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DSCHさんの人気コメント: 投票数順(20/23)

人気コメント投票者
★3ピストルオペラ(2001/日)人間的な戦いのエンタメが「絵あそび」にすりかえられている。「百目」「ギルド」等の用語からは、監視の偏在とか顔の見えない不条理な組織システムの暴力、催眠作用との戦いが予感され、その辺は脚本の伊藤和典押井守組)のセンスが残されるものの、奇矯な絵づくり以外に無関心な清順の子ども騙しなオチでお茶を濁される。これでは伊藤さんが可哀想である。清順の「遊び」は、愛嬌、ではなくて、不真面目。 [review]ぽんしゅう[投票(1)]
★3太陽を盗んだ男(1979/日)破裂することを恐れずに繰り返し膨らます風船ガム。反復の予感が喪失された今、有り得ん、いやあ元気だわすげえわファンタジーだわと思う。真にバカげたテロリズムは「闇」から来るのではない。沢田の風貌の明るさも正解だろう。所謂「深淵」って、光で満ちてるのかもしれない。改めて「元気」って邪悪だ、と思った・・・とネタはいいが演出は賞味期限切れのダサさ。 [review]けにろん[投票(1)]
★3マイ・バック・ページ(2011/日)格好付けと暴力衝動に大義の言い訳の上塗りを重ねること。偏執的自己正当化を背後から襲う冷水のような後ろめたさ。安田陥落は冬だが、貫かれる季節感は夏の終わり(正しい)。ユメの跡の草いきれと蒸し暑さから、極寒の浅間へ。殆どこの「リアル」を「ファンタジー」としてしか受け止められない世代だが、普遍的な情感を提示したと思う。山下監督にしては悪意と慈しみの配合が後者に偏向してつらいが。けにろん[投票(1)]
★3ショーン・オブ・ザ・デッド(2004/英)ロメロ版を観ないと確信を持って言えないのだけど、「zから始まるアレ」と頑なに"zombie"の呼称を避けるのは、ロメロへの敬意と共に"living dead"という呼称が醸すイメージを重視するからだろう。「蘇った死体」、ではなく「死んだように生きる生者」。だからアポカリプス以前も以後も、世界はさほど変わらない。このコンセプトを踏まえた諧謔的な開幕と終幕は傑作。 [review]おーい粗茶[投票(1)]
★5赤ちゃん泥棒(1987/米)不可逆性の無常と滑稽を語り続けるコーエンは、象徴的なショットを必ず挿入する。多くが滑稽かつ陰惨な風景(宙を飛ぶ車、死体、流血etc)。が、ここでは「(さらった)赤ちゃんがかわいくて離せなくなっちゃった」と喜びと当惑で半ベソのホリーと、不安な変てこ顔のケイジそして赤ちゃんのスリーショット。嘲笑的でも僅かに優しいのが常だが、これは優しさ全開。「頑張れ」と言っている。まずここで涙が出る。 [review]ぽんしゅう[投票(1)]
★4レイダース 失われた聖櫃〈アーク〉(1981/米)何気にコードスレスレ(いや、引っ掛かってるか?)な描写、「冒険」を免罪符としたスピルバーグの無邪気な邪悪さに冷や冷やするこのシリーズ。本作も例外ではないが、これはいいバランス。脂の乗ったフォードのオーラは、笑顔、足の遅さなど、「愛嬌」が他の追随を許さない。この、無敵じゃない感が重要。あとカレン・アレンが不思議な程可愛い。この二人が映えるシーンを眺めるだけの幸せ。 [review]けにろん[投票(1)]
★4マネー・ピット(1986/米)「破壊と修復こそ映画」なんて陳腐な物語論だが、基本をシンプルに貫く姿が崇高なのは確か。いいじゃんいいじゃんと思う。製作者という立場だが、破壊王スピルバーグの特質が邪悪な方面ではなく喜劇に昇華している少ない例。キッチンのピタゴラスイッチ的大崩壊のカット割り・カメラ・音響・ハンクスをはじめ、「間」がハイレベル。ハイドンの「驚愕」、空飛ぶ鶏肉を捉えるゴードン・ウィリスの撮影など、笑い所多数。ゑぎ[投票(1)]
★2ユメ十夜(2006/日)噴飯物。淡々と、かつ透徹した漱石の筆致から滲む静かでも強い死のにおい、妖気や美しさやおかしみの、再現も脱構築も為し得ていない。「裏切り」のセンスが途方もなく悪い上、ごく単純に、映画として「心」が死んでいる。何がやりたいんだ。 [review]ぽんしゅう[投票(1)]
★4永遠〈とわ〉に美しく(1992/米)人の営為に何の意味もないと断じ、犬も食わない痴話喧嘩描写の徹底に駄目押しで「永遠の戦い」の概念をプラスする意地悪さはコーエンをも凌駕する悪意。が、無常や達観よりもB級なバカ騒ぎに徹する潔さが愉快。医師ポラックのリアクション演技が傑作。ゴールディメリルは意外とか無駄ではなくむしろ役者冥利に尽きるのではなかろうか。とっても楽しそう。 [review]けにろん[投票(1)]
