★5 | 秘密(1999/日) | 原作を読んで見ただけに思い入れの強い作品。邦画では見た中でベスト3に入る傑作だ。広末涼子と小林薫の息がぴったりで、ぐいぐいと引き込まれていく。最後の場面での広末の微妙な表情がこの作品の成否を握っており、それに見事に応えた演技は、彼女の演技力のすばらしさを表すとともに、深い余韻を残す。ミステリファンとしては、この結末は大いに受け入れたい。 | [投票(3)] |
★5 | アパートメント(1995/仏=伊=スペイン) | 練りに練った緻密な脚本、後半の息もつかせぬ展開、魅力的な女優陣、すべてが結末に向かって有機的に絡み合う構成に脱帽。茫然自失とはこのこと。 | [投票(3)] |
★5 | オープン・ユア・アイズ(1997/仏=スペイン) | とんでもない作品だ。のっけから洗練された映像美と恋模様に目が離せなくなり、事故をきっかけに、現実と虚構の入り混じった出口のない迷宮に、否応なく引きずり込まれていく。そして、さらに物語はぶっ飛んだ方向へと暴走。見ている途中から、シネスケに5点、5点!という点数が、意識朦朧としながらも何度も浮かんだ。『アパートメント』と『マトリックス』を足して2で割ったような傑作だ。
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★5 | アンナ・オズ(1996/スイス=仏=伊) | エリック・ロシャン監督の前作『愛を止めないで』は単調な作品になっていたが、今作はじっくり撮るカメラワークが見事な映像に仕上がった。現実と虚構の区別がつかなくなってくると、もうこの作品の魅力にとりつかれた証。耽美な映像も存分に堪能でき、これは隠れた名作の域に達していると思う。シャルロット・ゲンズブールのベスト作品に『小さな泥棒』が譲れないとしたら、彼女の裏ベスト作品はこれで決まりだ! | [投票] |
★5 | 姉のいた夏、いない夏。(2001/米) | ポルトガルの雄大で美しい映像、全編を覆う絹のような滑らかな肌触り、緩やかに成長を遂げる妹の軌跡、解きほぐされていく姉の死、二度と戻らぬ郷愁に包まれた夏、この作品には、胸に迫るたくさんのきらめきが詰まっている。 [review] | [投票(1)] |
★5 | 悪魔の手毬唄(1977/日) | シリーズの中では頭ひとつ抜け出た傑作。横溝正史の原作を期待以上の出来で映像化して見せた。 | [投票(1)] |
★4 | 犬神家の一族(1976/日) | 石坂浩二の金田一はぴったりだ。そして原作の雰囲気を忠実に映像化した監督に拍手。このシリーズはどれも安心して見ていられる。 | [投票(2)] |
★5 | 人でなしの恋(1995/日) | わずか原作数十ページの作品を上手に膨らませて、乱歩の妖しい独特の世界が見事に映像化されている。結末を忘れていたこともあり、最後は本当にどきどきした。まさに「人でなしの恋」。 | [投票(2)] |
★5 | 迷宮のレンブラント(1997/米) | 正直なところイレーヌ・ジャコブを見ることができただけでも、よしとしないといけないのだが、それを上回るほどスピィーディーでサスペンスフルな展開、贋作家の鬼気迫る姿に胸を打たれた。イレーヌ・ジャコブの美しさも堪能できたし、心配した結末もうまくまとまって、いうことなしです。 | [投票] |
★4 | オリヴィエ・オリヴィエ(1991/仏) | 静かな展開ながら、登場人物たちの葛藤、ひたひたと胸に迫ってくる心理的恐怖が最後で頂点に達する展開は見事だ。地味な映像に溶け込むようでいて、それでいて滲み出てくるような艶やかさをもったナディーヌ役のマリナ・ゴロビーヌに魅せられた。 | [投票] |
★4 | D坂の殺人事件(1997/日) | 真田広之の鬼気迫る演技が見もの。
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★4 | ヒマラヤ杉に降る雪(1999/米) | 事件といい裁判といい、重苦しい雰囲気が漂うだけに、過去の瑞々しい映像の美しさが鮮烈に記憶に残る。ラストの余韻も忘れがたい。 | [投票(5)] |
