3819695さんのコメント: 点数順
オー・ブラザー!(2000/米) | 撮影面でも見るべきところが多いが、ここは何と云ってもメインキャスト三人の魅力。すばらしいハーモニーと云うべきか絶妙の不協和音と云うべきか、いずれにせよこの三人の演技のアンサンブルはとてもとても面白い。 [review] | [投票(2)] | |
バートン・フィンク(1991/米) | ニューヨーク演劇界の寵児を演じるのがジョン・タトゥーロであるというのがまず大いに舐めているし、ジョン・グッドマンの「I'll show you the life of the mind!!」という絶叫も意味不明でよい。「不快」の映画として立派に成立していると思う。 [review] | [投票(2)] | |
LOFT ロフト(2005/日) | 自律的な瞬間のみで成立したフィルム。「映画」とは人間なんぞが用いうる尺度では到底捉えきれない怪物的な何かであり、人間が「映画」を飼い馴らすことなどできないということを黒沢清『LOFT』は「分かりやすく」諭している。 [review] | [投票(2)] | |
妻として女として(1961/日) | 素直に見ればやはり高峰秀子と淡島千景の映画ということになるだろうが、高峰と飯田蝶子の絡みも実に面白いし、十朱久雄などもいい味を出している。唄の使い方も興味深い。高峰・飯田のそれはもちろん、序盤の大沢健三郎の唄が終盤で反復されること。その痛ましさ。 [review] | [投票(2)] | |
遥かなる大地へ(1992/米) | なんだかんだ云ってトム・クルーズもニコール・キッドマンもすばらしい俳優だし、ロン・ハワードはさすがに手堅く面白く映画を仕上げている。(照明も含めて)豪華なセット撮影はいかにもセットという感じが強いが、終盤の雄大なロケーション撮影を引き立たせる役目を果たしている。 [review] | [投票(2)] | |
脱出(1945/米) | ここでもホークスの演出は圧倒的でありながら、俄かには圧倒的であることをも感じさせないという最良の「アメリカ映画」を体現している。この傑作を前にした私たちにとって最も難しい行為とは『カサブランカ』を想起することではないか。 [review] | [投票(2)] | |
ビリー・ザ・キッド 21才の生涯(1973/米) | 『ワイルドバンチ』なんかよりもよっぽど厳しい「死」の映画。 [review] | [投票(2)] | |
三十三間堂通し矢物語(1945/日) | 冒頭からいい味を出す田中春男に引き込まれつつ、田中絹代のピンチを救う長谷川一夫の理不尽な格好よさに哄笑&惚れ惚れ。クライマックスの通し矢をほとんど音の演出(太鼓・鐘・喚声)だけで押し切ってしまう豪胆さにはたまげるが、それを支えているのは絹代・長谷川のリアクション演技の繊細さだ。 | [投票(2)] | |
狼たちの午後(1975/米) | これはシチュエーションとキャラクタ、即ち「芝居」の面白さ。多少カッティングを工夫したり申し訳程度に空撮を入れたりしたところで「映画」らしくなるわけではないのだが、ジョン・カザールの存在感とアル・パチーノの常人の限界を超えたテンパリ演技は立派。 [review] | [投票(2)] | |
父親たちの星条旗(2006/米) | このカタルシスゼロの戦闘シーンを提示するにあたって、イーストウッドは「主観を交えずにリアルに戦闘を描くことで反戦的メッセージを浮かび上がらせる」などという安直な目的を持ってはいない。「そこで戦闘が起こっていたからそれを撮っただけ」なのだ。 [review] | [投票(2)] | |
ブラッド・ワーク(2002/米) | イーストウッドとワンダ・デ・ジーザスが夕陽に染められた海沿いの道を歩くシーンの美しさは、イーストウッドのキャリアの中でも出色ではないか。トム・スターンという人物はブルース・サーティースやジャック・N・グリーンにも劣らない撮影者らしい。終盤の「暗闇」と「水」はやりすぎなほどに映画的。 [review] | [投票(2)] | |
目撃(1997/米) | このような他愛もない題材を問答無用の傑作に仕上げてしまうのがイーストウッドじゃなかったのか、という多少の失望は覚えざるをえないものの、陰ながら娘を想うイーストウッドの様には不覚にも目頭を熱くしてしまった。 [review] | [投票(2)] | |
ばかのハコ船(2002/日) | なんとすばらしい俳優たちだろう。最もキャリアがあるはずの笹野高史だけが唯一失敗しているのではないかと思ってしまうほど、皆すばらしい演技を見せている。とりわけ山本浩司とその母・木野花は凄いっ! [review] | [投票(2)] | |
バード(1988/米) | 平生とさして変わらぬいかにもイーストウッド的な演出が運命論的なドラマツルギーに加担すると、映画はかくも重くなるのだ。笑えない。アクションもない。イーストウッドも出ていない。だからこそイーストウッドによるダイアローグ空間構築の凄味が浮き彫りになる。フォレスト・ウィテカーはもちろん、ダイアン・ヴェノーラもすばらしい。 | [投票(2)] | |
ハートブレイク・リッジ/勝利の戦場(1986/米) | 面白いですよ、これは。イーストウッドが自分の役を本当に嬉しそうに演じているのが見ていて気持ちいい。俳優イーストウッドをこのように使えるというところが監督イーストウッドの懐の深さなのだろう。 [review] | [投票(2)] | |
トランザム7000(1977/米) | なんと清々しい映画だろう。清々しすぎて切なくなる。『バニシング・ポイント』や『コンボイ』のように主人公の姿に「反権力」や「自由」を重ね合わせようという下心は、ここには存在しない。本気のカーアクションと気の利いたダイアローグ、そしてくだらないギャグ。ただそれだけ。ジェリー・リードによるテーマ曲もすばらしい。 | [投票(2)] | |
ダーティハリー4(1983/米) | クリント・イーストウッドは自分を格好よく見せる仕方を熟知している(逆光で登場!)。それをナルシシスティックの一語で片づけることは許されない。演出家としての聡明さこそをそこに見るべきだ。特に毎回監督が代わるジャンル物のシリーズ作において、それは如実に示されることになる。 [review] | [投票(2)] | |
東京流れ者(1966/日) | これは凄い。ファーストカットからやりすぎなくらいキマっているのだが、セカンドカットは『ワイルドバンチ』じゃないか(でもこっちのほうが制作年早いんですね)。さらに小津風味の無人のフィックスショットまでキメてくるし、トコトコと走る犬はジャック・タチか? アヴァン・タイトルの時点でもうこの映画の勝利は確定している。 [review] | [投票(2)] | |
ヤンヤン 夏の想い出(2000/台湾=日) | 望むと望まざるとにかかわらず人生は勝手に前に進み、二度と同じ地点には戻れない。それは「映画」も同様であり、三時間弱もの上映時間を持つ『ヤンヤン 夏の想い出』でさえ上映が始まれば劇は不可逆的に前に進行するのみで、いつしか終わりを迎える。ゆえに一瞬間を永遠に留める「写真」の登場に私たちは動揺を覚える。 [review] | [投票(2)] | |
フルメタル・ジャケット(1987/米=英) | 温度も湿度も欠いた「嘘」のヴェトナムは、問題をヴェトナム戦争に限定しようとする態度を厳しく禁じている。また戦争映画らしくそれなりにぽんぽんと人が死んでもいくが、焦点はあくまで「人をひとり殺すということ」に絞られている。その意味でこれは悪意の作家キューブリックの「誠実さ」が最も顕わになった映画だ。 | [投票(2)] |