★3ゴーストバスターズ(1984/米)アルミ箔を貼り付けたみたいなガジェットや下らなすぎる下ネタ(門と鍵)、「度を超した災厄は冗談の形をとって現れる」という正鵠を射た展開など、イカした要素はあるし、無二の郷愁を感じさせることは間違いない。ただ、これが『サタデーナイトライブ』常連かと目を疑う程ライトマン演出に毒抜きされたマーレイエイクロイドが哀しい。テンポも悪い。やはりベルーシの破壊力が必要な作品だったのではないか。けにろん[投票(1)]
★5ハッシュ!(2001/日)「なんで、絶対、なんて言えるんだよ・・・!」と田辺誠一が絞り出すように発する言葉で思い出したのは、「あなたはすぐに絶対などと言う。私は、すごくそれを嫌がるの」という椎名林檎の歌だった。奇しくも制作年は2000年〜2001年、価値の混沌、ゼロ年代の始まりに符号していた。当時18歳で、以来、絶えず「絶対」という概念に「違和感」を感じて生きている僕には、この二つの作品は永遠に福音である。 [review]ぽんしゅう[投票(1)]
★4Mr.インクレディブル(2004/米)再生産・強大化する敵に嬉々とする“Incredibles”。敵がいないとアイデンティティクライシスする家族像はヤバいんじゃとも思うが、まあヒーロー批評は『ダークナイト』とか『キックアス』あたりに任せて置いとこうよ、と思う。悪いもんは悪いとしっかり考えて分かっていればいい。ストレスフルな前半の溜めを一気に解放する父のジャイアントスイング、ダッシュ坊やの爆走や奥さんの啖呵、娘のキメ顔に涙が流れた。快感だった。 [review]けにろん[投票(1)]
★4モンスターズ・インク(2001/米)ユーモアのオブラートに包んであるが「世界は悲鳴を食い物にして回ってる」というリアルな世界収奪システムへの、さりげなくも切実な詠嘆が前フリとしてある。これが一気に機能不全に陥り転換して結実するラストの爽やかさ。反則だろうが何だろうが、「笑顔」への強い想いが胸を打つ正しい寓話で、ここでは「モンスター論」なぞ枝葉末節の重箱の隅。そして「名前」の映画。 [review]3819695[投票(1)]
★5ダンボ(1941/米)ディズニー・クラシックらしい楽曲と奇想アクションの融合、鉄格子越しにつなぐお鼻(手)のぬくもりの切なさ、ダンボの愛らしさを堪能するにとどまらない。「マイノリティ」と「マジョリティ」の関係性を痛罵する風刺が心地いい。「嫌われ者」であるネズミやカラスのノリノリな「黒人音楽」がキーになるあたりが時代性を捉えてもいて痛快。 [review]りかちゅ[投票(1)]
★5地獄の黙示録(1979/米)「源流」と「支流」。「終わらないその後」の「黙示録」。 [review]ぽんしゅう[投票(1)]
★3MEMORIES(1995/日)「表層的」「こぢんまり」などの否定的評もうなずけるが、かといって長くすると大友は必ず破綻する。破壊描写になると俄然冴えるのも逆にみっともない感があり、突き抜けないもどかしさは否定出来ないが、美点は結構ある。 [review]けにろん[投票(1)]
★4アドレナリン:ハイ・ボルテージ(2009/米)シューテムアップ』なアホを期待したが、けにろんさんのご指摘通り、これはむしろ『鉄男』であった。愚直な生存欲求とテキトーから繰り出されるとんちの数々。テーゼ上も「鉄男」と相似形とすれば、「鉄」「充電」というモチーフを通じて「都市との同化と克己」、人間機械論という面から見て意外と深い・・・なんてことはない。多分。あくまで目的はモラルの破壊と快楽=ロックポルノ。 [review]けにろん[投票(1)]
★4イレイザーヘッド(1977/米)レバー男にしろ瘤女にしろ、理性だとか狂気のメタファなどと簡単に説明できてしまうあたり、後作の混沌と比べて逝きっぷりに物足りなさを感じるが、「おかえりなさい」と言わんばかりな瘤女(狂気)との抱擁の不気味キュートに作家性が収斂される(このシーン大好き)。狂気・不快は時に甘美だとするスタンスは古典的に挑発的で、表現に一切迷いがないのは偉いとしか言いようがない。 [review]赤い戦車[投票(1)]
★2悪魔を見た(2010/韓国)大義が言い訳化して悪魔化するセレブビョンホンと、善をひっくり返して悪を引きずり出すミンシクが補完し合って助長する構図は『ダークナイト』の系譜上に乗って化ける余地もあったが、単なる快楽殺人鬼でしかなくジョーカーになり得ないミンシクの寸詰まり造形で、善悪の彼岸を描く作劇が矮小化する。ビョンホンの動かない能面の描写も直線的で浅く、「似た者同士」に接近する過程も省略が雑。これは演出家が悪い。 [review]3819695[投票(1)]
★4親切なクムジャさん(2005/韓国)悪魔であるからこその「優しさ(親切)」と、天使であるが故の「残酷(愛からの憎悪)」という両極を具有する復讐者が体現する世界観。人のためならぬ「情け」で作り上げたその「ケーキ」は、甘いのか、苦いのか。 [review]おーい粗茶[投票(1)]