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[POV: a Point of View]
時代の痕跡ーATG公開作品(70年代日本映画篇)

乱舞。真摯なる攻撃。
C★2鉄砲玉の美学(1973/日)本来はもっとデリケートな話だと思うのだが、ただただ怒鳴るだけの渡瀬の一人芝居は類型的で地に足つかず、鉄砲玉の心の揺れなど一向に立ち現れない。冒頭の欲と消費のイメージや、飼い慣らされたウサギ、「頭脳警察」も融合せず目指す世界観が実を結ばない。投票
C★0讃歌(1972/日)
C★0午前中の時間割り(1972/日)
C★0音楽(1972/日)
C★0鉄輪(1972/日)
D★5田園に死す(1974/日)演劇の舞台装置、すなわち架空の構造物と色彩による空間の一回性と、映画の特質、すなわち時間コントロールによる時の多層化、そして短歌、すなわち古典的の固定様式性。以上が奇跡的に融合した傑作。突如、雛段飾りが流れてきた時には、私は完全に居場所を失った。投票(7)
D★4竜馬暗殺(1974/日)モノクロームの中に充満する男(原田)と女(中川)の、そして男(原田)と男(石橋)のエロティシズム。それは、死と隣り合わせでいながら生きることを強いられる若者たちが必然的に放つ体臭だ。だから右太(松田)は、同じ臭いの前で犬のようにたじろぐのだ。投票(2)
D★3ねむの木の詩(1974/日)岡崎宏三のカメラが、上質な絵本のような世界を見せてくれる。砂丘の向うに拓けた大海の輝きと子供達の瞳のきらめきが印象的。投票
D★3キャロル(1974/日)
D★2卑弥呼(1974/日)きっとパゾリーニをやりたかったのでしょう。残念ながら篠田正浩はそのセンスどころか、自分のスタイルすら確立できない一発屋でしかないことを自ら実証してしまいました。投票(1)
D★0あさき夢みし(1974/日)
E★5祭りの準備(1975/日)何かに立ち向かう青春は、たとえ敗れはしても美しくすがすがしい。何かを捨てる青春は、卑怯であり醜くもある。何から逃げ出す青春は、ぶざまであり見苦しくもある。しかし、まず捨てて、そして逃げ出さなければ、立ち向かうものが見えてこない青春もある。投票(9)
E★4本陣殺人事件(1975/日)高林陽一が創りだす明と暗の妙味。陽炎立つ葬儀のまばゆさと、春雪に見舞われた婚礼の薄暗さが名門一柳家の運命を象徴して哀れ。逆光に輝く水しぶき、琴の弦、そして鈴(高沢順子)の瞳のカットバックに、本陣の旧家に秘められた情念を感じる。 投票(2)
E★4ある映画監督の生涯―溝口健二の記録(1975/日)溝口への尊敬からなのか、女優としてのプライドなのか、新藤の追及に懸命に抗弁する田中絹代の頑なな表情が追い詰められた子供のようで印象的。溝口を誉めそやすばかりの登場人物の中にあって、その弱点を大らかに語る増村保造の指摘にも納得する。 投票(4)
E★4吶喊(1975/日)戊辰戦争。近代日本の入り口。動乱期に生きる若者を伊藤敏孝岡田裕介がパワフルに好演。ふたりのスタイルや価値観は違っていても向かうところは同じ未来。投票(2)
E★3鬼の詩(1975/日)桂馬喬の薄気味悪い猛進ぶりを福團治が好演するも、その芸が鬼気の頂点へと登り詰めて行く各ターニングポイントのエピソードが、全て言葉で語られるだけで映画の迫力が半減している。見せるべきは奇芸ではなく、そこへと至る説得力ある物語のはず。投票
F★5青春の殺人者(1976/日)東京近郊の半都会という半端な土地にこびりつく「家」の呪縛。庇護という蜜の仮面の下の支配という憂鬱な粘膜。マスターベーションが大人へのトンネルの入り口なら、親殺しは出口。ちゃんと親を殺せないガキはいつまでも甘ったれた「青春」を引きずり続ける。投票(6)
F★3金閣寺(1976/日)ひとつひとつのエピソートが丁寧な映像と印象深いセリフで積み重ねられ、さながら金閣と溝口(篠田三郎)をめぐるオムニバス映画のような面白さがある。皮肉にも、その分クライマックスの放火と炎上シーンの印象が薄くなってしまった。投票(1)
F★2日本人のへそ(1977/日)あまりの貧相なできに、日本には歌謡映画はあってもミュージカル映画というジャンルは成立しないということを初めて知った私にとって記念すべき映画。投票
F★2任侠外伝 玄海灘(1976/日)近藤(安藤昇)、沢木(宍戸錠)の腐れ縁はご都合主義的形式でしかなく、田口(根津甚八)の自棄にも凄みも悲しみもなにもない。つまりは、物語に背景と軸が存在せず、これでは韓国女(李礼仙)が有機的にからむ余地がない。投票(1)
●未登録作品『鴎よ、きらめく海をみたか めぐり逢い』『新・人間失格』『君はいま光のなかに
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このPOVを気に入った人達 (5 人)tredair 華崎 町田 ペペロンチーノ マッツァ