★4 | ブロークダウン・パレス(1999/米) | 冒頭の音楽からアジアンテイストいっぱいで惹きつけられた。クレア・デインズもいいが、個人的には初見のケイト・ベッキンセールの楚々とした美しさにより惹かれた。結末は続編があるなら納得してあげます。続編(あるの?)に期待。 | [投票(1)] |
★4 | 羅生門(1950/日) | 映像から、この時代の息吹、登場人物の荒々しい熱気が、直に伝わってくるような圧倒的なパワーがある。そしてそれぞれの視点から見えてくる違う真実。この手法は斬新で驚いた。これはミステリスピリットに満ちている。三船敏郎の直情系の男気と京マチ子の零れ出す妖しい魅力。ぞくぞくした。 | [投票(5)] |
★4 | ルームメイト(1992/米) | かなり前に見た映画だが、だんだんと狂気にかられていく過程が怖かった覚えがある。好きな女優であるブリジット・フォンダが出ていることは後で知ったので、もう一度じっくりと見てみたい。 | [投票(2)] |
★3 | 獄門島(1977/日) | 原作の雰囲気も見事に再現され、石坂浩二の金田一も風格が備わり、シリーズも円熟の境地に達した感がある。映像と原作の雰囲気が、これほど違和感なく受け入れられるシリーズ作品は、稀有だと思うし、抜群の安定感には目を見張るものがある。 しかし、だ。見終わっての感想は、「憤り」。 [review] | [投票(1)] |
★3 | 天河伝説殺人事件(1991/日) | 榎木孝明の浅見光彦はしっくりとくるが、原作の圧縮版という感じで、やむを得ないとはいえ、内容をもっと深く掘り下げてほしかった。事件ファイル1と銘打ってあったのに映画でこれ一作きりとは残念だ。 | [投票(1)] |
★3 | 病院坂の首縊りの家(1979/日) | 一連の横溝作品の中では、最もインパクトに欠ける作品。力がなく、つかみ所がないだけに、逆に、滅びゆく物悲しさ、寂しさといったものは、うまく出せているのかもしれないし、そういう意味では見るべきところもあると思う。しかし、人物関係が、ややこしくて、映画を見ただけでは、よっぽど頭いい人じゃないと理解できないよ。横溝作品の特徴ではあるのだけれど。 | [投票(1)] |
★3 | メルシー・ラ・ヴィ(1991/仏) | 色調の統一された映像が美しく、少女二人の存在感もあいまって、前半まではもしかして傑作か?と胸が高鳴ったが、後半になるにつれて物語の道程が変容をきたして現実と虚構の入り混じった展開においてきぼりにされた。印象深い作品であることは間違いなく、また鑑賞してみたいと感じた。 | [投票(1)] |
★3 | 八つ墓村(1996/日) | この八つ墓村の主人公は久弥であって金田一ではない。だから金田一を主人公にしてしまうと原作の良い部分をかなり犠牲にせざるを得なくなってしまう。久弥の視点から物語を見ないと、芯がすっぽりと抜け落ちてしまう。そういう意味では渥美清の金田一の方が、捉え方としては良い。しかし、豊川悦司 の金田一は、飄々としすぎて、合っているんだか合ってないんだか…。いずれにせよ、原作に忠実な八つ墓村の映画化を望む。 | [投票(1)] |
★2 | 悪霊島(1981/日) | 原作は横溝作品の全盛期に比べると衰えは隠せない。構想は一見すると壮大だが、『病院坂』と同様「長くしただけ」という印象が強く、息切れしている感がある。映画の出来はといえば、水準をクリアしているとはいいがたい。原作にしろ、映画にしろ、もっと削ぎ落としても良いと思うのだが。市川監督の一連のシリーズと比べると、構成といい、金田一のはまり具合といい、見劣りしてしまうのは否めない。 | [投票(1)] |
★2 | クッキー・フォーチュン(1999/米) | どの登場人物にも感情移入できず、焦点が定まらなかった。最後は怖いが、テンポがスローで見ていて退屈に感じた。 | [投票(1)] |
★2 | 八つ墓村(1977/日) | 映画の出来はともかく、原作の浪漫溢れる展開とは程遠い仕上がりにかなり不満。原作に関して言えば、横溝作品では、ベスト3に入れたいくらい好きな作品。愛着があるだけに、いまだ満足できる映画化はない。断じて、こんなにホラーじみた話ではないし、怖い場面を思いっきり怖く見せつけているのが気に入らない。小川真由美のあの濃い不気味な化粧は、本当に怖かった。 | [投票(1)] |
