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ぽんしゅうさんのコメント: 更新順

★4プレイス・イン・ザ・ハート(1984/米)黒人、盲人、未亡人という弱者モデルが自助と共助で自立する“あるべきアメリカ”の美しき進歩的保守賛歌(公開時の大統領はレーガンだ)。だからダメとは言わないが、神はすべての罪を赦す、みたいな終幕の“根拠なき良心”が彼らとの付き合いづらさの原因でもある。[投票(2)]
★3ある日どこかで(1980/米)SFでもファンタジーでもロマンスでもなく、私にはホラーですね。処女(?)の一念「時」をも通す。ポートレートのジェーン・シーモア、綺麗ですね。でも、怖いですね、あの微笑み。写真に写った想い(呪い)の深さは『シャイニング』のJ・ニコルソンと同根ですね。[投票(1)]
★4孤狼の血(2018/日)ヤクザだ、悪徳警官だ、東映だと喧伝するので『県警対組織暴力』を期待したが。まあしかたない。役所の暴走、江口の男気、真木の女気、石橋の狡猾、竹野内の千葉ちゃん、音尾の真珠、滝藤のギョロ目。北野武の「この野郎!バカ野郎!」とは違う正統派の怒号に浸る心地よさ。 [review][投票(4)]
★4ミルドレッド・ピアース(1945/米)殺人、海辺の別荘、自死が臭う港、密室の誘惑、警察の取りし選べ、と謎が謎を呼び一気に物語に引き込まれる。そんなクライム・サスペンスの手堅い王道をたどりつつ、女ひとり男三人を向こうに回し、偏執なほど娘に託す脱平凡上流志向が健気なぶん痛々しくも哀れ。[投票(1)]
★2レオパルドマン 豹男(1943/米)カスタネットの響きに導かれ、ライバル心や嫉妬の渦に割って入る突然の黒豹登場から、最初の犠牲者への執拗かつ丁寧なサスペンスの盛り上げが素晴らしい。が、中盤から恐怖(豹)の存在感や人物たちの心理描写がずさんで、豹がどこで何をしようがどうでもよくなる。[投票(1)]
★3いちごブロンド(1941/米)憎めないチンピラ兄ちゃん(J.キャグニー)の一途さが微笑ましく、リタ・ヘイワースオリヴィア・デ・ハヴィランドのツインビューティも華やか。周りの仲間たちや主人公の型破りな父親など、細部も手を抜かいラオール・ウォルシュの職人演出を堪能。[投票(1)]
★4ザ・スクエア 思いやりの聖域(2017/スウェーデン=独=仏=デンマーク)堂々と“モノを乞う”者たちを無感情に描き、その“卑屈”を軽蔑しながらも、彼らとの間に引いた線の外側から、手を差し伸べることに誠意を見出す卑屈。「それを言っちゃお終いよ」を承知で、観客を蚊帳の外に放置する確信犯映画。この意地悪さは反則ぎりぎり。 [review][投票(3)]
★4新婚道中記(1937/米)ミスター・スミスと黒猫(一瞬!)の怪演や小ネタも楽しいが、強気のC.グラントに一泡吹かせるアイリーン・ダンの弾けた田舎娘ぶりに爆笑。あと印象的なのは音(隣室の喧嘩、額縁の破壊、カーラジオ、掛け時計etc)や歌(南部訛の俗唄と音楽教室の歌曲の対比)。[投票(1)]
★5めぐりあう時間たち(2002/米)生きる現実とイメージが混濁するキッドマンの虚ろな伏し目。理想の重圧と自我の狭間で苛立つムーアの作り笑い。すれ違いカタチを結ばない幸福に懸命にすがるストリープの献身。女たちの可視化できない想いの齟齬が巧みに編まれた時空、演技、音楽で浮き彫りにされる。[投票(2)]
★4誘う女(1995/米)しばしば、美形と色気は理性を超越し思わぬ暴走を生むが、しょせん影響が及ぶのは二流(地方レストランのドラ息子、ローカル局のお天気ねえさん、落ちこぼれ高校生)どまりという滑稽と哀切。飛翔を夢みた勘違いニワトリの狂騒を戯画的に演じるキッドマンが最高。[投票]
