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[POV: a Point of View]
ベスト・オブ「日本の映画音楽」(巻の一)
〜前衛系〜

A:黛敏郎 B:武満徹 C:林光 D:真鍋理一郎 E:鏑木創 F:冨田勲(★NEW) G:山下洋輔 H:池辺晋一郎、ツトム・ヤマシタ(★NEW)
A★5豚と軍艦(1961/日)新宿昭和館でこの長門裕之(と『仁義なき戦い』の広島弁)に出遭い、俺は邦画にのめり込むようになる。要はそれを発した人物の「表情」「動き」と直結し「履歴」「地域性」を想起させる「原語」を介して映画を愉しむようになったということ。表層的と云われようが俺には日本語で語られる喜劇がイチバンだ。 [review]投票(6)
A★5硝子のジョニー・野獣のように見えて(1962/日)当時、日活は愚にも付かないカスみたいなアクション映画を濫造する一方で、その間隙を縫うように、こういう傑作を確かに産み落としていた。その福音は東宝・松竹・大映を遥かに越え、最盛期のイタリア映画に肉薄している。川島と今村、中平とこの蔵原の幾つかの作品に見られる軽さと重量感に、いつまでも俺は翻弄されていたい。 [review]投票(3)
A★4君も出世ができる(1964/日)邦画を見ていてこんなことを思ったのは初めてだ。歌って踊れてしかも可愛い(眼鏡がイカス!)雪村いづみのスケールはスコープサイズのスクリーンにすら納まりきらない。投票
A★3赤線地帯(1956/日)赤線廃止二年前の騒然とした空気を捉えた意義深い群像劇であることは確かだが成沢昌茂の脚本はおセンチに過ぎ踏み込み不足で誉めようがない。女優では若尾文子の圧勝。他が悪いのではなく彼女が素晴らし過ぎるのです。 [review]投票(2)
A★0気違い部落(1957/日)
B★5切腹(1962/日)真実X体裁、営利X博愛、実践X理論、理念X家族愛、あらゆる二項対立の不毛を炙りだす史上最高完全無欠豪華絢爛空前絶後な色即是空映画。このフィルムを保全し千年先の子供たちの子供たちの子供たちへ語り継いでいくことは我々日本人の義務であり至上の愉しみです。投票(4)
B★5砂の女(1964/日)勅使河原宏(監督)x安部公房(脚本)x武満徹(音楽)x粟津潔(題字)。世界に誇る天才達が築き上げた日本映画の最高峰にして、永遠不滅の問い。 [review]投票(5)
B★0不良少年(1961/日)
C★5女の中にいる他人(1966/日)古今東西これ程までに気品と崇高さに充ちたサスペンス映画を知らない。 [review]投票(1)
C★4華岡青洲の妻(1967/日)有吉佐和子の神懸り的な心理描写を、表情・声色の変化のみで慎ましく再現した増村&若尾に再敬礼。雷蔵が淡白なのも理に適っている。曼荼羅華の美醜を体現しきった音楽は林光の最高傑作の一つ。投票(3)
C★0裸の島(1960/日)
D★5妻は告白する(1961/日)法廷でチラチラと恋人の様子を覗き見る落ち着きの無い若尾さん。婚約者の「私達結婚するんです」発言に反応する上目使いの若尾さん。ああ若尾さん、そんな目で人を見てはいけません。投票(11)
D★4暖簾(1958/日)浪花屋が昆布の旨みを削り出すように川島は主演俳優の「巧み」を最大限に活用する。森繁の二役はどちらも血が通っていて素晴らしいが、特に次男坊・孝平のヒーローぶりに邦画最盛期でもあったこの時代の力強さを感じずにはいられない。投票(1)
E★4無頼平野(1995/日)’90年代映画として純粋に判断すれば★2が妥当だろうがそれでも。玉の井風情が活きていれば★5だった。石井輝男ファン以外は無理して見ないでいいし、これからファンになろうという人も先に幾つか観てから挑戦した方がいい。 [review]投票
E★0剣鬼(1965/日)
F★5たそがれ清兵衛(2002/日)正に”For Life”。「生きること」に捧げられた映画。真田&宮沢の演技は演技であって演技ではない。出遭い別れ今、此処にいる、という事実に対する感慨のそのものだ。そして映画監督のシゴトというのはいつ炸裂するかも判らない火花を焦る事も取りこぼす事も無く確実にカメラに収めて行くことだと思う。投票(2)
