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★4皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ(2015/伊)米国を中心に時めく、漫画に基礎を置いた超人英雄譚の写実主義風新規解釈。その伊国版と、ひとまず大雑把には云えるだろう。ここでまたぞろ顧みられ、映画史的な意義がいよいよ瞭らかになるのは、かくのごとき後続に道を拓いたM・ナイト・シャマランの二〇〇〇年作『アンブレイカブル』の先見性である。 [review][投票(2)]
★4セールスマン(2016/イラン=仏)冒頭タイトル明けのロングテイク、このアパートメント倒壊騒ぎの問答無用に激烈な昂りはいったいどうしたことかしら。単に作劇上の機能と解するだけでは事足りない過剰ぶりで、以降がいかにもアスガー・ファルハディ的な技巧と企みに満ちたストーリテリングを保つだけに、思い返していっそう異様である。 [review][投票(2)]
★4イップ・マン 継承(2015/中国=香港)「時代劇と現代劇の中間に舞台を置き、成熟した人格を備えた妻帯者を演じる」などというのはドニー・イェンの作品歴において傍流に過ぎなかったはずだが、やはりこのシリーズこそ彼の代表作だろう。傑作『カンフー・ジャングル』の流れを汲み、ほとんど姉妹篇とも云えるが、クォリティも負けず劣らずだ。 [review][投票(2)]
★4ある精肉店のはなし(2013/日)「瞬間」を捉える嗅覚に並外れて優れた撮影・録音スタッフや、カット間・シーン間・シークェンス間いずれの構成力にも長けた天才的な編集者でも擁するのでない限り、ドキュメンタリ映画が成功を収める鍵は「題材」ではなく「人物」が握っている。被写体たる人物の魅力が映画の面白さに直結する、はずだ。 [review][投票(2)]
★3五日物語‐3つの王国と3人の女(2015/伊=仏)ヴィジュアルが作り込まれた突飛な道具立てを用いて普遍的な心理心情を語る企画趣旨は承知するとして、それが私たちの共感を誘いすぎてしまうのは考え物だ。もっとノンシャラン顔でリアリティを無下にしてほしい。その点で「トビー・ジョーンズのノミ飼育」「板金鎧をまとって河床で化物退治」がオモロ。[投票(2)]
★2聖杯たちの騎士(2015/米)別嬪女優を掻き集めるだけで、彼女たちをさらに美しく撮ろうという勉励は放棄。『ツリー・オブ・ライフ』『トゥ・ザ・ワンダー』では私のことを陰でおちょくる程度だったテレマリが、ついに愚弄の態度を隠しもせずに正面切って喧嘩を吹っ掛けてきた。これにはさすがに堪忍袋の緒も切断される。呪われよ! [review][投票(2)]
★3ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK The Touring Years(2016/英)彼らの録音物の中でも、マッカートニーの“I Saw Her Standing There”に始まってレノンの“Twist and Shout”で幕を下ろす猛々しいロックンロール・アルバムとしての第一LPを殊に偏愛する身として、この期に及んでのビートルズ映画がバンドのライヴ活動期を特集したことには我が意を得たりの感を催す。 [review][投票(2)]
★4ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅(2016/英=米)ブロックバスター級大作二本を同年に公開するデヴィッド・イェーツの勤労ぶりはもっと労われるべきだし、もっとkaroshiが案じられてよい。「所詮コンピュータ描画じゃん。あひなし」という根本的不服を封じた上で動物映画として見たとき、私は『ターザン:REBORN』よりもこちらに軍配を上げたい。 [review][投票(2)]
★3ニンフォマニアック Vol.1(2013/デンマーク=独=仏=ベルギー=英)持ち前の謎知識で隙あらばシャルロット・ゲンズブールの小噺を混ぜっ返す物知りおじさんステラン・スカルスガルドには『吾輩は猫である』の迷亭的な素質があり、ケーシー高峰師匠を参考にもっとふざけてくれていればさらに嬉しい。画像に文字を重ねるポスプロギャグもゴダール的とは云わずとも捨て難い。[投票(2)]
