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3819695さんのコメント: 点数順

★5北北西に進路を取れ(1959/米)これだけ面白ければもう何も文句はありません。ヒッチコックの欲望が剥き出しの映画。 [review][投票(7)]
★5きみの鳥はうたえる(2018/日)驚くべき原作解釈/改変力。恐るべき人物造型力。ダンスシーンに対する感度や、「楽器」(ジューズ・ハープ)で幸せを演出しようとする態度はまったく日本映画離れしている。たとえ出来事が一貫して現代日本の若者のリアルに踏みとどまっているように見えようとも、これはまごうことなき世界映画である。 [review][投票(6)]
★5女と男の観覧車(2017/米)ややもするとウディ・アレン最大の傑作。一段と怜悧冷徹に冴え渡った話術の冷血もさることながら、何より、これほど視覚的に充実したアレン映画はかつて見たことがない。ヴィットリオ・ストラーロ久方ぶりの大仕事であり、ストラーロ謹製のアスペクト比一対二画面の作としても最良の成果物に数えられる。 [review][投票(6)]
★5無法松の一生(1943/日)阪東妻三郎演じる富島松五郎の生涯を俯瞰したとき、たかだか中年時代からの後半生にも満たないはずのこの物語が『無法松の一生』などと題されるのは、彼にとって沢村アキヲ園井恵子との日々こそが「一生」だからだろう。車輪を軸に繰り広げられる「走馬灯」のイメージに嗚咽をこらえることはできない。 [review][投票(6)]
★5ソルト(2010/米)アンジェリーナ・ジョリーの超人オリンピック。アクションシーンの手ブレ撮影に「ロバート・エルスウィットにこんなことやらせるなよ」と拒否反応が出かかるが、よく見ればどのカットもとても丹念に撮られている。相変わらず性的すぎるジョリーさんの無心理アクション釣瓶打ちを存分に堪能する。 [review][投票(6)]
★5未知との遭遇(1977/米)一三七分版。いまだ『シンドラーのリスト』とこれが撮影におけるスピルバーグの最高作だ。光に溢れた鮮明な画面は必ずしもヴィルモス・ジグモンドの資質に最もふさわしい造型ではないだろう。だがこのルックが私には堪らないのだ。別班・追加の撮影者たち(錚々たる顔触れ!)もすばらしい仕事を残している。 [review][投票(6)]
★5ロシュフォールの恋人たち(1967/仏)画面の隅々にまで行き渡った統制とそれによる充実は『プレイタイム』を除いたジャック・タチに比肩する。しかもそれをロケーション撮影でやってのけるのだから驚愕してしまう。空間的には「広場」と「カフェ」がいい。とりわけ広場シーンにおいて群舞を捉える引きのクレーン・カットには中毒的な魅力がある。 [review][投票(6)]
★5見知らぬ乗客(1951/米)何はともあれ回転木馬! ラストもそうだが、一回目の回転木馬シーンのえも云われぬ不気味さこそが余人の遥かに及ばないヒッチコックの到達点だ。 [review][投票(6)]
★5叫(2006/日)これは風景論・時間論/記憶論として語られる悲痛な愛の物語なのだから、単に『回路』『CURE』の焼き直しと見做すことは不当だ。とは云え、やはり刺激的な諸イメージを愛でることがこの映画と対する仕方としてはとりあえずふさわしいだろう。ま、それが「いつもの黒沢映画」と云われてしまう所以なんだけど。 [review][投票(6)]
★5おかあさん(1952/日)傑作。実に驚くべき映画だ。たまげてばかりで片時も落ち着いて見ていることができない。 [review][投票(6)]
★5ライフ・アクアティック(2004/米)真に感動的なフィルム。Iggy & The Stoogesの“Search & Destry”が鳴り響く戦闘シーン及び廃ホテルとその前後のシークェンスにおける演出は我が目を疑うほどに圧倒的。エンド・タイトルバックの「全員集合」には涙が止まらない。 [review][投票(6)]
