寒山拾得さんのコメント: 投票数順
死滅の谷(1921/独) | ラングの全盛期はハリウッドにあり、サイレント期の大作はどれもやたら長尺なばかりで大したことがない。本作は本邦の地獄絵、百鬼夜行図みたいな作品。 [review] | [投票] | |
都会の女(1930/米) | 『サンライズ』より弱い作品だろう。都市と地方を問う主題はジャンル映画の紋切型に後退しているし、美術もさすがに比較すれば地味。ただ、喜悦溢れる小麦畑到着の移動撮影は箆棒で驚異的。ここだけで鑑賞料金は回収された。 [review] | [投票] | |
人生の乞食(1928/米) | 辛くも愉しい乞食体験は幾つもいいショットがある。藁山の一夜、ジャングルなるホーボーの炊き出し集会、貨物列車へのいろんな飛び乗り。見処はその辺り。 [review] | [投票] | |
百貨店(1926/米) | 本来は真面目な姉が主人公なのだが、時代は悪女の妹ルイーズ・ブルックスを主演に押し上げてしまったんですな。「君って頭はバカだけど服装のセンスはいいね」と云われて満更でもない顔している彼女に驚嘆させられる世界大恐慌3年前作品。 [review] | [投票] | |
魔術師(1926/米) | 話は平凡でサラサラ進んで余りインパクトがないのだが、すでに上等な撮影美術で、50年代のハマープロと騙されても判らないレベルの悪魔信仰映画。原作モームなんだ。 [review] | [投票] | |
知られぬ人(1927/米) | 『フリークス』の後日譚というべきか前日譚というべきか。クライマックスの大盛り上がりはちょっと類例が思いつかないほどで、評価せざるを得ない。子供が見たらヒキツケをを起こすだろう。私も二度と観るのは御免だ。忘れられなくなる悪夢。 [review] | [投票] | |
天罰(1920/米) | 大正時代らしいポプラ社の少年探偵団の世界。エログロ新東宝映画からエロだけ除いたようなデイストで、倫理的にも古臭く劣っている。撮影美術は30年代で通るハイレベル。 [review] | [投票] | |
霊魂の不滅(1920/スウェーデン) | まだお勉強で観る映画なんだが、ランプや蝋燭の灯りの微妙な明滅は美しい。当時の技術ではほとんど神業だったんだろう。 [review] | [投票] | |
水の娘(1924/仏) | 当該水の娘の年齢詐称と厚化粧が酷すぎる。何かの事情で採用せざるを得なかったんだろうか。いい映画なんだけど愛せないフィルム。替わりにリリアン・ギッシュなら★5だっただろう。 [review] | [投票] | |
戦争と平和(1919/仏) | アベル・ガンスらしい力技でゴリゴリ観せるのだが、内容がDV亭主挟んだ三角関係では何だかなあと思っていると、終盤別のスイッチが入ってもの凄いことになる。 [review] | [投票] | |
巨人伝(1938/日) | 画期的なほど無茶苦茶な収束で、冒頭に名作の映画化なんて弱った、みたいな断り書きが入り、何のことかと思っていたが、この収束のことなんだろう。云いたいことの云えない時代の洒落のめした悲鳴なんだろう。 [review] | [投票] | |
一番美しく(1944/日) | やる気搾取の典型例。非常増産強調運動の折れ線グラフが再々登場し、仲間がバラバラになると折れ線が下降、一致団結できると上昇するのだ。感情の可視化もファッショの要件、ロボコン零点程度の演出である。 [review] | [投票] | |
黒の報告書(1963/日) | 物語が検察内の出世物語に収まる小ささは設定の土台が腐っており物悲しい(含『妻は告白する』のネタバレ)。 [review] | [投票] | |
マタンゴ(1963/日) | 野上彌生子「海神丸」(新藤『人間』)+イヨネスコ「犀」。収束の畳みかけが実に見事(含「犀」のネタバレ)。 [review] | [投票] | |
白と黒(1963/日) | しくじったときの橋本忍らしいトンデモ映画で、井川比佐志の好演の無駄使い。二転三転する度に物語は軽薄になり、最後は痔の手術は痛いのだろうというどうでもいい感想しか出てこなかった。 [review] | [投票] | |
悪の紋章(1964/日) | しくじったときの橋本忍らしいトンデモ映画で、ともかく矢吹寿子の精薄者の造形がひどい。当時の観客がなぜ不愉快にならなかったのか不思議。この時代らしい軽薄な人権意識ということか。 [review] | [投票] | |
美しい十代(1964/日) | 美点は風景描写で、工場裏の夕陽や橋の空が息を呑むほど美しい。日活が高レベルなのか、色彩計測の安藤庄平の手腕なのか。おそらく両方なんだろう。 [review] | [投票] | |
絶唱(1966/日) | 農地解放をまるで日本人でやってのけたかのような話で、もちろん虚構だろうがとても興味深い。だから本作のクライマックスは、村八分にされた初井言栄が思わず漏らす恨み節でもある。 [review] | [投票] | |
婉という女(1971/日) | 増村の下手糞な模倣みたいな前半は弱ったが、元祖『ジョゼ』みたいな後半は面白くなる。岩下志麻が犬になってワンという訳ではない。 [review] | [投票] | |
女生きてます 盛り場渡り鳥(1972/日) | 真っ当な物語はついに消え失せ、貧乏長屋で群衆が酒呑んで性を放浪して子供がベタに泣かせる、という森崎映画のエッセンスがあられもなく露出しているだけの映画。これはもの凄い。本作のために増量したのか春川ますみが最強に凶暴である。 [review] | [投票] |