3819695さんのコメント: 点数順
あこがれ(1957/仏) | 瑞々しい細部を配しつつ、語りには老練とさえ云えそうな手つきも窺え、ここにはやはりトリュフォーのエッセンスが詰まっている。最高の自転車シーン。ベルナデット・ラフォンの衣裳の変遷。少年たちの遊戯。競技場(?)の大俯瞰。「壁」と「手紙」の機能性。リュミエール『水をかけられた水撒き人』の引用も。 | [投票(1)] | |
グーグーだって猫である(2008/日) | 「ねこ」の、ではなく「吉祥寺」の映画。とりあえずやりたいこと詰め込んでみました的&「町」の固有性を顕揚する態度はヌーヴェルヴァーグの諸作を連想させぬでもないが、素直に見れば空回りの感は否めない。『地下鉄のザジ』な追いかけっこであるとか。小泉今日子はすばらしい。 [review] | [投票(1)] | |
ブルークラッシュ(2002/米=独) | 妹の扱いや「王子様」の王子様ぶりなどキャラクタ配置が雑でもドラマが成立するのは物語の定型を崩していないから。波乗り撮影は現代的なアクション映画の作法に則っている。細かく繋いだショットで畳み掛け、高速度撮影で見せ場を引き伸ばす。波を回り込んで撮るなど近距離のショットは迫力があるが、決定的なロングがほしい。 | [投票(1)] | |
崖(1955/伊) | 現在日本で流通しているプリントがすべてそうなのかは知らないが、とにかく私が見たのは91分版で、やはり本来あるべき場面が多く省略されているという印象を覚えた。リチャード・ベースハート/ジュリエッタ・マシーナ夫妻の顛末描写が半端であり、反面ブロデリック・クロフォードに焦点を絞っていく仕方もぎこちない。 [review] | [投票(1)] | |
サーカスの世界(1964/米) | 題名が示すとおりのサーカス映画でありながら、冒頭から「西部劇」のハイライト集を披露。さらには「海洋パニック」で物語を大きく転がすという地味に大胆な作劇・演出がうれしい。ジョン・ウェインとクラウディア・カルディナーレはともに絶頂時の七割ほどの魅力を発揮していて、じゅうぶん満足。 [review] | [投票(1)] | |
ロレンツォのオイル(1992/米) | 邪推かもしれないが、よい画を撮りうる撮影者に向かって演出家が妙な指示を出していたのではないか。感動的なお話だとはもちろん思うが、もっとオーソドックスなショットのみで語り、スーザン・サランドンとニック・ノルティには抑えた演技をさせるべきだったろう。演出家自身が物語の強さを信じていないように見える。 | [投票(1)] | |
カプリコン1(1978/米) | 「現実と虚構」「メタ映画」のテーマを掘り下げる道もあったろうが、それは中途で振り捨ててアクション映画に舵を切ったのはハイアムズの構築力の程度を鑑みれば正解だろう。頑張って航空映画をやっている。テリー・サヴァラスのようなキャラクタを登場させるのも好感が持てる。 [review] | [投票(1)] | |
アウェイ・フロム・ハー 君を想う(2006/カナダ) | ジュリー・クリスティと「雪」の相性のよさ。雪を背景にした画面でのクリスティには思わず息を呑むほどの美しさがある(あんなにおばあちゃんなのに!)。被写体と正対したショットが残酷かつ滑稽で、作家サラ・ポーリーのスタンスを示している。「余情」を生むに当たって高速度撮影とトラックダウンを多用するのは安易か。 | [投票(1)] | |
アクロス・ザ・ユニバース(2007/米) | 積極的に悪い映画ではないと思うが、なんともダサいというか志が低いというか。要するに、この映画が目指しているのは「観客の知識に頼った面白さ」であるということ。それは観客に対する阿りであり、「映画ならではの面白さ」では断じてない。心おどるダンスシーンがないことも不満だ。 [review] | [投票(1)] | |
刑事マディガン(1968/米) | シーゲルにしてはちょっとタルい。ヘンリー・フォンダをこの程度にしか使えていないのも不満(せっかくのフォンダとリチャード・ウィドマークの共演作なのだから、ウィドマークと悪役フォンダの真っ向対決を見たかった)。しかしアクションシーンはさすがに凄い速度&迫力だ。特に紙袋拳銃は最高。 [review] | [投票(1)] | |
