キスシーン・ベッドシーン・抱擁・甘いささやきetc・・。現代恋愛映画で、恋愛を表現するために使われるカット。そして、現実の恋愛でも同じ。 　しかし、この映画には上のどれも出てこない。相手を見つめる・相手の声を聞く・相手を待つカットの連続で、その恋愛感情の高まりを表現している。現代人からすればまどろっこしいかもしれないが、それが愛らしく映るところにこの映画のよさがある。思い出してみれば、最初の恋愛はたぶんみんなそうだったに違いない。好きな子に会えるかもしれないと思って、好きな子の家の前を通ってみたり、好きな子と自分の名前を並べて書いたり、そんなうぶで純粋な気持ちから始まったはずである。現代人が忘れてしまったあの恋愛がこの映画にはあったのである。もちろんチャン・ツイィーのかわいらしさがそれを成功させているのかもしれない。