★5大人の見る絵本 生れてはみたけれど(1932/日)本人たちにとっては大問題でも客観的に見れば日常生活の些事に過ぎない事柄を描きながら、「人生の真理」とまで呼んでしまいたくなる何ものかを観客に感取させてしまう作劇術は、すでにここにおいて完成している。ああ、それにしても列車を登場させないと気が済まない小津! [review][投票(6)]
★5かぐや姫の物語(2013/日)映画やアニメーションとして云々するより、ひとまずギザの大ピラミッドやシスティーナ礼拝堂の天井画などと並べ置いてみたほうが落ち着きがよい。技術と予算を中心とする膨大な数と種類の諸条件が満たされたとき、人類はこれほどの創造物をものにしてしまえるのかと、ほとんど呆れにも近い畏れを覚える。 [review][投票(5)]
★5ペルシャ猫を誰も知らない(2009/イラン)NMEをチェックしてジョイ・ディヴィジョンのポスターを部屋に貼り、CBGBやストロークスのTシャツを着て「アイスランドでシガー・ロスのライヴを見たい」とささやかな夢を語る――それはあまりにも、あまりにも私たちではないか。しかし私たちである彼らがヘヴィメタルを演奏する場は牛舎にしかない! [review][投票(5)]
★5雨に唄えば(1952/米)ジーン・ケリーデビー・レイノルズドナルド・オコナーの和が生む魔法的幸福感。社長ミラード・ミッチェルも好ましい。むろん“Talkie Killed the Silent Star”という残酷譚でもあるが、ジーン・ヘイゲンの度量がその前景化を押しとどめる。同時に彼女は観客の同情を集めもするだろう。可愛げがあるからだ。 [review][投票(5)]
★5冬冬の夏休み(1984/台湾)ホウ・シャオシェンの凄さを体感するにはこれを見るのが手っ取り早いだろう。演出による葛藤やもどかしさ、焦燥、さらには笑いの創出はキアロスタミを、冒頭卒業式シーンにおける望遠レンズでの空間把握などはカサヴェテスをそれぞれ想起させる。現代にも通用する八〇年代映画の最先端。まったくもって驚きの連続。 [review][投票(5)]
★5エル・スール −南−(1983/スペイン=仏)「窓」の作家としてのエリセ。最後の昼食シーンが「窓辺」の席で繰り広げられねばならないのは当然だ。なんと繊細な光の扱い! 全ショットの力の平均値は『ミツバチのささやき』を上回る。最高度の繊細さが「これ以外にはありえない」強靭な画面を生む。映画を駆動する「謎」も快い。最良の探偵映画のように。[投票(5)]
★5フェイシズ(1968/米)各キャラクタの人格のなんと立体的であることか! それは現実以上に現実的ですらある。その意味で、これをリアリズムと呼ぶことはもはや適当ではない。どうすればこのような演技が、演出が生み出せるのか。カサヴェテスはぶっきらぼうに映画の魔法を連発する。 [review][投票(5)]
★5動くな、死ね、甦れ!(1989/露)画面の熱。云うまでもなく、それは撮影地の気候などとはまったく関係のない何ものかである。痩せた土の「黒」と雪や吐息の「白」を基調としたこのモノクローム画面は、しかし狂的に熱を帯びて燃え上がっている。「撮影のテンション」「演出の切迫感」などと云い換えてもよいであろうその熱は、適度を遥かに超えて過剰である。 [review][投票(5)]
★5怒りの葡萄(1940/米)恐るべき「自動車」の映画であり、「土地」についての映画。すなわちロード・ムーヴィ。これほど文字通り生死を賭けたロード・ムーヴィは他にないかもしれない。グレッグ・トーランドの操る光と影を借りて、フォードは圧倒的な絶望と一片の希望を込めてそれを描く。 [review][投票(5)]