パラノイドパーク(2007/仏=米) | (悪い意味で)感性だけで撮っているような。演出の放棄か。高速度撮影の氾濫。「とりあえず高速度撮影しとけばなんかソレっぽくなるだろ。クリストファー・ドイルは綺麗な画撮ってくれるし」以上の何かがあるようには思えない。実際画は綺麗。綺麗すぎて嫌。自転車でスケボーを引くシーンなどはちょっとよい。 | [投票(1)] | |
あなただけ今晩は(1963/米) | 演出がせせこましい。やはり脚本本位の映画に思える。終盤の展開の無茶苦茶さえ「頭で考えた無茶苦茶」の域を超えていない。しかしセットの質感と暖色系の色彩設計はすばらしい。これはアレクサンドル・トローネの映画だ。これが「映画」のパリだ。酒場の地下室や昇降機といったアイデアも馬鹿げていてよい。 | [投票(1)] | |
雪の喪章(1967/日) | 残念ながら私の見たプリントはすでに退色により赤みが強くなりすぎており、色彩や照明に関して評価を下すことはできない。「雪」が画面と物語の基調をなすこの映画においては、その「白」の禍々しさこそが命であったはずだと思われるのだが。 [review] | [投票(1)] | |
みなさん、さようなら(2003/カナダ=仏) | 「親子関係」「個人の死」「知性/イズムの末路」等を多重展開する物語の構造が要請する以上にスノッブな爺。チャーミングさが足りず愛せない。葛藤の絶対量も少ない。淡々としている。それは場合の如何を問わず映画にとって致命的な欠点である。猥談はじめ会話も面白味を欠く。都市の夜間撮影などはまあまあか。 | [投票(1)] | |
マイノリティ・リポート(2002/米) | 筋金入りの映画馬鹿スピルバーグは単なる一技法に過ぎないはずの「フラッシュ・フォワード」を主題にまで押し上げ、身の毛もよだつほどの視覚至上主義を展開する。視覚に対する絶対服従宣言が全篇を貫いているという意味において、これは感動的に「映画」である。 [review] | [投票(1)] | |
タイトロープ(1984/米) | 「性的なだらしのなさ」というイーストウッド的キャラクタの特質を軸に刑事=犯人という『ダーティハリー』的「分身性」の主題をイーストウッドらしからぬ円満な父娘関係のうちに展開させたところがユニック。ブルース・サーティースのカメラは申し分ない。またアリソン・イーストウッドがよい。「顔面」の悪夢的イメージも。 | [投票(1)] | |
ブローニュの森の貴婦人たち(1945/仏) | 中〜後期ブレッソンの厳しさ・暴力性がない代わりに、この映画は実にきめの細かな画面を持っている。だが私は何よりも中盤エリナ・ラブルデットがアパルトマンで乱舞するシーンを愛する。こんなダンスの撮り方は見たことがない! | [投票(1)] | |
イタリア旅行(1953/伊=仏) | むろんすばらしい。が、自然光についてはまだ繊細に扱う余地があったように思える。また、イングリッド・バーグマンとジョージ・サンダースの不仲はもっと容赦なく描いてほしい(このニュアンスこそが重要だというのは理解するし、バーグマンのいじらしさはよく出ているが)。車窓ショットは確かに『勝手にしやがれ』だ。 [review] | [投票(1)] | |
実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(2007/日) | どうしても「テレビ的」という語が頭に浮かんでしまう。それは画面に映画(フィルム)らしい艶が希薄なことと、再現ドラマ的な情報提示の形式(=「実録」)のためであるが、それがどうしたと云わんばかりの力強さに溢れた映画でもある。 [review] | [投票(1)] | |
失われた週末(1945/米) | 好悪はあるにしても、レイ・ミランドは熱演と呼ぶにふさわしい頑張り。しかし演出には厳しさが足りない。ひたすらアルコールを求めるミランドが微笑ましくも見えてしまう。「影」に対して意識の高さを見せる撮影はよいが、主観ショットや超接写の使い方はちょっとダサい。 [review] | [投票(1)] |