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煽尼采さんのコメント: 投票数順

★2ラルジャン(1983/スイス=仏)結局、容赦ない非人間性に徹するこの演出の極限の簡潔さに「峻酷」「冷厳」「苛烈」等々の畏れを覚えるには、観客自身の人間的な眼差しが前提になる。僕のように非人間的な観客には、機械人形の所作でも眺めているような無関心の眼差ししか保持できない。 [review][投票(2)]
★3ボーイズ・オン・ザ・ラン(2010/日)ようく観察すれば主人公の「ラン」は、逃げることと闘うこと、本能と見栄とが混在し混乱し、一義的でない。それは彼の「ラン」の只中に視点を置いた為であるだろうし、人生そのものもそうした割り切れなさを大抵、いつも抱えているからだとも思える。 [review][投票(2)]
★4少女ムシェット(1967/仏)バルタザールどこへ行く』が「無為」の受難だとすれば、これは「反抗」の受難とでも呼ぶべきか。もとより言葉を持たない驢馬と違い、その沈黙ないし拒絶の言葉による断絶が、少女の「反抗」の眼差しの奥に在るものへと観客を引き込む。 [review][投票(2)]
★3恐怖(2009/日)映画が映画であることの「恐怖」で登場人物、観客、世界の全てを喰らおうという野心に果敢に挑戦した、と「努力賞」を献呈できるほどの出来にも達していない。脚本の単なる肉づけにとどまらない映像の自律的な強度が生じない、典型的な脚本家監督の仕事。 [review][投票(2)]
★3(500)日のサマー(2009/米)そもそもズーイー・デシャネルを大して愛くるしいと思わないので、「サマー効果」がどうとか尤もらしく語るナレーションの、人生を俯瞰した神視点を初め、主人公が彼女に翻弄されるという物語の前提条件そのものが僕の中で不成立。 [review][投票(2)]
★3ロープ(1948/米)全篇をワンカット――に「見える」ように撮っていると聞いていたので、二箇所、さり気なくかつ堂々とカットを割っていたのが、却って大胆、新鮮に見えてしまう奇妙。実時間的な流れが活きた場面があるだけに、窓外の風景の変化で時間を省略したのが残念。 [review][投票(2)]
★3リミッツ・オブ・コントロール(2009/スペイン=米=日)「自分こそ偉大だと思っている男を殺せ」。この禅問答のような依頼にどう落とし前をつけるのかと思いきや――、いや、これではジャームッシュを殺そうとする観客が出ないか些か心配だよ。 [review][投票(2)]
★4ユキとニナ(2009/仏=日)なにより、ユキを演じたノエ・サンピの美しさ。単に綺麗な子だというだけではなく、日仏双方の血を引いている容姿が、日仏の言語を軽やかに越境する様と相俟って、それこそ「愛の妖精」のような透明感で障壁を越えていくことの美しさ。 [review][投票(2)]
★3あの夏の子供たち(2009/仏)観ているこちらも「この時間がずっと続いてほしい」と思える幸福感に充ちた家族の光景。末娘と次女が父と一緒になって発散する溌剌としたエネルギー。父の映画製作と同じく、本作自体も多忙で活発なリズムを刻む。時間を追い、時間に追われて進む人生。 [review][投票(2)]
★2NINE(2009/米)バカらしいのは、創作意欲の渇きや空虚さをそのままフィルムに定着させた『8 1/2』を更にそのままなぞり、何の批評性も無いままショーとしての洗練度だけ増した皮相さ。フェリーニが個人的記憶として描いたシーンを模倣する空疎さに気づかぬ鈍感さ。 [review][投票(2)]
★3探偵物語(1983/日)薬師丸の小娘ぶりは概ね鬱陶しいだけで、推理物としても何の面白味も無いが、三流ミステリらしい好奇心で首を突っ込むヒロインが、真相究明の過程の中で大人の世界を垣間見る様が主眼の作品。 [review][投票(2)]
★3インビクタス 負けざる者たち(2009/米)「嘘のような実話」という基盤に支えられた、無重力的な多幸感。終盤に至るまでの確固たる演出と、アメフトに於ける肉体の衝突の重みが確かな手応えを担保してはいるが、それら全てを一気に無重力化する予定調和。 [review][投票(2)]
★3かいじゅうたちのいるところ(2009/米)我儘な少年がキグルミと戯れる光景に延々と付き合わされる面倒臭さも否めないが、怖さと安堵感を共に担う「闇」や、キグルミらしさを活かしながらの、アクションの重量感や人間(かいじゅう?)関係の描写に於けるリアル等、独特の味がある。 [review][投票(2)]
★4カールじいさんの空飛ぶ家(2009/米)シンプルな原題「UP」に込められた多義性。飛ばない家はただの家だ。 [review][投票(2)]
★4死霊のはらわた(1981/米)「光」によって却って「闇」を際立たせる画や、人称不明のショットの挿入の仕方等々、一つ一つの画に対する一球入魂の意志に感心させられる。血と肉塊の過剰サービスもご愛嬌。 [review][投票(2)]
★2カムイ外伝(2009/日)台詞や画で納得・理解させるべき所までご丁寧に語ってくれるナレーションの鬱陶しさや、画から重量感も質感も奪い去るCGの酷さ、入浴剤を入れた風呂の湯かと思わせるほど青い海、等々、画面を信じる気持ちが失せる演出の連続。 [review][投票(2)]
★3湖のほとりで(2007/伊)湖の畔というシチュエーションは、作品の雰囲気を覆うような大きな要素としては働いていないが、湖が連想させる静謐さと透明感は全篇を充たしている。だが「ミスマッチの妙」と言うには違和感が強すぎる音楽が観客の耳を悩ます。 [review][投票(2)]
★3のんちゃんのり弁(2009/日)幾分、道場六三郎が作ったカップラーメンを食わされているような虚しさを覚えさせられる。からりと乾いた清潔感の漂うショットは綺麗だが、一人の女の自立と料理を描く作品としては『しあわせのかおり』の方が秀逸。 [review][投票(2)]
★4スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐(2005/米)本作に至るまでに営々と積み上げてきた事の上に立脚しつつ、その崩壊をも同時に行なう、半ば捨て身の作劇による荘厳な悲愴感。(シリーズ他作にも言及→) [review][投票(2)]
★3カメレオン(2008/日)主人公の「カメレオン」っぷりも大して物語に寄与せず、その胡散臭さも懐古的なキャラクタリゼーションの域を出ていないが、アクション演出に関してだけは、少なくとも「アクション」を演出せんとする者は全員がこれを観よと言いたくなる卓越性。 [review][投票(2)]