★3 | 64-ロクヨン-後編(2016/日) | 前編が「忍耐の巻」なら後編は「ブチ切れの巻」のはずが、話しが組織(警察)から個人(娘)に移行するにつれて、どんどん湿気が増してきて女々しさの洪水。いっこうに怒りの導火線に火が付かず、涙、涙のお父さんたちは、どんど焼きの炎を前にくすぶり続けるのでした。 | [投票(3)] |
★4 | 捨てがたき人々(2012/日) | どうせ欲望に抗って生きることなどできないのなら、狸穴(大森南朋)の嘘のない生こそが潔いのかもしれないが、悲しいかな人は虚飾をまとったその陰で欲望を満たしながら生きるのを常とする。ときに虚飾は愛や絆と混濁する。嘘なく生きる定めの男の無謀と悲しさ。 | [投票] |
★4 | 64-ロクヨン-前編(2016/日) | 同じ横山秀夫原作の『クライマーズ・ハイ』の新聞社内の部門間や上下の無遠慮な怒鳴り合いに比べ、今回の警察署内の「かまし合い」はさすが公務員、上意下達が徹底しているだけに陰湿(忠臣蔵の松の廊下!)で、観る側にいい塩梅にストレスがかかって心地よい。 [review] | [投票(2)] |
★2 | 予告犯(2015/日) | 派遣切り、貧困格差、引きこもり、気分しだいのネット世論と問題を提起する前半はスリリングなのだが、広げた課題の深刻さに目を向けることなく「いい友」万能で事を納めてしまう微温志向が嫌い。真摯さを欠いた安易な「まとめ」は被虐者への侮辱にも成りうる罪。 | [投票(1)] |
★4 | 孤狼の血(2018/日) | ヤクザだ、悪徳警官だ、東映だと喧伝するので『県警対組織暴力』を期待したが。まあしかたない。役所の暴走、江口の男気、真木の女気、石橋の狡猾、竹野内の千葉ちゃん、音尾の真珠、滝藤のギョロ目。北野武の「この野郎!バカ野郎!」とは違う正統派の怒号に浸る心地よさ。 [review] | [投票(4)] |
★3 | くれなずめ(2021/日) | 誰にでも覚えのありそうな共感しやすい話しなのだが、何故かしっくりこない。6人のキャラの立ち方とアンサンブルの“具合”か、シーンのトーンチェンジや、時間コラージュの“心地”の問題だろうか。作者が狙っている“曖昧さ”が曖昧さとして伝わってこない。 [review] | [投票(1)] |
★3 | 孤狼の血 LEVEL2(2021/日) | まあ「仁義なき〜」へのオマージュは分かるとして、かたせ梨乃登場で「極妻」もやるの?、と思っていたら中村梅雀の人情刑事ドラマが割り込んできたのには“なるほど”驚きました。この映画、強引というか、いささか“無理してる感”がそこかしこにある。 [review] | [投票(3)] |
★3 | ゴールデンスランバー(2010/日) | 序盤のミステリアスかつ、有無を言わさぬ青柳(堺雅人)の巻き込まれ方が素晴しく一気に期待が高まるが、主人公の身の上が「道理」ではなく「情緒」で転がり始め、おおよそこの世の出来事とは思えぬ優しさが物語をリードする。この優しさが「今」の気分なのか。 [review] | [投票(3)] |
★3 | 初恋(2019/日) | どこが「初恋」やねんと観ていたら、なんのなんの、しんみりと良いタイトルじゃないですか。90年代に香港、米国、日本を席巻した悪党入り乱れての逆転&逆転劇は三池崇史の本家返りを思わせて懐かしい。とはいえ往年のタメとキレがないのは寄る年波のせいか。 [review] | [投票(3)] |
★3 | 酔いがさめたら、うちに帰ろう。(2010/日) | いくら悲惨な状況を嘆いたところで痛みが解消される分けではない。悲惨との向き合い方を心得た女(永作博美)が見せる「ゆとり」の裏に隠された痛みに対する慣れの凄み。妻もまた夫同様、ままならぬ人生引き受ける。それは愛情を超越した達観と紙一重の諦観。 | [投票] |
★3 | SCOOP!(2016/日) | 核となるべき福山の「無粋なやさぐれ感」が芝居っぽく類型的で、からむ二階堂のキャラも上滑り。後半、怒涛の展開と裏キャラたちで懸命に巻き返すも、すでに手遅れ。「憎み切れないろくでなし」は簡単なようで、役者の素のイメージに左右されるので難しいのです。 [review] | [投票(4)] |
★3 | クライマーズ・ハイ(2008/日) | 突如起こった大事故が、停滞した地方新聞社に覚醒を引き起こす。呼び覚まされたのは使命感とその裏に潜む虚栄心。そして、過去の誇りという名の化石化したもうひとつの虚栄心。社会的使命と人間的欲望が二転三転しながら、妬みあい、怒鳴りあうさまが心地よい。 [review] | [投票(8)] |
★3 | 愛の渦(2014/日) | はたして理性は性交の妨げになっているのか、その秘匿こそが「一年中発情期」という生物的に恥ずべく異常性欲の源なのか。そんな矛盾を人は「人間らしさ」と呼ぶことで獣との一線を引いて痩せ我慢をしているわけで、その可笑しさと悲しさがいまひとつ響いてこない。 [review] | [投票(3)] |
★3 | 許されざる者(2013/日) | 渡辺と佐藤の芝居は存分に「ベテラン芸」を魅せ、柄本と小池は想定の域を出ないもどかしさがあるものの、柳楽と忽那の難読コンビが新境地らしき「新鮮」をみせる。笠松則通の鈍重な画は撮影賞もので、今の邦画界の正統的水準を高レベルでクリアする教科書映画。 [review] | [投票(1)] |