寒山拾得さんのコメント: 投票数順
喜劇 初詣列車(1968/日) | 最終作。同時代のフーテン描写サイケ描写が穿っていて阿呆らしくも愉しいのだが、辛気臭い保守的なまとめ方との落差で損しているだろう。ピンキー・チックスの演奏付。64年の新潟地震が背景になっている。 [review] | [投票] | |
ミカエル(1924/米) | 美に憧れる画家は孤独、美は自足し彼に見向きもしないが、画家は美を求めざるを得ない。嗚呼ウィーン世紀末。ドライヤーは『あるじ』同様、まだ個性的とは思われないが、一部に後年の傑作を想起させる空間処理があり、そこだけが生々しい。 [review] | [投票] | |
月夜の傘(1955/日) | ご近所付き合いの由無し事を綴った良作。映画が「文化産業」として良作を求められた時代の穏やかな達成のひとつだろう。なによりオープンセットが素晴らしい。陽当たりのいい、真ん中に井戸のある、理想的な生活空間に見える。 [review] | [投票] | |
ピーター・セラーズの労働組合宣言!!(1959/英) | 企業も組合も喧嘩両成敗の逆両論併記でそこからのアジールはヌーディスト村。イギリスものらしく皮肉が蔓延し、保守的な理屈もまかり通って驚かされるが、個別の描写は時代を反映していていろいろ興味深い。 [review] | [投票] | |
人生のお荷物(1935/日) | 斎藤・吉川・突貫小僧のトリオによる五所平版『生まれてはみたけれど』 [review] | [投票] | |
はだしの花嫁(1962/日) | 瀬戸内海往来の関西汽船の観光映画。海と空の青がとても美しい。青の番匠と呼ばれたらしい。海見下ろして唄う倍賞をもっと観たかった。別府の山猿のボス争いは寅さんでも観たような。環三千世がキュートな役で嬉しい。 [review] | [投票] | |
壮士劇場(1947/日) | 角藤定憲を描く憲法普及会製作映画(他に渋谷『情炎』と亀井『戦争と平和』の由)。中江兆民作詞「やぶれ障子と私の権利、張らにゃなるまい秋の風」。阪妻の似合わない長髪が時代を記録している。 [review] | [投票] | |
ちんじゃらじゃら物語(1962/日) | 釘師伴淳の活躍、パチプロフランキーとの対決など、とても魅せる。隠し子とかオートレースとか他のネタはどうでもいいから、全編パチンコネタで頑張ってほしかった。そうすればひとつの時代の典型が示せたかも知れず。 [review] | [投票] | |
白い天使の抱擁(1972/日) | 深刻そうでそうでもない展開は片桐夕子のノホホンとしたキャラと相性が良かった。バラケた収束が感じいい。 [review] | [投票] | |
浅草紅団(1952/日) | 原作は同じ川端でも、戦前浅草の裏社会を描いて有名な「浅草紅団」ではなく、女剣劇紅座の紅竜子京マチ子が主人公の「浅草物語」。こんなのは騙しではないのだろうか。しかし女剣劇の舞台はどれも素敵。 [review] | [投票] | |
ロビンソンの庭(1987/日) | 比較的弱い作品。占拠した楽園は蚊が多いということだろうか。 [review] | [投票] | |
てなもんやコネクション(1990/日) | 香港の水上バラック。ここらの土地は家を建てれば自分のものだ。即ち『ロビンソン』と同じ占有の主題が、香港では具体的に展開されている。デ=シーカの『屋根』とも主題を共有するだろう [review] | [投票] | |
JUNK FOOD/ジャンク フード(1998/日) | 20世紀に外国人労働者を描き続けていたという一点だけでも山本政志は後世に残るだろう。これは20世紀末の『どっこい生きてる』だ。 [review] | [投票] | |
水の声を聞く(2014/日) | 本当に困った人を前にしたとき、高額納付を強いる新興宗教とは何だろうか、という真摯な現状批判。 [review] | [投票] | |
親不孝通り(1958/日) | 何でアメリカ人相手なのか判らなかったが、賭けするボーリング場が面白い。流行が始まっていたのだろう。自動ピン立てマシンもすでにある。60年代になり映画が不況になると、映画館は多くがボーリング場に改装されるのだが、50年代の映画館はこれをまだ知らない。 [review] | [投票] | |
闇を横切れ(1959/日) | キノシタ『善魔』みたいなもので、云いたいことは判る気がするがこんな上手く行くもんかとも思わされる山村聰の二段階革命論 [review] | [投票] | |
女体(1969/日) | 『痴人の愛』系統の浅丘ルリ子。ラリっているのだろう。冒頭で踊りながら大学会議室の机の角齧るのが素敵。不自由なのは外さないブラで、スターシステムとダイニチ配映の限界、これを突破したロマンポルノはやはり偉かったと思わされる。 [review] | [投票] | |
やくざ絶唱(1970/日) | 素晴らしいのが勝新の喧嘩シーンで驚くほどのスピード感、観客が予想する一瞬前に拳固や蹴りを入れており実に痛快。役者が上手いのか演出編集が上手いのか、たぶん両方なのだろう。特に必然性もなく転落する大谷直子がダイニチ映配好み。 [review] | [投票] | |
人生の高度計(1933/米) | フェミニズム主題で近年再評価された作品とのこと。アーカイブが充実していて過去作に容易にアクセス出来て、その読み直しが新たな思想潮流をつくり過去作自体も評価し直される。文化先進国は羨ましいなあと思う。 [review] | [投票] | |
大地(1930/露) | 『ポチョムキン』『母』と並ぶ名作の由。デムツキーのキャメラは地平線を取り込んだソ連映画らしい自然撮影に『怒りのキューバ』の先駆と思われる豪快な美しさがある。ソ連が検閲カットしているらしく、話は前衛なのか検閲なのか判らない処があるのが残念。 [review] | [投票] |