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DSCHさんのコメント: 点数順

★5フルメタル・ジャケット(1987/米=英)超絶罵詈雑言の乱射が誘う男根=銃・海兵崇拝と楽観的麻痺・無痛は仮想に過ぎない。「紛い物のベトナム描写」の現実感の希薄。報道のレンズ越し、「愛国ショーの出演者」という誤った自覚がそれを助長するが、それはたった数発の弾丸で粉砕される(渾身のスロー描写!)。弾を共に放つのはK先生。しかしジョーカーの諧謔とブタの愚鈍の反駁も、厚顔のミッキーマウスマーチと殺戮に魅入られる己を遂に凌駕することはできない。 [review][投票(1)]
★5ベルヴィル・ランデブー(2002/仏=ベルギー=カナダ=英)アニメーションの新古典主義宣言。 [review][投票(1)]
★5顔(1999/日)「白馬の王子様」は現れない。 [review][投票(1)]
★5スカイ・クロラ(2008/日)「閉ざされた空」との決別。 [review][投票(1)]
★5時をかける少女(2006/日)それは青春のまどろみ。希望と焦り、迷い。口に出せないもどかしさ。かけがえのない三人の夏。浮かんでは消える想い。野球ボールの美しさ。そして、果てしなく高く透明な空。醒めてほしくない。でも・・・「もうそろそろ起きなよ〜」と、すべてを予感させる何気ない台詞で物語は始まる。切ねえ!巧すぎて鼻血が出そうだ! [review][投票(1)]
★5ヒトラー 最期の12日間(2004/独=伊=オーストリア)本作が「凡庸な作品」と評される日が来ることを切に願う。 [review][投票(1)]
★5ナイト・オブ・ザ・リビングデッド ゾンビの誕生(1968/米)作り手は政治的な映画とはしていないようだが、都市伝説がその時代の人々の潜在的欲望と恐怖、罪悪感のインデックスである(押井守)ように、優れたホラーやSFもまた、意識的であるか無意識であるかに関わらず、時代と無縁ではいられない。歴史や道徳(!)の授業で、今こそ観るべき映画とすら感じる。「非常事態」のドサクサに、人間は何でもするのだ。「気が付いたら正座させられていた」娯楽映画の模範。 [review][投票]
★5メアリー&マックス(2009/豪)「人は土くれから生まれて、ウンチのような人生を終えたら土くれに還るだけ。じゃ、ウンチみたいな土くれで表現しよっか」という恐るべき達観と方法論。アードマン真っ青。一方で、ウンチに寄り添う優しさもガチなのだ。清濁併せ呑んで浸り切らないとこの味わいは出せない。正真正銘の本物。[投票]
★5監督失格(2011/日)平野と由美香。防備と防備、無防備と防備、防備と無防備。そして無防備と無防備。カメラや化粧、エゴ、立場といった鎧をせめぎあいの果てに突破する瞬間、世界の色が鮮やかに変わるのだ。悪声と小汚い画面の、色が変わるのだ。シームレスに。有り体に言うと、世界がピンク色に染まるのだ。小汚いままで。そして喪失の反転と再生と。これが恋だと言われたら、しょうがない。しょうがない。 [review][投票]
★5ウォレスとグルミット、危機一髪!(1995/英)大逆転に次ぐ大逆転の鮮やかさ。ツッコミを許さない畳みかけるナンセンス。至上の音楽(シリーズ中で最も派手)。映画の歴史への敬意と批判精神。信じられないほどの完成度。作り手の「ウインク」の乱射に耐えきれず、心のハンカチがびしょ濡れです。必見。(reviewに再見して発見したネタについて追記。『ベーカリー街』まで観たコアファン向け。) [review][投票]
★5クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲(2001/日)あの小道具で「斬られた」と感じて以降は全く抵抗出来ず、圧倒的なカタルシスに呑み込まれた。あんなモノで斬られるとは思わなんだ。あれは王様の剣。あのキャラでなければ抜けない。「ここにしかない感動」を提示する原恵一の執念の太刀さばきにひれ伏す。過去は後退する人の弱さの根拠にも、前に進む強さの根拠にもなる。両極への理解もブレず、強い。[投票]
