[コメント] パール・ハーバー(2001/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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目眩がするくらいに素晴らしい!。
よくもまあ、3時間も我慢できたものだ。(知り合いはこの作品に「エイリアン、真珠湾に襲来」という素敵なタイトルを付けている)
最早、どれを取っても突っ込み放題。列挙してるだけでもレポートができそうなくらい。いくらでもザクザク出てくるが、その内のいくつか。
日本軍の極秘作戦会議。竹で骨組みだけ作った部屋のようなものを作り、屋外で秘密会議を行っている(しかも「秘密会議」と墨で黒々と書かれた垂れ幕まで貼って)。真珠湾攻撃の作戦を普通のプールに模型を浮かべてふんどし姿の若者が動かしている。
これだけで最早何も言えなくなるが、まだまだ終わらない。
真珠湾攻撃のシーン。緑色の零戦(真珠湾攻撃で用いられたのは灰色)。物理的に出来ない攻撃方法(僅か数メートルの間隔で編隊を組むゼロ戦編隊。後ろに向かって落下する爆弾。人間を殺すためだけに高度飛行専門のゼロ戦が地上すれすれを飛行する。軍事拠点をほったらかしにして、民間施設や広場を攻撃する。機関銃で巡洋艦が爆発する)。それに対し、ゼロ戦の性能まで知っている米軍パイロット。機銃で撃っただけで爆発する戦闘機(ミサイルじゃあるまいし、戦闘機の機銃程度では「爆発」しない。煙を吐いて堕ちるだけ)。史実では9機しか未帰還がなかったゼロ戦なのに、映画では未帰還数29などと言われ、しかも内8機は性能の遙かに劣るP38に8機も堕とされている。
決死の東京爆撃で目視するくらいに空母に近づいていた日本軍が全く迎撃機を上げてない。東京に「軍需工場」とでかでかと書いた看板がある。中国に不時着した際、日本軍がやってくるのだが、まるで撃ってくださいといわんばかりに全身をさらけ出して闇雲に突っ込んでくる。武装解除もせず、乗組員を縛り上げる。バックアップも無しで、拳銃で三人ほど殺されたら、後は誰もいなくなる。
ラストのイブリンの回想。「アメリカ=正義」で「日本=悪」の構図であり、アメリカの勇猛果敢さによって日本は撤退を余儀なくされた。と言っている。実際には南方戦線の日本軍を兵糧攻めしてじわじわといたぶった結果の勝利だ。
予告編見ただけでどれ程下らない作品か分かってしまったが、実際には輪を掛けて凄まじかった。
いやはや、何と素晴らしい作品であろうか。少なくとも、こういう作品を巨費をかけて作ったアメリカという国と、これ程突っ込み所だらけの映画を作ってくれたマイケル・ベイ監督に最高の賞賛を送ろう。
しかし、この映画で何より不可解なのは、夜であるにも拘わらず、映画館の席はほぼ100%埋まっていたと言う事実。その中でどれ程がこの映画を「良い映画」と称するのか、アンケートを採ってみたくなる。
少なくとも、私の心の中で「最大級の賛辞を送る馬鹿映画」の貴重な一本になったのは確かだ。
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