★1 | ミリオンダラー・ホテル(2000/独=米) | ごめんなさい。出直してきます…。高尚すぎるのか全くといっていいほど入り込めなかった。作品のもつある種独特の雰囲気は分かるのだが、登場人物の心情が全然理解できず、内輪で盛り上がっているだけで、一人蚊帳の外に取り残された感じ。見るのがつらかった映画ということでは現時点で一番だ。 | [投票(4)] |
★2 | 雪の断章 情熱(1985/日) | 原作に思い入れがあっただけに、原作の雰囲気が見事に失われていたのでガックリ。原作に関係なく、映画だけ見たら、ソコソコ見れるのかもしれないが、全体的に暗くて、途中からこんなはずじゃないと言い聞かせながら見ていた。もっと少女の気持ちに踏み込んで欲しかった。 | [投票(1)] |
★5 | 甘い嘘(1999/仏) | わずかな綻びがだんだん広がっていくように、愛し合っているがゆえに、深まっていく溝。愛が憎悪に変わり、信頼が疑惑に反転していく過程は絶妙。結末に向けて緊密度は増して、謎も深まり、まさに息を呑む展開。カメラワークも秀逸で、フランスのラブサスペンスの傑作がまた誕生した。 [review] | [投票] |
★5 | メメント(2000/米) | こういう見せ方が出来るなんて…。映像ならではの大胆な実験作でもあるが、細部まで緻密に組み立てられた卓越した手腕を用いて、すでに完成の域にまで達している。記憶の断片、記憶の欠如、記憶の喪失。まさに自分が体験しているかのようなリアルな感覚。さまざまな謎が、結末へと収斂していく過程には、余分な贅肉をすべて削ぎ落とした壮絶な美しささえ感じられた。 | [投票(6)] |
★3 | めまい(1958/米) | 終わってみれば、シンプルな謎とトリックで、最後まで引っ張る手腕はさすが。『裏窓』といい、 見せ方がうまいと感じた。前半最後もびっくりしたし、後半も意外だった。キム・ノバクもだんだん美しく見えてきた。が、ラストの終わり方に唯一、不満が残ってしまった。あと付け加えるとすれば、女友達のミッジが、かわいそう。中途半端な役柄で終わってしまったのが残念。この邦題は大変好きだが。 | [投票(6)] |
★4 | アザーズ(2001/米=仏=スペイン) | とにかくお見事! 鮮やかな反転になすすべなし。個人的にニコール・キッドマンはとっつきにくい女優だと感じていたが、どうしてどうして。『ムーラン・ルージュ』といいこの作品といい、壮絶な美貌と迫真の演技に、ただただ脱帽。館という固定された場、限られた登場人物で、これほどの緊張感を持続させるというのはすばらしい。『オープン・ユア・アイズ』といい本作といい、この監督からは目が離せない!
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★5 | フォロウィング(1998/英) | いやー、参った。としか、第一声は言えない。ミステリ好きにはたまらない展開であり、ここまで捻られたら敗北感はなく、爽快感だけが残る。結末までまったく無駄がなく、最後の一字一句まで、間違いなく書き終えた感じ。時間軸の配置は絶妙であり、えっ?えっ?と何度も、戸惑い、驚き、最後までもっていかれた。これがデビュー作とは信じられないくらい、高密度の作品。 | [投票(8)] |
★5 | レベッカ(1940/米) | とてもこの年代に撮られた映画とは思えないほどのすばらしさ。まったくといっていいほど色褪せていない。ジョーン・フォンテーンの美貌はモノクロでも、いや、モノクロだからこそか、心に深く染みこんでくる。なんて柔らかい表情なんだ。そして、じわじわと膨らんでくる、死んだはずのレベッカの存在感。終盤のもつれるような、変化球の連続。いやはや、ヒッチコックはすごいと、いまさらながら驚きです。 | [投票(5)] |
★4 | 記憶の扉(1994/伊=仏) | 究極のミステリだ。反則すれすれ(反則か?)の超絶技巧。一体何が起こったんだ、と訳が分からないうちに物語はエンディングにいってしまい、唖然とした。ジェラール・ドパルデューとロマン・ポランスキーの二人の駆け引きが、白熱して目が離せない。普通なら単調な構図になるはずだが、そうならないのは、二人の魅力と監督のなせる力であろう。 | [投票(1)] |