★2 | ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ(2018/伊=仏=独) | アドルフ・ヒトラーのナチスは、その方向性を文化面においても徐々に明確なものにしていった。その代表的な政策のひとつが、「大ドイツ芸術展」に代表されるアーリア民族の健康的な生活を賛美する芸術の奨励であり、その一方で堕落した東方諸民族の主導する(といわれる)「退廃芸術」の排斥と追放である。ユダヤ人創作家であるマルク・シャガールら異民族、狂気に裏打ちされた抽象芸術家ヴァシリー・カンディンスキーや黒人芸術を理想化するパブロ・ピカソらがやり玉に挙げられ、かれらの作品群は所蔵家らより巻き上げられ、「退廃芸術展」に展示されたのち消息を絶った。数十万点に及ぶこれら作品群はどこに消えたのか。カメラは消失した幻の名作を追う。〔97分〕 | [投票] |
★3 | 海獣の子供(2019/日) | 不器用な中学生の少女・琉花(芦田愛菜)は、夏休みに部活でトラブルを起こしてしまい、教師から帰宅を命じられた。途方に暮れた彼女は、父(稲垣吾郎)の勤務する水族館に足を運び、幾度となく訪れた大水槽の前に佇む。そんな時、短髪の少年・海(石橋陽彩)が大水槽内を泳ぎ琉花の前に降り立った。フレンドリーな海は生まれたときよりジュゴンに育てられ、この水族館に調査をかねて居場所を作ってもらったのだという。彼に惹かれる琉花だったが、同じ環境で育った海の冷徹な兄・空(浦上晟周)に冷笑され、少なからず気分を害するのだった。同じ頃、異変が地球に起こり始める。鯨たちは歌い、流星の流れるなか魚たちが日本近海に集結するのだった。〔111分〕 | [投票] |
★4 | 僕はイエス様が嫌い(2019/日) | 小学生の由来(佐藤結良)は、お祖母ちゃん(たたのあっ子)と一緒に暮らすため両親(秋山建一/木引優子)とともに東京を離れ、雪深い地方の学校に転校した。今まで公立の学校に慣れ親しんだ由来にとっては、新たにカトリック系の学校に迎えられた当惑より少々気後れしてしまうこともやむを得なかった。朝の礼拝に臨んだ彼は、机の上にひどく小さなイエス(チャド・マレーン)が立つのをはっきりと認める。それが自分にしか見えないヴィジョンであることを理解した由来は、疑い半分に神様なら願いを叶えてくれるだろう、とそれを口にする。幼い欲求はことごとく叶い、友人を求める由来には和馬(大熊理樹)という素晴らしい友が現われたのだった。〔76分〕 | [投票] |
★4 | 長いお別れ(2019/日) | 中学校長を務めた厳格な父・昇平(山崎努)が70歳の誕生日を迎える。遠く離れた土地で生きる娘たちに母・曜子(松原智恵子)は声をかけた。夫の転勤で独り息子とともにアメリカで暮らす麻里(竹内結子)、職を転々としながら夢かなわず、ワゴン車でカレーを提供する仕事も難航している茉美(蒼井優)の姉妹も実家に戻ってきたが、居丈高だった父がすっかり認知症で大人しくなっていたことが二人を驚かせた。だが、元よりおのれの苦労を見せたがらない娘たちは、父を介護してゆく今後を嘆くことなく受け入れるのだった。登校拒否を続ける麻里の息子、茉美の恋人とのすれ違い…父の退行を軸に、悲喜こもごもの毎日を生きてゆく家族の点景のドラマ。〔127分〕 | [投票] |
★4 | ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(2019/米) | ゴジラ復活に伴う大惨事で、怪獣調査組織モナークのマーク(カイル・チャンドラー)は長男を失い、悲嘆の中組織を脱退した。5年後、マークの妻エマ(ヴェラ・ファーミガ)は雲南省に保護されるモスラを管理し、娘のマディ(ミリー・ボビー・ブラウン)にも観覧を許していた。だが、そこを突然エコテロル組織が襲い、彼女らを人質にモスラを無理やり解放した。モナークメンバーの芹沢(渡辺謙)はマークを呼び戻し、家族救出と組織の凶行阻止への協力を申し出る。だが、キングギドラの眠る南極基地への救援行も空しく、エマは自らギドラを覚醒させる。彼女の真意は何か?そしてギドラ復活と同時に甦ったゴジラは、地球の覇権を巡り敢然と彼に挑戦する。〔132分〕 | [投票] |
