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ぽんしゅうさんのコメント: 投票数順

★3命(2002/日)誠実な映画だ。篠原哲雄の真摯さに応えようとする江角マキ子豊川悦司の気迫が充満している。しかし、それはあくまで二人の役者としての迫力であり、柳と東が共有した生と死の偶然の交錯が生んだ濃密でピュアな時間が持つ迫力とは違う気がする。 [review][投票]
★2LOVE SONG(2001/日)二人の出会いにときめき感がなく、彰子(仲間由紀恵)の東京旅行には焦燥感がなく、松岡(伊藤英明)の失踪にも挫折感がない。ただ脚本をなぞるだけの佐藤信介監督の画作りに映画的センスを感じない。何にもないのだから面白いはずがない。[投票]
★2またの日の知華(2004/日)容姿のまったく異なる女優に、意図的に主役を演じ分けさせるという試みの狙いも効果も理解できなかった。見る側がその意図を理屈で考え始めた時点で、原一男のチャレンジは残念ながら失敗したと言わざるを得ない。桃井と夏八木の飛島のパートは美しい。 [投票]
★3新選組(1969/日)ドロドロした内紛劇としてかなり面白い松浦健郎の脚本を、沢島忠の旺盛なサービス精神が薄めてしまった。トーンは、60年代初期の東映チャンバラ劇と後期の重厚な東宝時代劇の狭間を揺れ動く。散見される斬新なショットが宙ぶらりんでもったいない。[投票]
★2そして船は行く(1983/仏=伊)無声シーンに登場させられる声楽家たち。キッチンのコックたちの慌しいコマ落とし。巨大ボイラー室の高さを使った歌合戦。醜く脱力したサイの無粋な宙ずり。フェリーニファンには、たまらない遊びが満載なのだが全体のテンションの低さはいかんともし難い。[投票]
★3BU・SU(1987/日)清涼飲料のCFのような定型的ショットと、50年代の邦画を思わせる様式的ショット、さらに少女の内面を探る情緒的ショットが入り混じり統一感の無さに唖然とするが、今にして思えば全てが市川準の持ち味であり、その意味では才気溢れるデビュー作。[投票]
★2ショコキ!(2001/日)「隣り合わせ」という状況設定だけは面白いが、テーマがカビ臭く台詞もいたって退屈。さらに伏線がわざとらしくミエミエなうえに、場面転換のキレが悪いため引っ掛けネタがまったくサプライズにならない。素人が見よう見まねで映画を作るとこうなる。[投票]
★2カルマ(2002/香港)テーマもアイディアも古臭く、ホラーとしても雑な作りで香港映画の凋落を象徴するかのような出来ばえ。さらに、孤軍奮闘するレスリー・チャンの疲労こんぱいの表情が、演技ではなく制作パワーのダウンそのものを憂いているかのようで哀れ。[投票]
★3あばれ獅子(1953/日)どうと言うことのない幕末ホームドラマだが、阪妻の遺作だそうな。なるほど、途中から背中しか見せぬ代役が頻繁現われるのが痛々しい。さらに痛々しいのは51歳の阪東妻三郎がデビュー当時と同じアクションを求められ、それに応えようとしているところ。[投票]
★4ばかのハコ船(2002/日)どこで狂ったのか、生き方の微妙なずれが取り返しのつかない孤立となって世間からはみ出していく、そんな周りの者には鬱陶しいだけのカップルを山本浩司小寺智子が好演。ダメはだめなりに徹底的に男と女であり続ける二人に、不器用さの悲劇を見る。[投票]
★3人間の約束(1986/日)心情的、或いは人情的ウェットが避けられない究極のホームドラマとでも言うべきテーマにおいて、吉田喜重独特の硬質感がいかなる冴えを見せるのかと期待するも、一歩踏み込んだリアル演出が全ての命取りとなり、ありきたりの問題作におさまった。[投票]
★3青春残酷物語(1960/日)日本の夜と霧』が、まさに閉塞スパイラルが起きる「その現場」を描いたとするならば、本作ではスパイラルの渦に巻き込まれた「その周辺」が描かれる。周辺とは戦後15年を経た日本社会であり、それは大島渚にとって挫折連鎖を生む闇の渦だったのだ。[投票]
★5血は渇いてる(1960/日)戦前的価値の良質部のエッセンスが「献身」であるとするならば、それまでをも否定しなければならない時代の苦渋が滲み溢れている。ただ同じ否定でも、その方法において大島渚が激情的であったのに対し、吉田喜重は冷静沈着であり気品すら漂わせる。[投票]
★4博多っ子純情(1978/日)憧れの「博多の男」に手が届ききらない中学生(光石研)の、虚勢と戸惑いが実に初々しく微笑ましい。そして、子供達をとりまく両親(小池朝雄春川ますみ)ら大人達の博多ダンディズと言うべき暖かい生活観。曾根中生監督の良作のひとつ。[投票]
★3友よ、静かに瞑れ(1985/日)崔洋一監督の持ち味は、骨太な無骨さだと思うのだが、初期の作品にはそれが全て不器用さとなって現れてしまう。形式をなぞりつつ緻密に計算された演出が必要なハードボイルドにおいて、その不器用さは致命的となる。要するにカッコ良くないのだ。[投票]
★2蛇イチゴ(2002/日)終始つきまとう不快な苛立ちは、物語の持つ不吉なテーマ性のためではなく単なる演出スタイルの欠如が原因。本来、新人監督ならば過剰なまでに発揮されるべき独自性を、まったく感じない。底の浅い脚本を見ても、西川美和監督の将来が不安。 [review][投票]
★3写楽(1994/日)終始、絢爛たる美術の仕事に目を奪われるものの、その舞台に登場してくる人物達がどれも魅力に乏しく興味が一向に人間へと向かわない。豪華な器に盛りつけられた、貧弱な料理を味わっている気分。篠田正浩の映画には、こういう作品が実に多い。[投票]
★3クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望(1995/日)単調な筋立てや、いかにも金のかかっていない作画、そして荒削りな悪役や脇役のキャラクター設定。文句のつけどころは山ほどあるのだが、製作者たちのアニメ以前に映画が好きで好きでたまらないという思いが伝わってくるので、何となく許せてしまう。[投票]
★2黒いドレスの女(1987/日)如何なることがあろうとも、定型スタイルを固持するからこそハードボイルドは成り立つのであって、作り手はその意味において徹底的に保守的でなければならない。迷いなのか資質なのか、崔洋一監督にその割り切りが感じられない中途半端なでき。[投票]
★3若い東京の屋根の下(1963/日)吉永小百合が最も輝いていた時代だ。膨大なプログラムピクチャーの中の1本にすぎない消耗品的この作品でさえ、彼女の小鹿のような躍動感あふれる身のこなしとクルクル変わる愛らしい表情だけで、ひと時も画面から目を離すことができない。[投票]