★4心と体と(2017/ハンガリー)夢の共有という突飛な設定が徐々にリアリティを持ちはじめ、ファンタジーというよりサスペンスとして話に引き込まれてしまう。A・ボルベーイという女性のたたずまいが醸す透明な存在感と、生身のと肉感が持つエロティシズムの“虚実のあわい”のたまものだろう。[投票(4)]
★4早春(1970/英=独)15歳の少年にとってこの公衆浴場がすでにDeep End。義務と服従の白衣を脱ぎ捨てて、黄色いコートを颯爽と翻す自由で勝手気ままなお姉さん(J.アッシャー)。童貞少年の白衣の内側は、自分も気づかぬうちに血色に塗り込められる。未熟者の純情を浸食する「赤」色。 [review][投票(2)]
★5三里塚のイカロス(2017/日)悔いてはいないが満足はしていない。結果は出たが終わってはいない。自嘲的であれ論理的であれ男たちの饒舌さに比べ、抵抗農家に嫁ぎ後に夫が運動を離脱した女たちの“顔”は、闘争と家族を担ってしまった過去を懐かしみながらも感情に乏しく、みなどこか虚ろだ。 [review][投票(1)]
★4標的の島 風(かじ)かたか(2017/日)沖縄戦で日本軍は島民を救わなかったと老女が国への不信を露わにする。しかたない。“あの軍”は国民ではなく国体を守るための皇軍だったのだから。自衛隊ならそんことはないと私も信じたい。だが命令一下、そのとき絶対に大丈夫だと、どこの誰が確約できるのだろう。 [review][投票]
★3女は二度決断する(2017/独)世界に蔓延するやっかいな問題に、何ごとか提起しているようで何も語っていない。たとえ対象が家族だろうが、イデオロギーだろうが抱いた思いの「純度」が人の生き方を決定し、ときに対立を生むという矛盾から私たちは逃げられないのに、この女は逃げてしまった。 [review][投票(1)]
★3ラスト・ワルツ(1978/米)数十年ぶりに再見。驚いたのカメラワークの貧弱さ。観ていて楽しくないのです。当時の撮影機材の機動力の限界のせいとも言い切れず、R・ロバートソンのアップ顔ばかりでミュージシャンが楽器を奏でるというアクションへの関心やリスペクトが足りないからだと思う。 [review][投票(3)]
★5ハッピーエンド(2017/仏=独=オーストリア)続発する不祥事の現場の顛末は詳述されず「起きたこと」の“後始末”ばかりが淡々と描かれる。一族間のパッションの衝突は封印され空々しさが蓄積する。これから「起きること」を意志として表明した背中越しの海の青色が、不気味なほど美しいのは、そのせいだ。[投票(1)]
★3クソ野郎と美しき世界(2018/日)いささか、とうの立ったアイドルの新生プロモーションとして既成の枠にはまらない映像作家を起用してオムニバスを作るというのは悪くない企画だし、以前の藤島ジュリーKさんのところでは撮れない映画を期待したのですが、仏は作れても入魂までは難しいですね。 [review][投票]
★4素敵なダイナマイトスキャンダル(2018/日)メガネを曇らせた者たちが象徴的に何人か登場する。みんな感情をむき出しにした人々だ。停滞の70年代から狂騒の80年代、一見、男(柄本佑)が感情を露わにしないのは、混濁した経済と文化のバブルに拝金の腐臭を嗅いだからだろう。健全な精神こそがサブカルを生む。[投票(1)]
★3blank13(2017/日)情に流されず丁寧かつ的確な斎藤工の演出。奇をてらわず控えめな西条みつとし脚本と金子ノブアキの音楽も映画界の新たな希望。安手のお涙ものに陥ることなく、葬儀を義務でこなす息子らの胸中に本人たちも戸惑う“心の隙間”をあぶり出す手腕は見事。 [review][投票(2)]