F★4飢餓海峡(1965/日)駅伝映画。長距離、往路と復路。復路での既視感に気持ちよく酔えました。 [review]投票(10)
G★5荒野のダッチワイフ(1967/日)暴力的な言葉、暴力的な映像、暴力的な音楽の三位一体が織り成す日本最凶の非現実空間。これが日本の「ビート」である。投票(1)
H★0D坂の殺人事件(1997/日)
H★0空海(1984/日)
A:黛敏郎・・・幼少期から作曲を始める。戦火に堪えながら様々な人に師事、'46年には伊福部昭に管弦楽の手解きを受けた。戦後はジャズピアニストとして食い繋ぎ22歳にして世界にその名を知られる。映画音楽も早くから手掛けており’53年24歳の時芥川也寸志団伊玖磨と「三人の会」を結成、女優桂木洋子と結婚する。日本初の電子音楽による習作を発表、溝口健二の遺作『赤線地帯』にこれを用い論争を巻き起こす。代表曲「饗宴」「涅槃交響曲」映画『東京オリンピック』『天地創造』などで国内外の評価を不動のものするが’70年頃から右翼活動に熱中する。より一般的にはTV番組「題名のない音楽会」の司会者として知られる。1997年永眠。 B:武満徹・・・幼少期からほぼ独学で音楽を学ぶ。20歳で「新作曲家派協会」に参加、翌年林光らと芸術家集団「実験工房」を結成。20代後半で世界的評価を獲得、これを期に映画音楽も手掛けるようになる。ATG関連の前衛映画や勅使河原宏らとのコラボ作品が有名。1996年永眠。 C:林光・・・10歳から尾高尚忠に師事。東京芸大音楽学部作曲科中退後、外山雄三間宮芳生、武満徹らと「新作曲家派協会」次いで「実験工房」を結成。政治や社会問題に対する関心が高く’60年安保に際しては石原慎太郎、大江健三郎ら若手作家と共に反対運動を行った。俳優座、黒テントなどの演劇音楽、大島渚、新藤兼人ら社会派監督との結び付きが強く特に新藤の『裸の島』ではソ連作曲家同名賞受賞(これは間違いなく日本映画音楽の最高傑作の一つである)している。現在も合唱オペラ指揮評論公演などの多彩な分野で活躍中。 D:真鍋理一郎・・・東京芸大音楽学部作曲科及び研究科(大学院)卒業後の’56年映画の世界に入る。復活後間もない日活に於いてデビューを果たしてからは大島渚、川島雄三、増村保造、小川紳介ら個性派監督の作品に華を添える。一聴でそれと判るオドロオドロしい作風は正にワンアンドオンリー。怪奇映画には欠かせない貴重な存在である。 E:鏑木創・・・神奈川県出身。映画音楽は木下忠司に師事し制作を再開した日活でデビューを果たす。その後はアクションもののプログラムピクチャーを中心に活躍。石井輝男監督の異常性愛路線などに於ける挑発的かつ意表を突いた作風は一部から熱列な指示を集め土ワイ「江戸川乱歩シリーズ」などエログロナンセンス系作品には欠かせぬ存在となる。(未登録『やさぐれ姐御伝 総括リンチ』) F:冨田勲・・・'36年東京生まれ。慶応大学在学中からNHKを中心に音楽活動を開始、アニメ『ジャングル大帝』「リボンの騎士」なども手掛け高い評価を受ける。東映を中心に映画音楽監督としても活躍、内田吐夢の大作『飢餓海峡』はシンセ登場以前の最もシンセ的な試みとして再評価されている。’70年代に入ると本格的にシンセサイザー音楽に着手、’74年アルバム「月の光」が全米クラシック・チャートでナンバー1ヒットを記録、日本人として始めてグラミー賞4部門ノミネートを果たした。21世紀に入っても創作意欲は衰えず映画『千年の恋 源氏物語』『たそがれ清兵衛』で日本アカデミー最優秀音楽賞を連続受賞している。 G:山下洋輔 H:池辺晋一郎 H:ツトム・ヤマシタ・・・戦後’47年京都生まれ。打楽器に魅せられ17歳で渡米。打楽器の新たな可能性を模索しながら世界の第一線で活躍、「打楽器のイメージを変えた人」と賞賛される。帰国後、演劇集団「レッド・ブッダ・シアター」を結成、またスティーブ・ウィンウッド、マイケル・シュリーブ、アル・ディメオラ、クラウス・シュルツとロックプロジェクト「GO」を推進。その後仏教音楽の研究に没頭し「供音式」の様式を確立。’86年、讃岐産の古代溶岩石「サヌカイト」と出遭いサヌカイト音楽を創始。映画音楽の分野ではロバート・アルトマン監督『イメージズ』、佐藤純弥監督『空海』で知られる。
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