[コメント] パルプ・フィクション(1994/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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時間も場所もバラバラだから、次のシーンに移ったとたん、最初は「あれ?」と思う。
同じ出演者たちが登場するシーンに再び帰ってくると、時間軸のズレで更に「?」となり、いっそうややこしいと言えばややこしい。
けれど、だからと言ってついていきにくいのかというとそうではない。
なぜなら、一つ一つの話は(パルプフィクションなだけあって)かなり単純だからだ。小ネタの聞いた台詞やピタリとはまった音楽、うってつけの役者人のせいもあり、笑ったりドキドキしたりという物語を楽しむための興奮は十分に満ちあふれている。が、特に凄い話ばかりというわけではない。凄いのは、あくまでその時空のズレ、及び、そこから(観客が)勝手にくみ取ったものだ。
つまり、この映画は、その簡単なジグソーパズルのような「謎」をもって観客の緊張を最後まで持続させつつも、そうかと言って「謎」で引っ張る映画にありがちな「推理クイズ」や「見え見えどんでん返し」といった作りには決して向かっていない。
あくまで主軸の話は単純でどこにも「謎」など匂わせていないので「思った通りでつまんなかったなー。」という感想には至りようがない。
まずは純粋な馬鹿話をとことん楽しませてくれる。けれど「最後まで見なきゃダメだ!」という気にさせてくれる。そして最後には、きっちりと全てのピースが埋まった瞬間のカタルシスを与えてくれる。そこから生まれる(自分で話を再構築して咀嚼した後の)感慨を与えてくれる。
最初に卵にヒビを入れたというタランティーノのその才能を、個人的には素直に賞賛したいと思う。
追記: この映画は米国田舎町のガラガラの映画館で見たのですが、「時計」の場面がネイティヴには一番うけてた記憶があります…。
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