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disjunctiveさんのコメント: 点数順

★4パピヨン(1973/米=仏)金が潤沢な上にマックィーンが頑丈とあってはゲームバランスが悪いかもしれん。その意味で孤立無援の独房入りこそ物語に価する生活観察だったと思う。コーネカンプのライティングだってあそこではノリノリだ。 [review][投票(1)]
★4炎上(1958/日)仲代達矢と中村鴈治郎の人格性限界レースになってしまえば結果は自明。むしろ鴈治郎の重量感に雷蔵が巻き込まれる様が悲喜交々。[投票(1)]
★4キサラギ(2007/日)親密さの地誌が物語を作り、その偶発性がスリラーをないがしろにもする。 [review][投票(1)]
★4LOFT ロフト(2005/日)光と空間の叙述がある閾値を超えたとき、情報の作為性の悪乗りは止まらなくなる。ゲイリー芦屋の劇伴も全く自重せず、「志村うしろうしろ」で腹筋が割れる。[投票(1)]
★4松ヶ根乱射事件(2006/日)セキュリティを担保しほのぼのと事件を押し込める店頭取引と水道局のカウンター。鮮烈な雪の反射光を封じ込めるのは寒々しい青のルック。ぬるま湯なのか、閉塞感なのか。[投票(1)]
★4善き人のためのソナタ(2006/独)女優とよろしくやってるイケメン演出家とアパートにデリヘルを呼ぶ孤独なおやぢ(=俺)。壁が崩れて以降、目から汗が止まらなくなる。 [review][投票(1)]
★4秒速5センチメートル(2007/日)過去が歳月を持たない記憶となったとき、青年は虚実の到達関係を立証しようと試み敗北する。光暈と修辞の凝固した地層は決壊し、思春期の殺人的な情報継起の体感速度(秒速5センチ)が宇宙を蹂躙するのである。 [review][投票(1)]
★4海と毒薬(1986/日)ほとんど猟奇ショーの言い訳にしかなってない文芸モードが、かえって露悪的な歓楽を成田三樹夫の強烈な現場主義とともに充填するのである。[投票(1)]
★4ディパーテッド(2006/米)トニーとアンディが普通のあんちゃんになってしまった……。ただ、アンソニー・ウォンがマーティン・シーンに変貌したのは地味に凶悪。ただの善良なおやぢにアレはやめてくれ。[投票(1)]
★4スパイ・ゲーム(2001/英=米)ごく個人的なツンデレやおい芸が変態的に広汎化するセカイ系。投じられる資財のスケールが映画であることの正当性の確信に満ちている。[投票(1)]
★4江分利満氏の優雅な生活(1963/日)この桂樹は社長シリーズとコンテンポラリーの彼を結ぶ架け橋みたいなものか。当事者になれなかった、産まれ遅れた戦中派の苛立ちと無責任と安堵感が分別不能になっていてカワイイ。[投票(1)]
★4スティング(1973/米)偽装ノミ屋に集うプロのおやぢどもの顔、顔、顔! 至福の目眩を覚える。[投票(1)]
★4シャーキーズ・マシーン(1982/米)合宿と化した張り込みで沸き立つ捜査官と技官のオッサンたちの童心は脱毛症とヒゲの多様な生態系を展示しながらいつしか手負いの獣の哀れと共鳴し、帰結としての男女の関係性を階級脱出を餌に金銭を搾取する恋愛詐欺のように見せる。[投票]
★4日本春歌考(1967/日)三丁目の景物と青春活劇のノスタルジーに挟撃され脱臭化した政治がたどりつくのは、映像主義の構築する物証の宇宙である。その時制を失った宇宙で女の成熟に追いついた男たちは死者の人生を再構築していく。[投票]
★4ニトラム NITRAM(2021/豪)資本家とのランデヴーによって迷惑が近所にとどまれなくなる事態の進捗とは裏腹に、戦場ならば幸福に生きられた男はオタクたちに初めて人間として扱われたために、正常な挙措に達したように見える。 [review][投票]
★4ドニー・ダーコ(2001/米)教育の私物化と怪奇の恐怖を同列に扱う手際は懲悪をスムーズに進めながらも、政治とは無縁のはずの精神科医・物理教師・老女ら工学家たちを批評する。理詰めで世界を救おうとする彼らの営みがジェイク・ジレンホールに決定的な感化を与えてしまう。 [review][投票]
★4FLEE フリー(2021/デンマーク=スウェーデン=ノルウェー=仏)貧困とは情報の乏しさであるから、状況が劇画化すればロシア人警官のように人物は類型的になる。劇画のリスクから遠ざかったホームドラマに劇画は筋の完成度において劣後し、作画スタッフは猫の描画にいよいよ情熱を燃やす。 [review][投票]
★4死霊のはらわたII(1987/米)力を欠きスピードに依存する死霊たちは空間に人を誘導すべく挑発をしてくる。俗化された死霊に憑依された母は生前そのままの姿であり過ぎるために哀感を呼ばない。死霊に力がないのは正体を定義できないからであり、人だったり植生だったり形姿が一定しない。 [review][投票]
★4ベルファスト(2021/英)大状況が、移動すれば終わってしまう課題に矮小化される。ヤクザ・入院・滞納といった日常の脅威は段階を踏むが、父のキャンブル癖は世界の果てまでついてくるだろう。 [review][投票]
★4スパイナルタップ(1984/米)状況の裏付けのなさに由来する笑いが、迷路のようなバックステージをさまよううちに、80年代を文化的閉塞物として捕捉する。批評精神の発揮は、終わろうとする幼年期の古典的な辛みによって状況を迂遠に裏付け、 [review][投票]