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disjunctiveさんのコメント: 更新順

★4オフィサー・アンド・スパイ(2019/仏=伊)静物的なショットである限りベルエポック作家の室内画を引き写して構築された絵面は破綻しないが、筋が人のアクションを要求すれば時代感はたちまち崩れ、風俗の再現と事件の展開が背反する。 [review][投票]
★4ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023/米)公共に目覚めたといえば警戒を呼ぶ。選択肢の仕込みがどんなに巧妙であっても市民化を強いられた体裁には変わりない。正義の物証は酷使される肉体の悲愴にこそある。イーサンという極めて属人的な媒体によって何か確実なものがあると女は知った。 [review][投票]
★4アステロイド・シティ(2023/米)テネンバウムズ家を踏襲する際にトム・ハンクスを義理の父にしたために、死別した妻が人間関係を凝集させる。人々のかみ合わせが要求するこの精度を達成するために、50年代の時代設定と科学賞が民度を蒸留する。 [review][投票(2)]
★4ここは退屈迎えに来て(2018/日)成田凌が淡い失恋の重心となって構築される青春の仮構じみた追憶は、ロードサイドの閉塞と関連を持たないように見える。失意の体系に組み込むには嘘臭い橋本愛のかわゆさはロードサイドから浮いている。 [review][投票]
★4ヘルドッグス(2022/日)デザイナーズマンションで地上を覆い尽くしたい審美感には含羞があり、その笑いの紛らわしは非ゲイアピールをゆるふわにしつつ、坂口健太郎の善性を誤用してしまう。 [review][投票(2)]
★4Revolver リボルバー(1988/日)サイコを退治する自警行為の俯瞰図は、自警が違法だからこそ無意識の営みに落とし込まれる。沢田から少年へ銃をリレーするのは徳のタイプキャストである小林克也である。 [review][投票(1)]
★4縞模様のパジャマの少年(2008/英=米)早熟を強いられた少年との苛烈な対比によって、未成熟を糾弾する父権の神話へと社会小説が変貌する。それはインテリの暗い嗜虐と共謀して、成熟を逸した人間たちを始末する悪趣味な手際へと飛躍するが、同じ心性は元医師の囚人には同情的な造形を実装する。[投票(1)]
★4クラム(1994/米)崩れた肉体から知性が漏れ出るのではなく、強い性欲による管制であり汎化である。人々はマンガのような予測通りの行動しかできなくなり、アングラ思念体の鳥観図が俯瞰される。 [review][投票]
★4泥の河(1981/日)現代を主張してやまない橋の欄干や路面に仮構の苦悶がある。出来杉た田村&藤田夫婦の聖性は、昭和後期のモラルと人相の産物なのか、その人固有の善なのか。 [review][投票(1)]
★4反撥(1965/英)内省は発見されるがそこには語るべきものがない。物に代言されるメンタルは女の後背で交通事故を引き起こすが、彼女は内省の及ぼした世界改変に気づくことなく雑踏を通り過ぎる。これはダンディズムである。 [review][投票(2)]
★4キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー(2014/米)茶番に社会的実体を与えようとすると却ってリアリズムの苦悶に陥る。各人の運動能力の秤量に由来する負荷はスタンのIDクライシスのヒロイズムを損なう。レッドフォード劇場は月面のようなその顔の古層にエヴァンスの嘘くさいスリックな相貌を告発させる。 [review][投票(1)]
★4殺人者(コロシ)を追え(1962/日)美人の元カノに浮気され美人不信に陥っている小高雄二は、香月美奈子(カワイイ)に対してもツンツンと接するばかりである。訓話のお約束としては、香月が小高を人間不信から解放するのが筋であり、表向きはそうなる。が、 [review][投票(1)]
★4赤穂浪士(1961/日)下駄を預けて共犯関係に巻き込む思考様式において、千恵蔵の内蔵助がオリジナリティを発揮する。東下りや畳職人の中村嘉葎雄にあえて身バレして、決断の負担を相手に側に放りプレッシャーを与える。 [review][投票]
★4みな殺しの拳銃(1967/日)宍戸がアップの切り返しに巻き込まれると、顔の対比によって彼はアンパンマンという人相学の被験体に過ぎなくなる。そのクラストの厚みはさまざまな不随的事象を体系づける。何よりもアンパンの感情表出が困難だ。 [review][投票(1)]
★4ありふれた愛に関する調査(1992/日)シネスイッチ銀座のロビーで世良公則の弁舌が場末の発効を愛の実証に帰して、不思議な事物性を成立させる。奥田も衝迫的に自室に事物を詰め込むが、場末感からは拒斥されつづける。 [review][投票]
★4イレイザー(1996/米)カーンの限度を知らない手際が国家不信をはるかに超えてピカレスクの痛快にすら至る。誰がこれを止めるのか。シュワは、大胆な汚職役人とイタリア系土俗倫理の引き起こす化学反応の触媒に過ぎなくなり、正義を実証する無色透明な一個の機制に還っていく。 [review][投票(2)]
★4レインディア・ゲーム(2000/米)旨すぎる話であるからセロンへの嫌疑は否定しようがないが、ベンアフの徳が嫌疑を不明瞭にする。予想されるのは女の邪悪と男の徳を包摂するオチであり、セロンがベンアフの徳の感化を受けミイラになる未来は容易に想像され、鼻腔がこの上なく広がる。 [review][投票]
★4パーマーの危機脱出(1966/英)ジト目のアンニュイがスケベをやりながら家探しをやれる能力を男に与えている。明瞭ではない内面がマルチタスクを可能にし、その自動・無意識性が男から主体性を奪う。 [review][投票]
★4狙撃者(1971/英)様々な解釈を許すケインのジト目が受け手の好意を誘いかつ拒絶する。報復が殺人を享しむ口実に過ぎないとなれば、男の内面はもはや捕捉不能であり、水没する車を前にして感情の臨界に達した彼はジト目のまま固まってしまう。 [review][投票]
★4トキワ荘の青春(1996/日)独身男の几帳面な生活が四畳半を兵舎化して、キューブリック美術のように廊下が独房のシンメトリーとなる。 [review][投票(3)]