★2 | 風のある道(1959/日) | 竹島家。長女恵子(北原三枝)は祝福のなか花嫁となり、ひとりの男のものになった。そんな中、次女の直子(芦川いづみ)は式場に向かう車にあって野良犬をはね、病院に搬送して式に遅刻することで母(山根寿子)を嘆かせた。直子が悩むのは、生け花矢田流の後継者である光介(小高雄二)との結婚だ。自信過剰で彼女には愛せないキャラクターである彼よりも、直子は偶然空港で出会った男・小林(葉山良二)という児童施設の素朴な教員に心を動かされるのだった。それを知る三女でフレキシブルな精神をもつ千加子(清水まゆみ)が、姉に求婚しようとする彼を応援するなか、小林はその行動で児童の父兄に睨まれる。〔88分〕 | [投票] |
★2 | プロメア(2019/日) | 江戸の火消しに憧れ、マトイをもって摩天楼の火災鎮圧に奔走するガロ(松山ケンイチ)は、未来の消防隊バーニングレスキューの青年隊員だ。三十年前に現われた、炎を駆使して街に被害をもたらす突然変異体「バーニッシュ」の暗躍に立ち向かい、火災を治めるのがかれらの役目だった。司政官クレイ(堺雅人)の指揮のもと、バーニッシュのテロル組織を追い詰めたガロたちは、若きリーダーのリオ(早乙女太一)を逮捕するが、彼をはじめとする主要メンバーたちは警察隊長ヴァルカン(楠大典)に横取りされ、かれらの権限で護送されるに至った。その扱いに引っかかるものを感じたガロをよそに、リオは部下たちと脱獄を目論む。〔111分〕 | [投票] |
★4 | 居眠り磐音(2019/日) | 豊後より江戸詰めとなった坂崎磐音(松坂桃李)ら3人組は、道場で腕を磨き合い3年の勤務期間を終えた。琴平(柄本佑)のふたりの妹が磐音と慎之輔(杉野遥亮)に嫁ぎ、かれらは義兄弟となるはずだった。だが、誤解と憶測から3人は殺し合いの運命に操られ、上意討ちで琴平を倒した磐音は、ひとり残された琴平の妹・奈緒(芳根京子)との祝言を挙げることもなく職を辞して江戸に戻った。数年後。江戸の貧乏長屋に暮らす磐音は大家(中村梅雀)に鰻屋の手伝いを紹介されていたが、確実に家賃の得られる両替商の用心棒役を新たに得る。おっとりした彼には無理な仕事、と大家の娘おこん(木村文乃)は心配するが、すぐに腕試しの機会はやってきた。〔121分〕 | [投票] |
★3 | ラスト・タンゴ(2015/独=アルゼンチン) | マリア・ニエベスとフアン・カルロス・コペスのふたりは、一時代を築いたタンゴ舞踏コンビだ。赤貧の生活のなかで夢をはぐくんだ少女マリアは、オールバックの伊達男コペスのリードで舞台に立ち、瞬く間に才能を開花させた。コペス・スタイルと呼ばれた舞踏法で不世出のダンサーの名を得たコペスに、マリアは深い愛情と信頼を寄せるのだが、コペスにとってマリアはおのれの野望のための名楽器に過ぎず、彼女の想いを踏みにじるのであった。物語はふたりの愛憎と成功の軌跡を軸に、コペスを演じるパブロ・ベロンとフアン・マリシア、マリアを演じるアレハンドラ・グティとアジェレン・アルバレス・ミニョの舞踏を添えて、彼らの全貌を明らかにする。〔85分〕 | [投票] |
★4 | 初恋〜お父さん、チビがいなくなりました(2018/日) | 長年連れ添った夫婦…その妻である有喜子(倍賞千恵子)が離婚を口にした。その報せに三兄妹は色めき立った。有喜子はかれらを大人になるまで育て上げたのち、夫の勝(藤竜也)のみと暮らしていたが、昭和男の頑固さで妻の語りかけにも一瞥もくれず、彼女の会話相手は黒猫チビだけだったのだ。そんなある日チビは姿を消し、一気に夫婦の関係は冷え切る。末娘の菜穂子(市川実日子)は危機感ゆえ上の兄姉(小市慢太郎/西田尚美)を呼ぶが、ふたりは楽観的に見過ごそうとする。だが有喜子ははっきりと別離を口にするのだった。その理由は何なのか。有喜子の意識に去来する思い出は、駅のミルクスタンドでの店員と利用客としてのふたりの出会いだった。〔105分〕 | [投票] |
