B | ★3 | サンセット大通り(1950/米) | 魑魅魍魎と化したスワンソンをシュトロハイムと組ませる諧謔をご丁寧にデミル・キートン・ホッパーを配して補完する世界の構築力には唸るが、一方でホールデンサイドのドラマが弛緩して全く面白くない。クライマックスは至宝もの。 | 投票(4) |
B | ★3 | ペーパー・ムーン(1973/米) | グッドオールドデイズ的話芸がシネフィル的に嫌らしくも巧過ぎて見とれるのだが、如何にもな大人こどものテイタムには今いち馴染めない。コヴァックスのモノクロ撮影が時に水墨画のように素晴らしく、フォードなアングルで撮られた空なんて粋。 | 投票 |
B | ★3 | 冒険者たち(1967/仏) | 妙ちきりんで浮世離れな冒険マニアの反リアリズムに世知辛い世間の現実が介入する。アンリコのサディスティック視線がバランサーとして機能。レティシアの選択は男前ドロンのヒロイズムを弥増させるが餌にされた中年男としては少々鼻白むしかない。 | 投票 |
B | ★3 | 隠し砦の三悪人(1958/日) | 瞬時の判断で騎乗追走しの鮮やかな3人斬りの挙句に冗長な藤田との申し合い。決定的な個の脅威が存在せぬ状況で内輪揉めに終始する世界観は余程の芸どころ不在では厳しい。上原美佐の学芸会は突き抜け笑えるが黒澤に洒落心があったとは思えない。 | 投票(2) |
B | ★3 | 天空の城ラピュタ(1986/日) | 『ナウシカ』のような叙事詩的巨編を経た宮崎が敢えて『コナン』や『カリオストロ』に回帰して見せる戦略的あざとさ。しかも拙いことに童貞的世界観は完璧に踏襲され、肉体アクションの映画美は喪失した。女海賊とかのベタなコメディリリーフも鼻につく。 | 投票(1) |
B | ★3 | 太陽を盗んだ男(1979/日) | 時代の空気に乗ったアナーキズムとノンシャランが横溢し味を醸してはいるが、所詮は投げ遣りなので構築されたカタルシスに遠い。原爆製造の4畳半と皇居前のシーンは流石の粘り腰だが、一方でカーアクションは陳腐。終盤の若干なシュール味も逃げに思える。 | 投票(5) |
B | ★3 | 裏窓(1954/米) | 1点からのアングルのみで娯楽作を成立させるというアイデアを十全に駆使できる完璧な美術セットを手に入れながら慎ましやかなレンズ使いの古典品位。だが、それでも尚滲む出歯亀覗きのアンチモラル愉悦というファクターを取り去ると訴求するものは余り無い。 | 投票(1) |
B | ★3 | トイ・ストーリー2(1999/米) | Part1以上にテクニカル面では巧妙で文句のつけようもないが驚きも無い。どれほど斬新なものでも続篇は規定の範囲内に収まった世界観では収縮感を補えないということ。ハートを打つ真情ってのはもっとプリミティヴでいい。冒険心の欠如は陳腐化を早める。 | 投票 |
B | ★3 | 少林サッカー(2001/香港) | スーパーマンとか超人が正規ルールのサッカーで普通人に勝っても、やったー!とは思えない。ギャグは真摯なドラマに拮抗する形で極まり、パロディは物語の形成と不可分で意味を為し、CGはアナログと融合して輝く。この映画はそれらの点が少しずつ足りない。 | 投票(10) |
B | ★3 | モンスターズ・インク(2001/米) | 余りに単調で毒の無い40年代的ハートウォーミングコメディを2001年にそのまま出してきた時代錯誤な能天気に鼻白む。「ふさふさ」で「ぷよぷよ」した可愛いモンスターと言葉が覚束ない子供のキャラクターはマーケットを意識したマニュアル的うんざり感。 | 投票 |
B | ★3 | 現金に体を張れ(1956/米) | 複数視点からの反復叙述という技法の先駆性。時間芸術としての映画の最大有効活用法の発見。そのアイデアは最高だが、後のキューブリックらしい豊穣を極限まで刈り込む贅からは遠い。役者のショタレ感にも侘びしさを感じた。 | 投票(1) |
B | ★3 | 道(1954/伊) | 対比されるべく書き込まれた粗暴や狡猾と無垢や慈愛が極北的に配置されたのは解るが、クインとマシーナが余りに線上から逸脱し無さ過ぎでキチキチでしんどい。ベースハートが逸脱のキーマンだったが力量が無く物語もそのようには組まれなかった。 | 投票 |
B | ★3 | 恐怖の報酬(1952/仏) | 何度か繰り返されるサスペンスの山場はクローズアップの力感が漲り弩級とは言えるが、ドラマトゥルギーの欠如が決定的。食い詰め者達の脱出願望に更なる切実さが欲しかった。要はハートに沁みてこないのだ。 | 投票(3) |
B | ★3 | 太陽がいっぱい(1960/仏=伊) | 虐げられた末の反逆なのであるから感情移入できそうなものだし、映画は技巧を尽くしてドロンに片寄せもする。実際ドカエのカメラが捉える瑞々しい心の揺らぎは海上や市場のシーンでスパークしてる。だが、奥底に横たわる異物が棘のように引っかかる。 | 投票 |
B | ★3 | 運動靴と赤い金魚(1997/イラン) | スポ根めいたマラソン大会をクライマックスに持ってき、しかも、あらずもがなのスローモーションで盛り上げるというのが、どうにも画龍点睛を欠く感じで、それまでの3分の2にわたる抑制された慎ましさが霞んでしまった。ラストの突き放し方は良い。 | 投票(1) |
B | ★2 | ノスタルジア(1983/伊) | ロシア的感性とイタリア風土の相性が、どうにも合わない感が拭えないうえ、ランチの映像は平板。一方で変わり映えしないタルコフスキー印の羅列に辟易する。世界のシステムなぞ大風呂敷を広げた挙げ句に故国へのノスタルジーは封殺された。 | 投票 |
B | ★2 | レオン(1994/仏=米) | 孤高で峻厳な『ニキータ』の後で割り切りで日和れる魂の愚鈍。そのあとベッソンは怖いもの無しとなった。それでも、殺し屋と少女の関係がこうもウェットでは気持ち悪くさえある。レノは差し詰め縫ぐるみの熊。全然クールじゃない。アクションも凡庸。 | 投票(4) |
B | ★2 | リトル・ダンサー(2000/英) | このガキはバレエの何に心を捉えられ、この親爺は息子の学芸会ダンスのどこに才能を見出したってのか?この映画には設定だけがあって、それを真実に見せる術が全く無い。ストの描写もペラいし面接は永ちゃんの『お受験』の方がなんぼかマシ。 | 投票(12) |
B | ★2 | 赤ひげ(1965/日) | 煮詰まって袋小路に入った黒澤イズムは『七人の侍』を超える2年の撮影期間の果てに、独裁者の孤立と最善共闘者三船との別離と自殺未遂を含む4年の空白をもたらした。似非ヒューマニズムの臭いの裏側に垣間見える災厄への誘いが心底気持ち悪い。 | 投票(2) |
B | ★2 | 時計じかけのオレンジ(1971/英) | 勿体ぶって終始虚仮威しをカマしてるが実はハッタリばっかりであったという脳内構成映画。舞踏めいた殺陣の胡散臭さと超広角レンズにコマ落としの映像幼児性はアナーキズムの敗北を戯画化するだけ。そこには、真に撃つべき対象への畏怖が欠落しているのだ。 | 投票(1) |