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DSCHさんのコメント: 投票数順

★5映画ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム(2015/英=仏)このところ、本家『ウォレスとグルミット』で喋らせ過ぎ感のあったアードマン、渾身の原点回帰。写真、8mmというアイテムで開幕から全力で腹筋と涙腺を壊しにかかってくるが、何より「ここにはアクションしかない」という衝撃がある。崖っ淵の攻防は『黄金狂時代』に匹敵、かつ情感まで加えて凌駕すらする。そしてアードマンの「涙」の質感はいつも僕を動揺させる。なんちゅういい映画や・・・(追伸:牧場主LOVE。)[投票(2)]
★5インターステラー(2014/米)マーフィーの法則=起こりうることは起こるー転じて、「起こりうることは起こす」。そのままノーランの映画製作の矜持なのだろう。作劇にも演出にもこの哲学が最大限・確信的に息づいている。キュアロンの『Gravity』もそうであったように、「重力」は軛でありながらそれを越える「意志」でもある。そしてアクションに意志が漲る。もう激しく好み。この情感がハッタリなら、僕は頭を丸めて映画を観ることをやめる。 [review][投票(2)]
★5WALL・E ウォーリー(2008/米)ブレードランナー』のレプリカントが写真をかき集めるように、ウォーリーは貪るようにガラクタ(人類の記憶)を集め、束の間の星空を録画(記憶)する。もちろん目と手の映画なのだが、結末を待つまでもなくこれは記憶についての物語でもある。記憶が人を形作る。人が人であることの記憶を無くした人類の誰よりも「人」として描かれる「機械」の一挙手一投足にハッとさせられる。「人が人であることを思い出せ」と。 [review][投票(2)]
★4インサイド・ヘッド(2015/米)イロトリドリノセカイ。小さくて巨大な冒険。 [review][投票(2)]
★4そこのみにて光輝く(2013/日)「大事にしてっから・・・おかしくなんだべや!」という台詞が僕にとっての全て。ギリギリの線状で爪先立ちする主役3人の描写の緻密さにキリキリと胸を締め上げられるが、この彼岸の高橋和也あってこそ(グッジョブ)。夜明けの撮影が会心だが、ラストカットは僕も蛇足だと思います。[投票(2)]
★2エル・トポ(1969/メキシコ)これを百万回観ても、『火の鳥』を一回読む価値に及ばないと思う。贖罪の件などゲンナリするほどのナルシシズムで、宗教とはそういうものという皮肉があるでもなく正攻法なおかげで、結局半端な優等生映画に堕している。故に悪趣味が悪趣味でしかないという矛盾。ロケの異常なセンスは買う。 [review][投票(2)]
★5血と砂(1965/日)アンサンブルのピースが、一つずつ、着実に、鉄の暴風で捻り潰される。それでも、最後の一人に至るまで、倒れた仲間が赴いた「あちら側」との共演が続いているかのように、「聖者の行進」のリズムは崩れず、音勢は弱まることがない。最後の一人が倒れた無音の地に、人間性への信頼と非人間性への呪詛が、尚も永劫に奏で続けられる錯覚。呪いのような祝福のような、物凄い音楽演出である。圧倒的。[投票(2)]
★3TOKYO TRIBE(2014/日)血と暴力の世界でLOVE&PEACEを勝ち取りたければ、代償として血塗れになるしかない。ヌルい言説に対する的厳しさは汲んだ。屍を越えたLOVE&PEACEこそ本物だ。でも、実際に収斂までされると机上の空論的で空々しく、情念が湧き上がらない。照れ隠しの猥雑演出やギャグの滑り、タラへの目配せもいい加減キツい。園ってばホント助平、と感心もしたし、地獄の描き方に腹の据わりも感じたけど。 [review][投票(2)]
★4アイアン・スカイ(2012/フィンランド=独=豪)プロパガンダ・コント、ワグナー引用、ナチスネタなどの頭良い系の笑いから、盥が頭にごっつん系の古典的笑い、突然真顔になるラストなど、按分と采配が程よく、とてもクレバー。基本はタイムスリップ+カルチャーショック型のテンプレ的な笑いだけど、「カルチャー」がナチス、っていうのが良いセンス。モンティパイソンが撮っても面白いだろうけど、きっと悪酔いするだろう。安心して気楽に酔える、よい毒。 [review][投票(2)]
★2ロード・トゥ・パーディション(2002/米)胡散臭い。及び腰。うッすい「重厚感」。ダーティを貫いてこその悲劇とか特異な美しさを提示すべきでしょう。父子関係の特異な突き詰めなら『キック・アス』を観て卒倒する方が有意義と思う。ハンクスニューマンロウの顔面にもそこはかとなく嘘くささが漂い、画ヅラどうこうを語りたくないのに、撮影の「重厚感」がこれまた嘘くさくて苛立たしい。個々の問題ではなく、一貫した本気の統制力を感じられない映画。[投票(2)]