★3 | ちいさな英雄―カニとタマゴと透明人間―(2018/日) | 母親(佐々木優子)が姿を消し、父親(てらそままさき)までも陰鬱な色の水流に奪われたカニの兄弟、カニーニ(木村文乃)とカニーノ(鈴木梨央)は川底を渡り、親たちを奪った存在の正体を暴くべく旅立つ…「カニーニとカニーノ」。卵アレルギーを障碍として背負う小学生(篠原湊大)と、彼の身を案じるダンサー志望の母(尾野真千子)の奮闘の日々…「サムライエッグ」。誰からも振り返られず、その存在すらも認識されない孤独な青年(オダギリジョー)。彼に初めて声をかけた老人(田中泯)がいた…「透明人間」。スタジオポノックによる3編の短編アニメ作品のオムニバス。〔54分〕 | [投票] |
★3 | わすれなぐも(2012/日) | 古書店の店主・硯(土田大)が所有する秘蔵の古文書には封印が為されていた。昔、都を襲った化け蜘蛛をとある陰陽師が書に閉じ込めていたいわくつきの一冊だ。だが、硯の店に家賃を取りたてにきたオーナーの孫娘・瑞紀(下田麻美)は、意味もなくその封印を破ってしまった。その結果の事件があるとすれば、古書の中から転がり出たひとりの愛くるしい姫君(金田朋子)の出現であった。母蜘蛛恋しと泣く姫君の姿を見かね、硯は彼女を母のもとに返してやろうとするが、そういう彼のただならぬ目の色に危険を見た瑞紀はオーナー(星野充昭)に事情を告げる。アニメ振興プロジェクト「アニメミライ」の参加作品。〔25分〕
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★4 | しらんぷり(2012/日) | 「僕(小嶋一星)」は小学六年の弱気な生徒だった。ある朝同級のドンチャン(矢島晶子)がくしゃみをし、それを汚がったヤラガセ(小清水亜美)に毒を吐かれたのがコトの始まりだった。ヤラガセと悪友たちはドンチャンに意地悪をし、それを笑う陰気な愉しみにふけっていた。でも僕は奴らの攻撃が自分に向けられることを恐れ、知らんぷりを決め込んでいた。それを知ったマリモ先生(内山夕実)はクラスで苛めっ子と同様に傍観するだけなのもいけないと説く。そしておでん屋台のおっちゃん(銀河万丈)にドンチャンの裏の心情を知らされる。ドンチャンが爆発したのはその後だった…。アニメ振興プロジェクト「アニメミライ」の参加作品。〔25分〕 | [投票] |
★2 | いつも月夜に米の飯(2018/日) | 独り身の母親・麗子(高橋由美子)に背を向けて、東京で高校生活を満喫していた千代里(山田愛奈)のもとに故郷・新潟より報せが届く。故郷で小料理屋を開いていた母が失踪したというのだ。矢も楯もたまらず帰郷した千代里がやっと店の戸をくぐると、待っていたのは口さがない隣人の勝手な言い分だった。ブチ切れた彼女は人々を締め出し、ひとり残った雇われ料理人のアサダ(和田聰宏)のことばに不服なりとも従って睡眠をとる。翌日にも帰京するつもりの千代里ではあったが、旨い朝食をつくり彼女を気遣ってくれるアサダに惹かれるものを感じ、いつしか今までの生活を捨て彼の手伝いに没頭してゆく。そんなとき、麗子が店に帰ってきた。〔104分〕 [more] | [投票] |
★2 | バースデー・ワンダーランド(2019/日) | いまいち周りに流されるばかりの少女・アカネ(松岡茉優 )は、毎日に飽きて学校をズル休みしたまま誕生日を迎えようとしていた。そんな彼女を叱責することもなく、母ミドリ(麻生久美子)は誕生日プレゼントを自宅で渡してやる、という叔母チィ(杏)のもとに送り出すのだった。いい加減な品揃えの叔母の店を訪ねるアカネだったが、その店にある地下室より彼女に語りかける声に驚く。声の主は異世界の錬金術師ヒポクラテス(市村正親)とその弟子ピポ(東山奈央)であり、迫りくる壊滅より自分たちの世界を守ってくれ、との「女神」アカネへの懇願であった。気が乗らぬ状態で異世界に旅立つ彼女に、破壊者ザン・グ(藤原啓治)が迫る。〔115分〕 | [投票] |
