[コメント] 初恋のきた道(2000/中国)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
と言えば、『ショーシャンクの空に』の因縁により、やっぱり私がコメントせねばなりますまい。
あの『タイタニック』のポスターの雄弁さを見る限り、本作は『タイタニック』のみならず西洋的恋愛ロマンス映画への挑戦状ならぬパロディーと、僕は見る。
―「母さんはみんな昔燃えるような大恋愛をした」―
正確には覚えていないが、糸井重里氏がかつてそんなコピーを書いたことがあったと思う(似たようなものに「父さんは皆大冒険家だった」ってのもあったかな?)。
『ナビィの恋』と同じ日に見たので、そう勘繰ってしまうのかもしれないが、子どもが親の恋愛のストーリーテリングである形態はあの『マディソン郡の橋』と変わりない。勿論、「一目会ったその日から!恋の花咲くこともある!」身分違いの恋や、髪止めとネックレスなど『タイタニック』との符合を指摘することもできるだろう。
だが、ペペロンチーノ氏の言う「色鮮やかな失われた過去」の顛末はハッピーエンドあってはならない。大恋愛には大失恋と相場が決まっている(と決め付けちゃう)のだ。だって、あの母親の夫を喪った後の反応からして不自然。チャン・イーモウ監督だからこそ不自然。あれは40年連れ添った夫に対する妻の反応というより、不慮の事故で亡くし結ばれなかった恋人への反応に思える。40年恋し放しなんて、生活感ある農村が舞台だからこそ、妙に不気味。
紆余曲折あったろう40年を、あのラストの親子のその場しのぎの和解で説明し切ってしまうところも、ある意味凄い。だからこそ、あの息子の授業シーンは取って付けたような印象を僕は持ったのだが。
…なんかトンデモ説みたくなってきたな…。
うーん、とにかく、あのこれ見よがしなポスターは不必要。この作品が、パロディーなんかではなく、純粋に恋を描いた映画ならば余計に不必要だと思う。あのポスターが、僕にとっては、この映画のすべてを台無しにしたと言っても過言ではない。
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余談:
皆さんの、特に男性陣の、チャン・ツィイーの魅力へのイレジスティブルな反応もまた、『タイタニック』公開当時のレオナルド・ディカプリオへの女性陣の反応と符合するのであります。今ならジュード・ロウか。でも、ケイト・ウィンスレット的なブーイングはないのね、やっぱり。あっ、あそこでツィイーが死んだら別かな。
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もっと余談:
実は、この映画、前にビデオで借りたのですが、その時は疲れが溜まっていたからか、始まって三分もしないうちに寝入ってしまいました。その後断続的に、4,5回目を開けたんですが、そのすべてがチャン・ツィイーのドアップであったことを念のため記しておきます。
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さらに余談:
ただテーマが「道」なのは個人的に良かったです。
―"All roads lead to you.(すべての道はあなたに通じている)"―
京都在住の僕は、この映画を見にわざわざ琵琶湖を越えて草津まで出かけたわけですが、帰りの近江大橋から見る夕陽は格別でした。
僕もそれなりに、今年の上半期は久しぶりに大恋愛したワケで、ほとんど毎日京都から神戸まで通ったワケでして。何分、車乗り出して間もなかったので、よく道に迷ったワケでして。
そんな時、いつも言い聞かせたのが、上の言葉です。実言うと歌詞の一部なんですけどね。Shawn Colvinの"Round of Blues"(アルバム「Fat City」収録)です。主人公ディが、恋しいあの人がいてもいなくても、道を見つめ、歩き、走り、待つ、その姿が、あの思い出の歌を思い出させてくれました、ハイ。
えっ?オイラの恋の結末?訊くの?野暮だねえ…
勿論、大失恋です。だーかーらー、……
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まったくもって余談:
ちなみに僕は料理大得意です。
[11.20.01]
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