違和感なく完璧で、半端なく高揚する。冒頭のモノクロで悶絶。ラストは勿論、妊娠発覚の下りやギャグが侵食するトレーラーの死闘も最高。 [review][投票(2)]