★3 | 愛がなんだ(2018/日) | OLテルコ(岸井ゆきの)は知り合いの結婚式でマモル(成田凌)に出会って以来、全く一方的な献愛に生きてきた。「体調がおかしい」との連絡が入れば仕事を放り出してマモルの部屋に向かい、料理をつくって食べさせる。彼の電話があれば夜中でも駆け付けるテルコのことを、親友の葉子(深川麻衣)は批判するが、彼女は聞く耳を持たなかった。しかし、マモルはといえば彼女を便利な人間としか思っておらず、気まぐれに抱き合った翌朝も仕事に出かけ、自室から追い出すのだった。仕事を辞めたテルコが、数か月のブランクののち電話で一報をよこした彼に会いに行ったとき、そこにはガサツだが大らかなマモルの先輩すみれ(江口のりこ)がいた。〔123分〕 | [投票] |
★3 | いのちの朝(1961/日) | 吉元小次郎(宇野重吉)はベテランの画家だったが、野菜をモチーフに使う小品ばかりを公にし、大衆に注目されることがなかった。そんな彼に長年寄り添ってきた妻の純子(高野由美)や長女の春子(小園蓉子)は画題の変化を求める忠告をするが、保険の勧誘員である次女・冬子(芦川いづみ)は父のやることならば、と異言を挟まずにいるのだった。だが、かつて弟子と呼びながら、破門した沢辺(内藤武敏)がビエンナーレ展で認められたとの情報を得た吉元は、友人で彼に個展開催を薦める画家・村野(清水将夫)の注文を呑み、人物を描く大作に着手する。それは朝日を仰ぐ冬子の姿だったが、吉元は頑固さを露わに彼女に注文をつけるのだった。〔69分・白黒〕 | [投票] |
★3 | 多十郎殉愛記(2019/日) | 幕末の京都。勤皇・佐幕をそれぞれに掲げる志士たちが跋扈するこの街に、長州の脱藩浪人・多十郎(高良健吾)は暮らしていた。小料理屋の女将・おとよ(多部未華子)に世話を焼かれながら怠惰な毎日をおくる彼は、滅法剣が強いことで皆の信頼を得ていたが、その実脱藩したのは大望のためではなく、親の借金を踏み倒す目的からに相違なかった。一方、新選組の勢いを黙認していたものの立場を失いつつあった京都見廻り組は、多十郎の漏れ出でる才能の噂を不審に思い、徐々に彼を監視するようになってゆく。そんなとき、多十郎の弟で勤皇に燃える数馬(木村了)が兄を説得にやってくる。だが数馬は権力に牙を剥き、あげくに斬撃を両眼に受ける。〔93分〕 | [投票] |
★3 | スパイダーマン:スパイダーバース(2018/米) | 少年マイルスは、警官である父親の薫陶を受けた正義漢ではあったが、どこか周囲の環境に違和感を抱き続けていた。そんな彼は偶然から蜘蛛に噛まれ、はからずも異常な能力を身につけてしまった。それが彼に託された運命の能力であることをスパイダーマン、ピーターより指摘されたマイルスは困惑するが、その眼前でピーターは絶命してしまう。スパイダーマンの名を継ぎ、マイルスは時空の歪みを世界に齎さんと動く悪党キングピンを止めようとするが、今の彼には能力の制御さえ不可能だった。だが、平行宇宙で命を長らえたピーターが現われ、マイルスの能力を引き出そうとする。さらに女性戦士グウェンら異世界のスパイダーマンたちが助っ人に現われるのだった。〔117分〕 | [投票] |
★3 | 麻雀放浪記2020(2019/日) | 戦後。秩序なき街に実利だけを求めて博徒たちが闊歩していた。その中で若きギャンブラー坊や哲(斎藤工)は、百戦錬磨の敵たちを前に幻の役・九蓮宝燈を成立させるとともに稲光の中に消えた。彼が目覚めたとき、周囲に広がる光景は2020年の世界だった!混乱する哲をアイドル雀士のドテ子(もも)、芸能プロ社長のクソ丸(竹中直人)が保護する。再びの戦争で乱れ切った日本には麻雀ブームが巻き起こり、哲をイケメン雀士として売り出せるとふんだクソ丸だったが、彼は一世一代の大博打の待つ昭和時代に帰れない、と途方に暮れていた。対戦相手(ベッキー/的場浩司/小松政夫)を求めて、哲は時間遡行の方法を模索しつつ対戦を重ねるのだった。〔117分〕 | [投票] |