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disjunctiveさんのコメント: 点数順

★4空中庭園(2005/日)表現への乾いたプライオリティが板尾創路の徳を発見できても小泉今日子に悲嘆の実体を見出せない。かかる洒脱はむしろ記憶改変という様式への興味を取っ掛かりにして女の情緒に近接を試みる。[投票]
★4永い言い訳(2016/日)モックンの、造形の全体像を把握させてくれない実体のなさを放任するのは勇気なのか。彼が酒乱だから変化するのではなく、錯乱した様を可能にするために酒乱が設定される。 [review][投票]
★4Mの物語(2003/仏=伊)ベアールがアレにしては彼女の視点に没入できるイレギュラーである。アレであることが事を現世化して専業主婦の孤独と混線してしまう。 [review][投票]
★413/ザメッティ(2005/仏=グルジア)プロのオッサンらとの対比が、アマチュアの若者を貶めるのではなく、彼らの手練れが事に屠殺場のような機械的特性を与えることで、若者に当事者であることの誉れがもたらされる。 [review][投票]
★4フォンターナ広場 イタリアの陰謀(2012/伊=仏)眉間の皺を寄せまくるスーツのオッサンらが愛らしいフィアット500や600から出てくる脱力。あるいは、超ドメスティックな題材がテーブルランプとデスクライトしか光源のない劇画調で叙述される質感と格調の錯誤。 [review][投票]
★4イノセント(1975/伊)ジャンニーニが被っていたストレスを見誤らせる方策が結末の唐突さを導出している。あの顔芸がテストステロン分泌の単なる記号だと思い込まされてしまうのだ。 [review][投票]
★4有頂天時代(1936/米)障害物設定の重奏でこれでもかとため込まれる、あの変態機動を速く見せろという欲求不満の強度が受け手の関心をアステア当人の身体に凝集させる。 [review][投票]
★4三重スパイ(2004/仏=ギリシャ=伊=露=スペイン)爛熟期を迎えた人妻の肉体に母性のまなざしを見出せてしまったとき、エスピオナージュの児戯が露呈してしまう。 [review][投票]
★44デイズ(2010/米)家族に傾注するマイケル・シーンのテロリスト像は娯楽作劇としては都合がよいとしても、社会小説を希求する際には、単身者の婚姻困難がテロの大きな動機になっている現実とズレてしまう。 [review][投票]
★4題名のない子守唄(2006/伊)並走する追うことと追われることが互いに緊張を引き立てるのではなく、むしろ足を引っ張り合っている。過去が収束して整理されないと、追及されている情が賞味できないように思われる。 [review][投票]
★4鑑定士と顔のない依頼人(2013/伊)結末の悲酸が自明であったとしても、ジェフリー・ラッシュへの同情によって、その悲酸の形態がいかなるものになるか興味が持続してしまう。ところが事が予想通りの悲酸に達し、嗚呼と嘆じながらカウンターに目をやると、尺が不自然に余っているのである。 [review][投票]
★4家路(2001/仏=ポルトガル)初出では視線を合わせようとしない、やりすぎた文弱演技で沸かせるマルコヴィッチが、現場に入ると寄り目でミシェル・ピコリを追い込んでしまう。その視姦によってメタボ腹の脂質を液状化されたミシェルは軟体化した豚のように寝椅子と融合する。 [review][投票]
★4ブロンド少女は過激に美しく(2009/ポルトガル=スペイン=仏)女の矯激は、男の背後から窓向こうの女を補足するといった、多重の構築物のフィルタリングによって、常に客体化の危機にさらされている。抽出されるのは「莫迦じゃなかろうか」と嘆じさせずにはおかない矯激の奇特な振る舞いである。 [review][投票]
★4シング・ストリート 未来へのうた(2016/アイルランド=英=米)キャラがボケ役ばかりで、かつ彼らの天然が下心不能ゆえに善意と解釈されている。人格者の集団が人徳で組織を円滑に運営する人知主義のユートピアは波乱を起こさない。 [review][投票]
★4彼は秘密の女ともだち(2014/仏)アナイス・ドゥムースティエには自意識に汚染されていない少年のような屈託のなさがある。屈託のなさゆえに初見では平然とダヴィッドを変態扱いするのだが、すぐに全性愛の本能が発揮されてクローゼットの前でキラキラする。 [review][投票]
★4三姉妹〜雲南の子(2012/香港=仏)状況の切り取り方に恣意性があるのは当然だとしても、家族構成の不審に受け手の関心を誘導する手管が語り手の恣意を隠しきれない。後背のロケーションが広漠であるから、状況が切り取られていることが余計意識される。 [review][投票]
★4サイの季節(2012/イラク=トルコ)ブルジョワのイケメン詩人と金のない汚らしいオッサンを対比させておいて後者をヒール扱いするのでは共感の行き場がない。現代編ではこの立場が逆転してるから共感の誘導が余計に錯綜してくる。 [review][投票]
★4ペーパー・チェイス(1973/米)学力の遺伝的条件が悲劇として扱われるのではなく、むしろ天与のもたらす幸福への戸惑いの方に言及がある。このフワフワしたつかみにくい感じは、ハウスマンとの距離感を自在に伸縮させ緊張の源泉となっている。[投票]
★4インサイダーズ 内部者たち(2015/韓国)最初からアレができないのかという慨嘆が、それを合理化しようとするあのオチを以てしても拭えないと思う。仕掛けたオチが爆発するまでの潜伏期間が短すぎる。 [review][投票]
★4天使の眼、野獣の街(2007/香港)アイドルを無能と解釈する作品観が、鼻の下の伸長を禁じえないケイト・ツイのアイドル映画をレオン・カーフェイの生き様の物語にする。 [review][投票]