[コメント] リンダ リンダ リンダ(2005/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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ペ・ドゥナが、誰もいない体育館のステージで、明日のステージを想像して、人知れずメンバー紹介のリハーサルをするシーンが良かった。昂揚感とは必ずしも誰かと共有されるものとは限らない。ああやって一人で味わうことだってある。自分のポジションを発見した彼女は、ああせずにはいられなかったのだろう。
冒頭、気になる女の子に自作の青臭いセリフを言わせて、文化祭の記録ビデオを撮っている情景もいい。あの青臭さを突き放して一方的に嘲笑の対象とするわけでもないし、あの思い込みの激しそうな男にことさら肩入れするわけでもない。絶妙な距離感が保たれている。「これから始まるぞ」という、あのどこから湧いてくるのかわからない不思議なボルテージがじわりと浮かび上がってくる。
極端な話、これだけ舞台前日の昂揚感が描かれてさえいればもう十分で、ステージ本番のシーンなどはむしろ蛇足にすら感じる。実際、ペ・ドゥナがMCを務める余裕はなかったし、あのビデオだって思い通りには完成していないだろう。
でも、だからこそいいのだ。だからこそ、うまくいかなかったけどそれでも気持ちが昂ぶっていた、あの昔の記憶が甦ってくる。完成度の高いステージは、プロや『ウォーターボーイズ』『スウィングガールズ』のようなパッケージングされた「商品」に任せておけばいい。結果ではなく、過程の中のふとしたひとコマひとコマこそが、かけがえのないものだ。そんなことをさらりと語った、山下敦弘による珠玉の青春映画。(★4.5)
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