★3マッドマックス(1979/豪)果てしなく続く荒野と道、車輪の回転が示唆する憎悪の無限連鎖。いったん狂気に入れば一方通行で限界を超えて加速し続ける。B級な画面が中和しなければとても観ていられない怖さ。でも、もっと観ていられないくらい怖い方が正解ではないのか。ラストの一本道は『わらの犬』と双璧だが、もっと丁寧に撮って欲しいところまで似ている。 [review][投票(2)]
★4チャップリンの 黄金狂時代(1925/米)肝のロマンスは丸きり童貞コントだが、だからこそのきっつい哀切さが「寒さ」の中で胸を締め上げる。また、「食欲」のグロテスクなど、チャップリンの真顔ボケ(無痛・無感覚)は時に狂気的なレベルに至り、目が離せない。尾行する熊のきぐるみのおとぼけ佇まい等愛せる要素多数で、コッペパンダンスは劣悪なモノクロ画像の中でこそ輝いている。 [review][投票(2)]
★5ウォレスとグルミット ペンギンに気をつけろ!(1993/英)無言のペンギンの所作の充実が凄まじく、隅々まで伝説の悪党感が漂う。この無言に対峙するアクション探偵グルミットの無言にも歴戦の猛者感があり、さながら無言のプロ同士の戦いの様相を呈している。もっとも、手練れかどうかなんて「漂わせる」だけでほとんど説明してないのがミソ。「雄弁な無言」の追求の最高峰の一つだろう。めちゃくちゃ面白い。(末尾は1歳半の娘と本作に関する余談等です) [review][投票(2)]
★2戦争のはらわた(1977/独=英)時計じかけのオレンジ』の「矯正(強制)映画」みたいなアルトラ全開の開幕、綺麗事を排した反骨には感じ入るが、演出と僕の嗜好の相性の悪さを決定的に思い知らされた。何が起こっているのか分からない。国家×個人×大義×敵味方の概念が交差し破壊され相対化された地点のカオスの物語だから、誰が誰を撃ってるのか分からないのは演出上正しいのだと歯を食いしばって肯定しようとしたが駄目だった。混沌にも作法が必要では。 [review][投票(2)]
★4ワイルド・アット・ハート(1990/米)闇(クソッタレな世界)に灯るマッチの炎(愛)、なんて生半可にやれば笑われるだけだが、根がロマンチストのリンチが照れつつも本気で撮るから泣かせる。炎が世界を焼き焦がす破滅的展開かと思わせる開幕だが、意外にミニマムな生に拘泥するのがむしろ素晴らしい。単に世界を明るく照らそうというシンプルには強く共感する。後作の禍々しい陽光の方が高水準だが、この明るさは素敵だ。B級っぽい演出もパルプ小説的でいい味。 [review][投票(2)]
★5マグノリア(1999/米)クソッタレな人生達に降りかかるクソッタレな雨。この世界の「転換」なんて、むしろこんなクソッタレな形でしか起こりえないのではとさえ思う。汚濁=苦しみは汚濁=苦しみでしか流せないかもしれない、しかし必ず流せる、と静かに強く語る監督の厳しくも優しい視線。苦しみが頂点を迎える「合唱」シーンに涙腺が決壊した。これはレクイエムだろう。アルトマン後継者筆頭の面目躍如。全てが高水準だが楽曲が特筆。[投票(2)]
★3ディパーテッド(2006/米)「ちょっと散歩に行ってくる」的風情で両手を血に染めて現れるニコルソン親父。ぶらり御大のトボケ顔や構図も相まって醸し出されるどす黒い笑い。この、血に退屈したキレキレ感には「有難や」と落涙して悦んだが、それ以外ほとんど印象に残っていない。テクは確かと思うが、「心」の面で突き抜けるものを感じない。もっとも、落下ショットは心技ともに傑出していたかもしれないが。 [review][投票(2)]
★5ギター弾きの恋(1999/米)俺はモートンの激可愛さで失神・・・というのは現実には嘘だが、心象の比喩という意味では誇張はゼロ。エメットはばかやろうだが、その「ばかやろうだからこそ奏でられる音楽」のほろほろした哀しさと美しさを描く説得力が凄い。しれっとした表情で放り出されるギャグや夜の光のやわらかさも全てが完璧で、ペンアレンの頭を愛をこめてギターでぶん殴りたくなる。「このばかやろう」と。宝物のような一本。[投票(2)]
★4ミラーズ・クロッシング(1990/米)「簡単」な足し算引き算のはずが、痴情のもつれで無意味に複雑になり、加減乗除を繰り返してつじつまを合わせようと躍起になっているうちに遂には「ゼロ」をかけてしまう。やがて訪れる無常。ナルシスティックなハードボイルドに見せかけて甚だしく嘲笑的な計算式がいかにもコーエンらしい。そして「帽子」の映画。 [review][投票(2)]
★3恋の罪(2011/日)流麗なタイトルロゴ、「ソーセージの試食」や「朗読会」など抱腹絶倒で、バッカじゃなかろかと思わせるが、確信犯だろう。エロで堕ちるという下世話命題を描くにあたり、陳腐な昼ドラ文法をなぞりつつの戯画的下品さの中に嘲/冷笑をのぞかせる導入は間違ってはいない・・・いないが、マジになり出してから文法がおかしくなる。 [review][投票(2)]