★4シンドラーのリスト(1993/米)選んで救うこと。選んで殺すこと。あるいは無差別に殺すこと。徹底された「選別」の映画なのだが、事象の切り貼りである「映画」もまた「選別」だとすれば?選別の究極を描くと同時にスピルバーグの一つの映画論でもある気がする。このシンドラーとスピルバーグは同一人物なのだ。 [review][投票(8)]
★4ロシュフォールの恋人たち(1967/仏)導入、至極当然のように、極めてシームレスに群舞が始まる。というより、既に映画が始まるはるか前から、群舞は始まっていたのだ。人が、というより「世界」が、フレームの外でも踊っている。一片のペシミズムも曇りも濁りもない、ただただ世界に広がる幸福を映す試み。まるで世界が笑いかけているかのよう。 [review][投票(7)]
★4スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け(2019/米)「俺たちの方が速い」「行くぜ、チューイ!ハッハッハァ!」・・・何という至福。もう色々どうでもよくなりました。これはたぶん志の低い映画です。うるさ方には噴飯モノでしょう。しかしそれでいいのだと思います。チューイが共にあらんことを。全ての亡き者たちのために。 [review][投票(7)]
★4ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー(2016/米)「ところで、ジェダイが主導するSWって、実はつまらないと思わないかね?」byギャレス・エドワーズ(想像) 無名の「ならず者」が織り成すSW。敵が圧倒的に強くないと燃えないじゃないですか。綺麗事だけじゃないはずじゃないですか。当事者は仲良し優等生だけですか。そもそも戦争じゃないですか。死に痛みはないんですか。他所では佳作程度の映画かもしれないが、SWという枠組でコレをやる意気に加点。 [review][投票(7)]
★4リパルジョン・反撥(1965/英)性にとどまらない生への嫌悪と吐き気の映画だが、嫌悪は果たされない願望の裏返しとしてある。ドヌーヴの目は、閉じるわけではなく、何かを探すようにぎこちなく宙をさまよう。このオープニングからして、ポランスキーの観察と実践は嫌らしいほど精緻で説得力がある。ポランスキーの作家性の本質は五感のレイプ、「侵(犯)すこと」なのだと思う。この技巧のいけにえが、切実な「青春映画」を浮かび上がらせる。 [review][投票(7)]
★4マルサの女(1987/日)憑き物が落ちたような安堵感、もしくは呆けたような虚脱感を漂わせる山崎努の背中に「呪い」としての「欲」の本質を見る。祓えぬままに膨らむ呪いと深化する手口のデフレスパイラル。憑かれていても苦しいが、「呪い」なしにも生きられない業を茶化しながらも突き放さない主題曲やブラックユーモアの温度感がいい。演出が多少安いのは気にならない。何よりこのにぎやかないかがわしさだ。 [review][投票(7)]
★4ゴッドファーザー(1972/米)眼窩に影を落とすライティングが非常識と当時言われたそうですが、演出の必然性を考慮せずにそんなことを言い放った方に「あなたこそ非常識です」と言ってあげたい。オープニングの完成度だけでご飯何杯でもいける。「ファミリー」という言葉を前に、善悪・聖邪は境界線を失い、ついに一つに重なりあう。その描写が極めてフラットでドライであることの凄み。その分、単純な好みとして、ニーノ・ロータはやや過剰に思う。 [review][投票(7)]
★4鳥(1963/米)「理由もなく人を襲うか?」いや、「人を襲うのに理由が要るのか?」理由がないものに心と秩序を掻き乱される人間たち。理由はないはず。しかしヘドレンは災厄の中に自らへの懲罰を見出してしまう。私は鳥の声が、顔のない、個のない「マス(大衆)」の暴力と嘲笑、或いは悲鳴のように聞こえた。 [review][投票(6)]
★4タクシードライバー(1976/米)「あなたは歩く矛盾ね」。きれいはきたない、きたないはきれい・・・矛盾を平然と同居させるトラヴィスのグロテスクな「正義」。ネオンの色のように、内実をよそに、その評価は移り変わる。昼と夜、陰と陽、聖と邪、善と悪、いずれもどちらが「裏」でも「表」でもなく、不眠症の熱で潤んだ瞳の中で、ぐちゃぐちゃに混濁していく。その混沌は「街そのもの」でもある。 [review][投票(6)]