[コメント] 運動靴と赤い金魚(1997/イラン)
お兄ちゃんの必死に走る姿と涙を見ていたらふと思い出した父親から聞いた話
うちの父親が小学生の頃、学校から4キロ程先にある山中の沼に行く遠足があった。終戦直後だったのでご飯もろくに食えない頃。婆ちゃん(私から見た場合)は1ヶ月も前から楽しみにしていたのを知っていたので中に昆布のあるおにぎりを2個握った。ところが浮かれすぎたのか沼に行く途中、足を滑らしてしまい道脇の小川におにぎりを落としてしまう。諦めるに諦められなかったらしいが列を乱すわけにも行かず仕方なく目的地にそのまま行った。お昼は結局何も食べなかった。遠足から傷心で帰って来たらお母さんに「おにぎりうめがったが?」と聞かれて急に気になっておにぎりを拾いに行こうと思ったらしい。
夕暮れが近づいていて片道3キロじゃ「夜になってまう!」。走った。腹が減ってふらふらだったけど全力で走った(父は小学校のマラソン代表だったらしい)。おにぎりを落とした小川に着くと包み紙は剥がれて中身の米粒がバラバラになってそこには小さい魚がたくさん群れていたそうだ。その小魚達が「うめえ、うめえ」と言って婆ちゃんのおにぎりを食っているような気がした…それを見たら急に涙が止まらなくなって家まで泣きながら帰ったらしい。
うちの父親は中学生になったばかりの頃の自分になぜか巨人対阪神のTV中継中、こんな話を思い出したように語った。その時は「へえ、そうなんだ」としか思わなかったが二十数年ぶりにこの映画を見ていてこの話を思い出した。
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