★4アンジェリカの微笑み(2010/ポルトガル=スペイン=仏=ブラジル)「動くはずのないものが動き、それを目にした者はその美しさに心を奪われる」すなわち、アンジェリカとは「映画」の化身である。ならば、愛すべき木偶坊に過ぎないと思われた青年は実のところ「観客」と「演出家」の似姿をその一身に分かち持ち、一筋縄ではいかない人格の像をにわかに結び始めるだろう。[投票(2)]
★3ドリーム ホーム 99%を操る男たち(2014/米)実年齢を鑑みれば少しも不自然なところはないと承知すべきであるにしても、まだまだ小僧っ子だとばかり思っていたアンドリュー・ガーフィールドが学童の父親役を務めるのにはいささか面喰らう。演じぶりはどうも板についていないが、それが却って若くして父になった甲斐性不足傾向男の役柄に適している。 [review][投票(2)]
★3幕が上がる(2015/日)五名の少女たちは脚本がシーンごとに書き分けた喜怒哀楽、さらにはそのあわいのグラデーションを繊細かつ切実に演じて、率直に胸に迫るものがある。しかし彼女たちの表情の爆発と身体の躍動が無粋にも禁じられているのには思わず閉口する。たとえカメラがむやみに動き回ったとしてもそれは補償されない。 [review][投票(2)]
★4薄氷の殺人(2014/中国=香港)「昼」と「夜」の拮抗ぶりが目を惹く批評的フィルム・ノワール。画面の特質に着目するならば「蒸気」と「煙」の映画と云ってもよい。舞台地の緯度も、季節も、クリーニング店も、白昼の花火も、蒸気と煙で画面を描く口実である。逆に云えば、蒸気と煙はそれらを統べるための画面的細部として導入される。 [review][投票(2)]
★4マップ・トゥ・ザ・スターズ(2014/カナダ=米=独=仏)デヴィッド・クローネンバーグには縁遠そうな題材・撮影地に思えるも、演出家のスタイルは健在だ。一見すると端正・清潔・静謐なショットから薄気味の悪い違和感が滲み出てきて何とも禍々しい。それを最もよく象徴するのはミア・ワシコウスカの火傷跡。ではなく、エヴァン・バードのひょろ長い頸である。 [review][投票(2)]
★3天才スピヴェット(2013/仏=カナダ)もっと徹底して「アメリカ映画」であることを期待した私に非があるのかもしれない。珍道中=ロード・ムーヴィの演出に趣向を欠く。父親の造型と芝居は悪くもないが、ここには「合衆国の父親」を象徴できるビッグネームの起用こそを望んでしまう。ただし、ヘレナ・ボナム=カーターはまたもや最高である。[投票(2)]
★4超能力研究部の3人(2014/日)山本剛史が独擅場を演じるシーンなど、フィクション性があからさまにあらわな擬似ドキュメンタリ芝居において山下敦弘向井康介の面目躍如たるオフビートの笑劇が炸裂する。ドラマ本番が抽象セットで撮られる趣向には取り立てて感心も覚えないが、宙に浮いた透明犬の首輪は『真夜中のサバナ』のようだ。 [review][投票(2)]
★4レッド・ファミリー(2013/韓国)戯曲の映画化かしら。というのが一見しての素朴な感想だ。たとえば隣家の諍いが工作員一家に筒抜けで聞こえてくる件にしても、舞台演劇のほうが首尾よく描く方法を持っているのではないか。すなわち両家屋の縦断面を並置した装置を設えれば、二家族それぞれの芝居を厳密な同時進行性のもとに呈示できる。 [review][投票(2)]
★5フランシス・ハ(2012/米)ノア・バームバックグレタ・ガーウィグが、いまだ映画と人類が知らなかった面白表情&面白挙動を機関銃のごとく発射しまくる至福の八六分間。このガーウィグは私の映画史上最良ヒロイン候補に躍り出た。映画的瞬間として搾り尽くされたはずの「水平方向の疾走ドリーショット」からも新生の快楽が迸る![投票(2)]
★3アバウト・タイム 〜愛おしい時間について〜(2013/英)ロマンティック・コメディ仕様に装備を整えたレイチェル・マクアダムスは現役最強だなあ。まさか前髪を切りすぎて登場するとはなあ。寝巻姿はさすがにズルいよなあ。などと終始うかうかしていると、いつしか『父ありき』的風景にはどうも「水辺」が必須らしい、というお話になっていてベソをかかされる。[投票(2)]
★4ワレサ 連帯の男(2013/ポーランド)挿入楽曲は主に物語と同時代に波国で活動していたロックグループの音楽から採られているそうで、であるならば当時の波国は(日本などよりも遥かに)熱心に英国の先端的ロック音楽をフォロウしていたということになり、そのような東側音楽事情を寡聞にして知らなんだ私はまずその点に新鮮な驚きを覚える。 [review][投票(2)]