寒山拾得さんのコメント: 投票数順
キューバの恋人(1969/日=キューバ) | キューバとは、国民皆兵(!)とは、いったい何なのか、日本の左派と彼等は何が違ったのか、考え込まされる。太陽族の道化は我々の似姿に違いないと示して本作は『ヒア&ゼア』を超えている。演ずる津川雅彦が現在右派大物というのも出来過ぎの力作。 | [投票] | |
モーターサイクル・ダイアリーズ(2004/米=独=英=アルゼンチン) | 初期ヴェンダースより薄味だしコネあり過ぎだが、それでも愉しい貧乏旅行、単純に南米の風俗が愉しい。キリスト教に取って代わるぞのハンセン病の件は凄い。大きなことする人は象徴的な出会いをするものだ。 | [投票] | |
渇き。(2014/日) | いつものように序盤のデフォルメされた風俗描写は面白く、交錯する進行をすっきり理解させる脚本は見事だが、後半は余りにも生温く、「ボク」のどん底がこの程度の娯楽なら幻滅だ。比べるとダルデンヌ兄弟など神様にみえる。本屋大賞レベルの限界か。 | [投票] | |
わが命つきるとも(1966/英=米) | 頑固一徹は結構なのだが遵守している法がどうにも大したものに思えず、頓珍漢な印象が拭えぬ。66年に悪法も法と主張する輩などゴリゴリの保守と相場は決まっている。 [review] | [投票] | |
大日本帝国(1982/日) | 美点はサイパン玉砕の描写が重厚で観せること(逃亡する軍人批判は明らかに沖縄戦他とダブらされている)、欠点はそれ以外全部。軟弱な首相の云い訳史観には眩暈がするし、英米兵を鬼畜として描くのは情報局映画並。 [review] | [投票] | |
大樹のうた(1959/インド) | 私はインド(映画)をどう観てよいのかよく判らず、本作もインテリの彷徨が上位カーストの我が儘に見え、判断がつかない。確かなのは奥さんがとても美人なことと『大地』の魔法はすでにないこと。 [review] | [投票] | |
サンザシの樹の下で(2010/中国) | 緑の濃淡だけで描かれる川沿いの山道など上品で好感度高く、これを背景にした若い男女の微笑ましい恋愛のスケッチで済ませばよかったのに。 [review] | [投票] | |
望楼の決死隊(1943/日) | 寝る間もないのに剣道するなよ。親米インディアンとの「心の交流」を描いた西部劇と同じ空々しさが蔓延しており、銃撃シーンもゴミのようにショボい。主題を裏切る「国語常用」なる貼紙だけが不気味にリアル。 [review] | [投票] | |
息子の青春(1952/日) | 「教育」を語る方法において林房雄とケンちゃんシリーズの類縁性が生温く浮上するトンデモ映画。石浜朗は家族の毒が回って狂っているとしか見えない。こんな空々しいもの、撮っていて恥ずかしくなかったのだろうか。 | [投票] | |
愛妻物語(1951/日) | 直球勝負なメロドラマ。他の演出は特になくただもう乙羽信子を表情豊かに撮ることだけに専心されており、はっとするような陰翳に幾度か出会う。心情が滲んでいるのが美しい。 [review] | [投票] | |
長崎の鐘(1950/日) | 永井博士の偉業を何にも伝えていないし、原爆投下時の字幕には呆れる。米軍の検閲がいかに無惨だったかを示す第一級資料。新藤にとって『原爆の子』は本作のリベンジでもあったはず。 [review] | [投票] | |
異邦人(1968/仏=伊=アルジェリア) | 原作の思索が当然省かれる代わりに映画として何を加えるのか、この課題に本作は何も応えられておらず、ただ物語の骨組みが剥き出しになっているだけ。 [review] | [投票] | |
現代人(1952/日) | 「異邦人」ブームの副産物だろうし、当時評価が高かったのも、何やら意味不明な「異邦人」の判りやすい解説に見えたからなのだろう。N'est-ce pas? [review] | [投票] | |
陸軍中野学校(1966/日) | 加東大介のアナーキーな理想は右旋回前の産経の体質を記録しており、特定秘密法絡みでも誠に興味深いの切り口なのだが、映画は増村の活劇好みが災いして大仰な法螺話めいている。リアリズムで観たかった。 [review] | [投票] | |
男はつらいよ 奮闘篇(1971/日) | 知的障がい者登場率トップの山田作品、ここでも奇をてらわず榊原るみの来歴を丁寧に記録、一方「あのふたりじゃやっていけない」と並置される寅さんはホテルでハーポ・マルクス級のパフォーマンス。民衆・芸能史相手に映画撮っている器の大きさを感じる。 | [投票] | |
地獄でなぜ悪い(2013/日) | 長谷川博己の神憑りな映画愛にはある種の感銘を覚えるものの、その向かう先が原菜乃華への少女愛ではどうにも貧しいし、今更やくざ出入りを地獄と云われてもそれがどうしたとしか思われず、深作のブラック・ユーモアの足元にも及ばない。 | [投票] | |
続・男はつらいよ(1969/日) | ラブホテルにおける下世話と哀切の入り混じった件が本作の白眉。シリーズが巨大になるとこういう艶笑譚は自粛されたのだろう、惜しいことである。「浴槽の中へネオンがつきますさかいどうぞ」 [review] | [投票] | |
ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう(1972/米) | 笑えるしブラックで面白いのだけれど突き抜けない。「ソドミーって何?」や「女装の歓び」などはさらに膨らませればブニュエルのような重喜劇にできたはずで、苦いが軽いユダヤジョークで済ませるには惜しい題材と思う。 | [投票] | |
パーマネント野ばら(2010/日) | 漁港の風景描写がとても優れており、デフォルメされた風俗も楽しいが後半地味。『お引越し』を超える世界を奥寺佐渡子は描けなかったなあという空回り感が残る。三度ある車のアクションも地味。 | [投票] | |
砂糖菓子が壊れるとき(1967/日) | 埋め合わせの企画でしかないのが丸判りのお仕事モード作品。夜景の美術など酷いものだ。今井・曽野という凄いミスマッチに期待したがそのレベルになかった。 [review] | [投票] |