3819695さんのコメント: 点数順
砂漠の流れ者(1970/米) | 「西部劇」が終わる時代、砂漠に生きたひとりの男の生き様がささやかな伝説のように語られる。嘘のように幸福な時間と、その結末。「西部」への鎮魂歌「ケーブル・ホーグのバラード」。 [review] | [投票(1)] | |
天国の門(1981/米) | 二一九分版。水面・雲・煙・炎といった定まった形を持たないものをどう撮るかに撮影者と監督の力量は端的にあらわれる。そのようなわけで、パラノイアックでさえある画面の完成度の高さは云わずもがなであるのだが、音響演出も一級品だ。 [review] | [投票(1)] | |
女の中にいる他人(1966/日) | これだけ綺麗だと殺されるのもむべなるかなって感じだよね、なんとなく。などと論理不明瞭かつ無責任きわまりない言葉を呟かせてしまう若林映子の美貌はむろんこの映画にとって瑣末な細部でしかなく、真に見るべきは過剰演出家としての成瀬の姿だろう。 [review] | [投票(1)] | |
歌行燈(1943/日) | 桁外れの傑作。この映画の中盤の特訓シーン及びラスト・シークェンスを見れば、成瀬巳喜男が孤高の映画作家であり、溝口・小津と肩を並べる大監督であるということがよく納得できるはずだ。凄すぎる。 [review] | [投票(1)] | |
いぬ(1963/仏=伊) | ジャン=ピエール・メルヴィルこそフランス映画史上最も発砲の演出に頭を使った監督かもしれない。メルヴィル以上の発砲を見せてくれる監督はアメリカにさえ数えるほどしかいないのではないか。 [review] | [投票(1)] | |
ベルヴィル・ランデブー(2002/仏=ベルギー=カナダ=英) | ユーモア溢れる数々の奇抜な着想。きわめてユニックなキャラクタ・デザイン。緻密な作画。アニメーションにのみ可能な躍動と活劇の追求。文句なしの傑作だ。音楽もすばらしい。音の定位の適切さにも特筆すべきものがある。 [review] | [投票(1)] | |
バルカン超特急(1938/英) | ホテルでの群像劇に始まり列車ミステリを経て銃撃戦へと至る。列車における空間演出が驚異的であることは云うまでもないが、銃撃戦にはまるで西部劇のような呼吸を感じるし、奇術師との取っ組み合いにはスラップスティック・コメディの馬鹿馬鹿しさまでが漂っている。ヴォリウム満点の大傑作。 | [投票(1)] | |
モダン・タイムス(1936/米) | ポーレット・ゴダードは快活な現代的美人で非常によいのだが、映画としてはゴダード登場以前のシーンが傑出している。 [review] | [投票(1)] | |
キートンの大列車追跡(1926/米) | 傑作中の傑作。キートン自身のアクションの過剰さという点では『セブンチャンス』をはじめもっと他に優れた作品があるだろうが、「列車」をお題にしてとめどなく繰り出されるギャグの数々には、思わず「史上最高の列車映画!」などと無責任な言葉を口走らせる力がある。 [review] | [投票(1)] | |
リオ・ロボ(1970/米) | 安定感と驚きを難なく両立させてしまうホークス演出には、賛辞の言葉がいくらあっても足りない。 [review] | [投票(1)] | |
霧につつまれたハリネズミ(1975/露) | 『25日 最初の日』のエモーション、『ケルジェネツの戦い』のカメラワークとカッティング、『狐と兎』の素朴さとかわいさ、『あおさぎと鶴』の風景描写、過去作の美点を受け継ぎ、同時にそれらを遥かに凌駕している。まさにノルシュテインの集大成。 [review] | [投票(1)] | |
パラダイスの夕暮れ(1986/フィンランド) | 私にとって最高の恋愛映画。マッティ・ペロンパーは私だ。いや、残念ながら私はペロンパーほど美しくはない……。 [review] | [投票(1)] | |
過去を逃れて(1947/米) | 都市の情景や屋内の陰影もすばらしいが、特筆すべきは木々や水辺のイメージの豊かさ。私にはそれだけでじゅうぶんです。 [review] | [投票(1)] | |
父ありき(1942/日) | 川釣りにおける笠智衆と佐野周二のアクションの奇跡的な一致と反復。 [review] | [投票(1)] | |
素晴らしき放浪者(1932/仏) | まずミシェル・シモンの傍若無人な振舞いに目を奪われ、その自由な演技に喝采を贈りたくなってしまうのは仕方がないとしても、単にそれだけの映画だなんてことはもちろんない。 [review] | [投票(1)] | |
浮草物語(1934/日) | 暗闇の中、画面奥からぬっと迫ってくる列車。列車から降りて画面中央に固まる一座に降り注ぐ照明。冒頭のこの圧倒的な夜の情景に、はやくも傑作であることを確信できる。 [review] | [投票(1)] | |
出来ごころ(1933/日) | 概して「喜八もの」は、単なる人情喜劇として見るにはシリアスに過ぎる。 [review] | [投票(1)] | |
ウォレスとグルミット、危機一髪!(1995/英) | 『ウォレスとグルミット』シリーズは「乗り物」の映画である。『チーズ・ホリデー』ではロケット、『ペンギンに気をつけろ!』では列車(とメカズボン)、そして本作ではバイクとトラックに加え、まさかの飛行機までが登場する。 [review] | [投票(1)] | |
ナモの村落:駕籠から撮影されたパノラマ(1900/仏) | 完璧な映画だ。ここ一二〇余年で最大の感動作である。などと云う人がいたとして、私はその者を狂人とは思わない。むしろ握手を求めるだろう。ガブリエル・ヴェールはその履歴がために記憶されるべき存在ではない。アレクサンドル・プロミオさえ凌駕し、ルイ・リュミエールにも匹敵する天才的な撮影者だ。 [review] | [投票] | |
あの夏の子供たち(2009/仏) | ジョナサン・リッチマン“Egyptian Reggae”で始まるタイトルバックからすでに傑作。「移動」と「会話」の映画だ。人間を描くとは、その不在を描くとは、つまりこういうことだ。全人物の全所作が愛おしい。とりわけアリス・ゴーティエの躍動は永遠に記憶に留めたい。人生はかくも厳しく、かくも勝手に前進する! | [投票] |