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disjunctiveさんのコメント: 更新順

★4カセットテープ・ダイアリーズ(2019/英)このままでは、移民がスプリングスティーンにはまったという文化侵略の話になりかねない。これを避けるべく、父の未成熟へと問題のすり替えが行われる。何よりも青年には才能が保証済みという安堵がある。しかしそれは誤誘導である。 [review][投票]
★4his(2020/日)アンチ自然たる自分たちの本当の敵とは、妻ではなく子どもの自責や柴犬の媚態といった生存戦略そのものである。これに気づいた藤原季節の自然に対する自爆的抗議。 [review][投票]
★4渇き。(2014/日)小松菜奈の軽量級の芝居はオッサン学芸会にとって屈辱になるのか優越になるのか。被虐のその繊細なバランスが女衒退治という通俗のうれしさに飲み込まれていく。 [review][投票(1)]
★4燃えよ剣(2021/日)職人賛歌の割に政治的体面を気にしてしまう。職人の癖に職人に徹しきれないのだが、中産階級の坊ちゃんたちの徳が時に厚顔へと転換し、かかるサイコ性の方に職人のダンディズムがある。 [review][投票(1)]
★4リチャード・ジュエル(2019/米)知性信奉が、正義の侵害自体を云々するよりも人々が侵害に感づいた瞬間を捕捉しようとする。それは知性の捕捉に他ならないからだ。たとえば、ミランダ警告に際したハウザーの反応や最初にFBIに電話した際のロックウェルの不審顔。 [review][投票(2)]
★4ナショナル・ギャラリー 英国の至宝(2014/仏=米=英)キュレーターの独演会が尺の多くを占めるために不毛な説明台詞の映画に落ちかねないところを、楽太郎(修復家のラリィ)が研修の女子大生を前にして台詞を3度噛み、負けじと隣のオッサンが蘊蓄を垂れ始め、辛みで話を引き締める。 [review][投票]
★4イップ・マン 完結(2019/中国=香港)「わたしを倒して(推薦状を)手に入れろ」 ヤンキー映画を老人がやることで互いに関連を失った肉体と精神は、老いてなお弟子たちの前でオス性を試されるつらみと老人の育児の痛々しさの中で苦悶する。 [review][投票]
★4死んでもいい(1992/日)大竹しのぶの天然と自意識の狭間で低徊する90年代前半文明というニッチ。室田日出男の悲劇を呼び込む力と優男のダメさが、ちあきなおみの協賛を経て、大竹の魔性というその息苦しき90年代文明を圧していく。 [review][投票(1)]
★4ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!(2020/米)文明と呼ばれる状態に達したのなら、異なる時代にあってもそれぞれの文物は互換しうる。おそらく盛唐と18世紀欧州の詩人は容易く疎通できるだろう。 [review][投票]
★4女囚さそり 第41雑居房(1972/日)梶芽衣子の超時代的アイドル顔が白石加代子の情熱的なニューシネマを朗誦劇として再構成してしまう。それはフェミニズムと対峙した昭和のモラルの混乱でもある。 [review][投票]
★4天然コケッコー(2007/日)キャワイイという存在するだけで価値がある事は、それに際した観測者にとっては感情の強制であり暴力である。その強制力が有標化するキュンキュンな傷みを思春期・卒業・ゼロ年代のノスタルジーと取り違えてほしい欲望がある。 [review][投票(1)]
★4キャロル(2015/英=米=仏)ケイトのヒラメ顔が紗のかかった画面を大型魚類そのものの緩慢さで遊泳する。貞操を狙われるルーニーは水族館の隅で怯える小動物である。 [review][投票(1)]
★3ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey(2020/米)政治小説が筋を妥協させ、妥協した筋が政治の信憑性を侵してしまう再帰構造。その無風の中間地帯でキレのない身体と戯れるマーゴット・ロビーは次第に存在を埋没させ、他者の感情の媒介そのものになり、 [review][投票]
★4モテキ(2011/日)2010年代がわからない。近すぎるゆえに20年代の今からはうまく捕捉できない。現代邦画としては破格のミュージカルとそれに対応する森山未來の身体能力が、そのぼんやりを超克する。歌劇が麻生久美子のアニメ声を違和感なく組み込む。 [review][投票(2)]
★3レ・ミゼラブル(2012/英)ミュージカルの叙法に反して、皆、望遠で歌って感情を発散させず、むしろ内面に没頭し、これらの寄りがゲームCGの遠景と交わることなく相対する。歌劇の形式主義はむしろ表情筋を規制し、画面を髭面の八の字眉で埋めていく。 [review][投票(2)]
★4フラガール(2006/日)60年代の時代感覚はむしろ失調するべきなのだ。稽古量とカット数と蒼井優の言語センスが鉱山という箱庭を作り込み、時代感覚の閾を跨がせ架空の日本を構想する。松雪泰子が、炭鉱夫たちが、時代感覚の失調の最たるハワイアンセンターになだれ込んでいく。[投票(2)]
★4mid90s ミッドナインティーズ(2018/米)地面の形状に沿って各々の知性と根性を定義できる映画的事態が、組織内力学の叙述に活かされる一方で、形状に左右されない痴愚者は超地上的な視点に至り事態を包括する。それは、90年代にありながら、すでにそれを懐かしむような態度である。 [review][投票(1)]
★437セカンズ(2019/日=米)紙媒体になぜこだわったのか。同人サイトを経由するのが普通だろう。雑誌がイベントの起点になるから前提の弱さが以降の尤もらしさを損なう。またヒロインには才能も度胸もあり最初から完成されている。自分の中には課題がないから自分探しは外へ向かう。 [review][投票(3)]
★4天使のはらわた 赤い教室(1979/日)女の幸福を願いたくなるのは、薄幸が正しく実効しているからだ。相思相愛の破綻は偶然に委ねられ、男の未練を温存させるように。人生の敗残と失恋が相互に傷心を参照し合っていく。 [review][投票(2)]
★3異端の鳥(2018/チェコスロバキア=ウクライナ)たとえば、生計の手段が絶えず疑義に晒されるような生活感のなさが、生活の物証を追及するゆえに、景物の質感は高い解像で捕捉される。これがモノクロと齟齬を起こしてますます作りごとめいてくる。 [review][投票(1)]