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disjunctiveさんのコメント: 更新順

★4告白小説、その結末(2017/仏=ベルギー=ポーランド)異なる演技の文法が同一画面で展開されている。セニエは生活感を丸出しにしてエヴァ・グリーンはマンガである。この怪しさに頓着しないセニエの人の好さには作者の徳がもろ出しになっている。 [review][投票]
★4クライ・マッチョ(2021/米)他人どころか当人すら所作の統制はもはや野放しである。にもかかわらず、メキシコの女性連だけは統制される終わらない性欲。筋は向こうから勝手に飛んできて、老人に実体を詰め込む。 [review][投票(2)]
★4スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム(2021/米)事態を持て余すコメディ調の通底が時空に裂け目を作り、その狼狽を具体化している。並行宇宙に由来する感傷がこれに対応する。 [review][投票]
★4おとなのけんか(2011/仏=独=ポーランド)たとえばハムスターに反応するケイト・ウィンスレットである。最初は行為が理念的だった。酒が入ると性格が理念に近づいてくる。 [review][投票(2)]
★4恋人たち(2015/日)不条理をどう受け入れるのか。言い換えれば、事を人災ではなく災害として認知する方法とは何か。社会の広がりに組み込まれろと作者は推奨する。人災は点だが災害は広がりである。巨視的な何かで包摂せねば認知できないからだ。 [review][投票(2)]
★4ハッシュ!(2001/日)配慮と相対化の工学が、異性愛の成立しえない構造に、不憫さを恋と混線させることで、疑似的に愛の切迫をもたらす。良識をめぐる人の相対性が筋として外化すると、半ば犯罪映画のストレスが民俗学的な誤爆として結実するような比喩の戯れとなる。[投票]
★4はちどり(2018/韓国=米)文明の崩落を叙述する前提として、まず文明自体を物象化する作業がある。それは診断書や漢文塾、究極にはソウル大になるのだが、かかる文明物を文字通り破壊する物証の迫力は通俗と互換して、 [review][投票]
★4ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー(2019/米)二人を失恋させる手際。性格の造形をロケーションで物体化する手管。単体のイベントが多様な効果を引き出す筋の効率性とは事態の同時性である。それは惜別と悲恋の混線させ、一夜の徘徊に空間を分解させず、むしろ事は凝集する。 [review][投票(2)]
★4ヒーローショー(2010/日)愚者ならぬ語り手には愚者の処遇がわからない。社会化する私闘の加速感は、愚者を扱いかねるゆえに頓挫する。勝ち組の後ろめたさが、愚者に対する決定的な行為をためらわせる。愚者はその配慮に負の意味で聖別された自分を見出し高揚する。[投票(1)]
★4ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019/米)メリルからローラ・ダン、 シアーシャ・ローナンへと世代を経るごとに伸展する馬面。爆縮レンズのように、馬面に四方から圧されたローレンス・ピューの丸顔はその球形を際立たせ、馬面一家の不穏を引き受ける。 [review][投票(4)]
★4リンダ リンダ リンダ(2005/日)青春の最大瞬間風速がゼロ年代の景物の中に呈示されるノスタルジーの混線。どこにもないこの世界の異様な文化的集積度が筋を郷愁の呪いから解放する。序盤で軽音部の部室として具現したそれは、前座の喜劇のような歌唱力へと飛躍し体育館を異空間とする。 [review][投票(3)]
★4ジョジョ・ラビット(2019/米)社会小説は物体の作り込みによってその誠意が担保される。30年代中欧の朽ち果てたインフラは総天然色の箱庭へ化粧直しされる。景物の作り込みは行為に影響を及ぼさずにはいられない。 [review][投票]
★4チャーリング・クロス街84番地(1986/英=米)タバコとボトルの山を築き上げ、60年代を不穏に駆け抜けるアン・バンクロフト。変移する風俗を観測可能とするのは、靴磨き、通勤、クリスマス飾りつけ、投票所、戴冠式中継等々、オッサンの永遠の一日。 [review][投票]
★4冷たい熱帯魚(2010/日)人間解体の徒労感が、頑張りには内容が問われないと訴える。オスの成長という強迫観念にとって、内容や結果が問われないことは救いになるはずだが、一人前になった男が内容のなさに憑依されることで、物語は無内容を非難する。ところが、 [review][投票(3)]
★4ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!(2007/英=仏)荒唐無稽な虚構と現実との境界は常に明瞭である。喜劇というよりは、安心して享しめるホラーという不思議は、保安官が強すぎる西部劇として、これまたクロスジャンルする。民間人いじめという不穏が喜劇を許容しないのである。[投票]
★3愛のむきだし(2008/日)70年代ポップカルチャーの解像度が社会時評を扱いかねる。昭和のラブコメが始まるように筋が記号に振り回され、その遠心力に耐えきれず内容が脱落する。罪を作らねばならぬほど男には罪の実体がなく、コリントを引用して糾弾されても非難の謂れがわからない [review][投票(1)]
★4Mr.ノーバディ(2021/米)男と同化するにはナルシシズムに躊躇がなさすぎる。ロシアン・マフィアの心理に近寄れば、禁足地に踏み込んでしまったようなホラーコメディが始まる。禁足地の記号化に秀でるのである。 [review][投票]
★4DUNE/デューン 砂の惑星(2021/米)新宗教に依存する妻。信仰に冷淡な夫。息子が母の熱狂に巻き込まれる。核家族の孤独は遠景と近景の質感を対峙させる。ホームドラマが近景の造形物を風雲たけし城へと矮小化してやまない。 [review][投票(1)]
★4映画 ビリギャル(2015/日)この人にはもともと素質がある。父母と弟の方がよほど人生の課題を抱えている。文明を知るうれしさは、他者が自分の才能に未来を託そうとする貴き外圧へと変わり、有村架純が才能という宝くじを単に引いた話では終わらない。 [review][投票(1)]
★4パフューム ある人殺しの物語(2006/独=仏=スペイン)叙述はあくまで男に寄り添う。受け手には、ストーキングに着手した段階で男についていけなくなる。香りには感触がない。一方で場景は物体で溢れかえり、男のいら立ちは募る。課題は、形ないものが物体化する矛盾の探求である。香りに触れたいのである。 [review][投票(1)]