コメンテータ
ランキング
HELP

煽尼采さんのコメント: 更新順

★2アリス・イン・ワンダーランド(2010/米)赤の女王を演じるヘレナ・ボナム・カーターの、巨大な顔面に、傲慢さ、弱さ、哀しみ、寂しさ、愚鈍さ、憤怒、等々の感情を展開する繊細自在な演技が白眉。彼女にかなり救われている。だがハリウッド式教訓臭はルイス・キャロルの原作に対して冒涜的。 [review][投票(1)]
★3リミッツ・オブ・コントロール(2009/スペイン=米=日)「自分こそ偉大だと思っている男を殺せ」。この禅問答のような依頼にどう落とし前をつけるのかと思いきや――、いや、これではジャームッシュを殺そうとする観客が出ないか些か心配だよ。 [review][投票(2)]
★4ユキとニナ(2009/仏=日)なにより、ユキを演じたノエ・サンピの美しさ。単に綺麗な子だというだけではなく、日仏双方の血を引いている容姿が、日仏の言語を軽やかに越境する様と相俟って、それこそ「愛の妖精」のような透明感で障壁を越えていくことの美しさ。 [review][投票(2)]
★3あの夏の子供たち(2009/仏)観ているこちらも「この時間がずっと続いてほしい」と思える幸福感に充ちた家族の光景。末娘と次女が父と一緒になって発散する溌剌としたエネルギー。父の映画製作と同じく、本作自体も多忙で活発なリズムを刻む。時間を追い、時間に追われて進む人生。 [review][投票(2)]
★3セックス・アンド・ザ・シティ2(2010/米)四人がアブダビなんぞに行ったせいで再確認、やはりこのシリーズにはニューヨークが絶対必要。単に豪華で煌びやかなら良いわけではないのだ。キャリーのアパートのような、雑然として狭い空間の生活感と対照的に、夢のような豪華ホテルが現実感を奪う。 [review][投票]
★2華麗なるアリバイ(2008/仏)心理劇としての構造には興味を惹くものはあるが、フランスらしい簡潔さというべきか、各人物間の関係図の線上を役者に辿らせて終わりといった感があり、あまりに淡白。悪しき主知主義。シネフィルのヒッチコックごっこにも「またか」とアホらしくなる。 [review][投票]
★2太陽の季節(1956/日)原作小説のように文字で読む分には構わないのだが、当時の若者の言動は今見るといちいち滑稽。心理表現で原作の深度に達していないのが致命的。長門裕之は顔が冗談じみているので、本作や『秋津温泉』のような映画で主役を張るべきではないだろう本来。 [review][投票]
★3裸の島(1960/日)台詞を禁じる手法が実験的とは言えるが、その喜怒哀楽のドラマはむしろ単純化され、分かり易すぎる感もある。殿山泰司は肉体で懸命に演技しているが、その「台詞が聞こえてきそうな」演技は無言のままに多弁にすぎ、虚構じみてもいる。 [review][投票(1)]
★2踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!(2010/日)個人的にはこのシリーズ、決して嫌いではなかったが、さすがにこれはない。「死」が一つの主題である本作は、結局『踊る』シリーズの死を感じさせて終了という観。骨太な物語をその中心に据えながらも、それを取り囲む緩々の態勢に沈没。 [review][投票(1)]
★4父、帰る(2003/露)とにかく、ショットとアクションのシンプルかつ強靭な力に圧される。そうした、瞬間的な「現在」の充実ぶりから徐々に立ち現れてくる反復。ひとつの試練、謎、問いとしての父。 [review][投票(4)]
★3ファンタスティック・プラネット(1973/仏=チェコスロバキア)ドラーグ人の丸い目の赤さと皮膚の青さが幻覚的に目に沁みる。小動物としての人類を見下ろす視点が新鮮。前半は、頭上を覆う圧倒的存在に「飼われる」感覚がどこか倒錯的・家畜人的な心地好さを感じさせるが、人間が人間らしくなる後半は急に退屈。 [review][投票(4)]
★3運命のボタン(2009/米)始まって十数秒も経過していない辺りで既に予想できた範囲から全く逸脱しない真相。『世にも奇妙な物語』レベルの紋切り型に過ぎないのだが、意味ありげで重層的(飽く迄「的」)な雰囲気だけは発散しまくる演出力は手応えあり。 [review][投票(3)]
★4ベニスに死す(1971/伊)ヴェニスを覆う「観光」という猥雑さの向こうに見える純粋美。無駄な台詞は排され、主人公を演じるダーク・ボガードの微妙な表情の変化が支配する。特に、或るシーンでの、顔に浮かぶ笑みを抑制しながらも、内なる幸福感を隠しきれないその様子! [review][投票(4)]
★2魔界転生(2003/日)全篇に渡って、作り手の本気度を感じない。安直な音楽を安易に垂れ流す編集も最悪。B級的な饐えた味わいにすら乏しい。 [review][投票]
★3トウキョウソナタ(2008/日=オランダ=香港)携帯電話という形で家庭内に持ち込まれる、「外」との繋がり。井川遥の、生徒の他に誰も居ないリビングにデンと置かれたピアノと、路上から個室へと場所を移すピアノの暗示する「個」の身の置き場所。 [review][投票(4)]
★2ガマの油(2009/日)全体的には脚本、演出共にそう悪くはないが、ヒロイン・光(二階堂ふみ)の鬱陶しさが半端ない。三歳児がそのまま大きくなったような言動は、最初の内は明朗さとして許容可ながら、その一本調子が続くにつれて苛々する。 [review][投票]
★2ラブリーボーン(2010/米)これがあの『乙女の祈り』を監督したピーター・ジャクソンかと疑うほどに叙情性を欠く。LOTR三部作の成功でCGも自在に使える解放感に満ち溢れても見えるが、ドラマより幻想シーンに凝ることに夢中になりすぎだ。やたらと動き回るカメラワークも鬱陶しい。 [review][投票]
★3WATARIDORI(2001/仏)僕が観た安田成美がナレーションを担当している日本語版では、脚本と演出が久世光彦らしいので、ジャック・ペラン監督の意図にどこまで沿っているのかは分からないが、鳥の心情を擬人化して語るのが鬱陶しい。 [review][投票]
★2NINE(2009/米)バカらしいのは、創作意欲の渇きや空虚さをそのままフィルムに定着させた『8 1/2』を更にそのままなぞり、何の批評性も無いままショーとしての洗練度だけ増した皮相さ。フェリーニが個人的記憶として描いたシーンを模倣する空疎さに気づかぬ鈍感さ。 [review][投票(2)]
★3エルマー・ガントリー 魅せられた男(1960/米)バート・ランカスターの演劇的で大仰な演技も、長尺に付き合う内に慣れるが、彼の口八丁手八丁が信仰復興を社会現象化する事態への批評性に乏しい。冒頭の字幕は明らかに誇大広告だし、それ自体が主人公の詐欺師ぶりに沿っていると見ても詰まらない。 [review][投票]