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町田さんのコメント: 点数順

★4ジェラリ(2003/チェコ)すっかり大人の女性に成長したA・ガイスレロヴァーよりも、ハンガリー俳優ギェルギ・ツェルハルミ の穏やかな存在感が光る戦時大河ドラマ。チェコ伝統の反ナチ映画と思いきや、ソ軍パルチザンも殆ど同等の無法者として描かれており、現在のチェコ人の歴史観を窺う上で興味深い。製作者としての方がより有名なトロヤンだが、柔らかな光の使いには余裕さえ感じられた。[投票]
★4新しい毎朝をありがとう(1994/チェコ)絵日記を模した構成の妙味や、「プラハの春」以降の抑圧の歴史を把握しきれぬ日本人にとっては、頑固なウクライナ親父を演じたフランチシェク・ピエチカの個性が全てだろう。後半少しだれるが、前半はけっこう笑える。客席の現地人たちが爆笑していたのが印象に残った。[投票]
★4大通りの商店(1965/チェコスロバキア)藤原釜足似ヨゼフ・クロネル と老婆イダ・カミニスカの実在感が圧倒的で、ワンシーンを入念かつ丁寧に描く舞台的演出は、首に巻かれた真綿のように、徐々に緊張を増してゆく。ズデネク・リシュカの不条理系音楽も実に印象的。光の使い方もとても巧いと思う。ガラス工芸の国だけある。[投票]
★4スクラップ・ヘブン(2005/日)ルールやマナーを糞溜に蹴散らしつつも、その真ん中には確固たるモラルを屹立させる、この手の映画はやっぱり好きで、李相日よ、遅れ馳せながら、あんたに出遭えてよかったよ。 [review][投票]
★4十月(1928/露)サド曰く、全ての人民は専制を待望する。英雄崇拝は隠蔽と統制の起こりであり、ソビエト社会主義は建国から僅か十年で、当初の理念を放擲したかのようだ。この馬鹿らしくも絢爛たる国家的記念事業の中で、俺が見出し得たのは唯一、東欧実写アニメへの萌芽であり、それは即ち、相対するナポレオン、破壊され復元される皇帝像、玉杯とエルミタージュの幻想たちに他ならない。 [review][投票]
★4ストライキ(1925/露)クレショフ経由の米喜劇的軽妙さが、徐々にシビアに、ハードに足取を変えてゆくことの妙。単なる資本家批判に留まらず、働く意思を持つ者と、持たざる者を明確に区分している点は、現代日本にも有用で、正にソ連映画の原典、労働者映画の鑑と云える。レモンや牛や、子供に対する呵責無き描写には驚嘆。 [review][投票]
★4ヌーヴェルヴァーグ(1990/スイス=仏)市場経済論理に対する懐疑と、愛・連帯・労働への回帰を謳った、作者としては比較的判り易い作品だが、三木谷やホリエが観れば二重の意味で「どうしてもわからない」と云うだろう。ただ私にとってもルプシャンスキの映像、即ち翳と光の明瞭な境界線、それと平行に滑るカメラ、穏やかで豊かな波の揺り戻し、が全てで、ラストは詩情と希望に溢れる。 [review][投票]
★4勝手にしやがれ(1959/仏)遅れて生まれて来、あらかじめすべてを告知された俺にとってはむしろ、うら若きゴダールとトリュフォーの、ここで垣間見せる、省略とリズムの不徹底こそが、逆説的な魅力となって輝くのであります。「人生最大の野心は?」「不老不死になって死ぬことだ!」Trop bleu mais tres bien![投票]
★4ママと娼婦(1973/仏)軽く脆弱な主人公と薄暗く重たい画面。ユスターシュは女を美しく撮ろうとなんざこれっぽちも考えちゃあいない。ひどくグロテスクだ。そして男は術中に嵌る・・・。[投票]
★4ニーベルンゲン 第一部 ジークフリートの死(1924/独)巨龍ファーブニルや妖精王アルベリヒの隠れ蓑、ブリュンヒルトの炎他、特殊撮影の気合が凄い。悪役ハーゲンの造型も悪くない。ピアノ伴奏付きで観たのだが、どうせならフルオーケストラで観たかった。贅沢だろうか。 [review][投票]
★4旅役者(1940/日)直木賞候補作の成瀬自身による脚色だが、落語みたいな面白さのある小話である。少し前ならエノケンが演じてたろう役所を藤原鶏太が好演。床屋役の中村是好もいい味を出してる。 [review][投票]
★4小学校(1991/チェコスロバキア)操行ゼロ』『大人は判ってくれない』の系譜は世界中に拡散し、この作品もそうして生まれたのだろう。人情コメディ、艶笑コメディとして面白く、当時のチェコの戦争の傷跡も窺える。大人たちの瑕疵を不問に付したまま子供の成長を綴る物語構成には優しさが溢れ、スビエラーク親子の結束を感じさせた。本当に仲がいいんだろう。[投票]
★4ファウスト(1926/独)独逸表現主義が登り詰めたマッターホルン、映像編集魔術の喪われた秘法、それは疑いようもないのだが、宗教色がやや煩く思え、やはり俺はカール・マイヤーの心理劇だと確認す。E・ヤニングスのメフィストは怖いんだけど何処かコミカル(水木しげるソックリ)で、オバサンに追いかけられる場面など本当可笑しい。怒ってる表情にも鼻息が目に浮かぶ。 [review][投票]
★4チェス狂(1925/露)チェス板、ネコの使い方は絶妙。モンタージュによる「かぶせ笑い」の古典的真髄。[投票]
★4スピオーネ(1928/独)筋立ての大雑把さとメロドラマの安さ、ハルボウの政治主張(反共・国防)が奇跡的なバランスで融合、装置に頼し過ぎない軽快な娯楽作品が生まれた。ラングは渡米後、と仰る諸兄も、これならお気に召すでしょう。『007』に至る国際スパイ映画の基礎がギュウギュウに詰まってます。 [review][投票]
★4炎628(1985/露)私の居た劇場も燃え上がる怒りの炎に包まれていたと思う。リアリズムと幻想性、直情と詩情の配分が申し分なく、長尺を忘れさせる密度の濃さにも圧倒される。ラストはやはり宣伝めくが、煩いほどでは無い。[投票]
★4噂の娘(1935/日)この劇に登場する人物は、其々に性格も考え方も異なるが、しかし、皆一様に焦っている。何かに追い立てられている。それは何故か。たぶん昭和十五年という時代がそうさせたのだろう。 [review][投票]
★4雪崩(1937/日)不自然さの意図。 [review][投票]
★4ライフ・イズ・ミラクル(2004/ユーゴスラビア=仏)鉄道敷設に沸く山村を舞台にしたお得意の集団劇から、戦時下の家族ドラマ、個の恋愛ドラマへと収斂してゆく物語構成は、単に面白いというばかりでなく、作家エミール・クストリッツァの今後を占う上でも大変興味深い。 [review][投票]
★4ザ・ミッション 非情の掟(2000/香港)昔の東映時代劇に『忍者狩り』というのが在って、この映画の設定はそれに似ている。そのことと、サブタイトルから推して、さぞや非情な結末が待ち受けるのだろうと期待したが、どうも肩透かしを喰ってしまったようだ。それでもここに描かれる男たちが魅力的であることに変わりはない。黒服に身を固めた彼らの立ち居振る舞いや善し。[投票]