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ジェリーさんのコメント: 点数順

★3レッドクリフ PartI(2008/中国=香港=日=韓国=台湾)鳩の飛ぶシーンの長回しを見つつ、「これを《長回し》と呼んでいいのでしょうか溝口監督?」と問う自分がいる。 [review][投票(4)]
★3プラネット・テラー in グラインドハウス(2007/米)様々なB級映画の手段であったものが、化成して主役になっている。本末転倒が映画の現象ではなく、本質であること、歴史そのものであるということを知的にも通俗的にも立証して見せた。泥絵の具のような卑俗美のただならなさは一級品。[投票(4)]
★3フライトプラン(2005/米)主役が飛行機のセットと思えば、これほどよく出来た映画もない。決して皮肉で言っているわけではなく、それくらい現実感のある作りだったということ。俳優や脚本だけで映画が出来ているのではないことがよく分かった。[投票(4)]
★3かもめ食堂(2005/日)3人の日本人の女達だけが中心人物と言い切れない不思議さ。全登場人物が等しく存在感をたたえ、一瞬をぬって、我々の眼の前をよぎってゆく。その見せ方の無駄のなさを味わおう。キャメラが、狭い食堂の中を実にたくさんの画角で切り取ってくれる、この贅沢さも満喫すべし。 [review][投票(4)]
★3大いなる幻影(1937/仏)視界をさえぎる壁に満ちた捕虜収容所のシーンから一転して、見晴るかす風景を捉えた後半部への転調のすばらしさ。脚本や演出という殻すら突き破って屹立する人間くさい登場人物たち。そしてダースベイダーの映画的祖先としてのシュトロハイムの凄み![投票(4)]
★3北の零年(2004/日)あなたは、この映画の吉永小百合 のような人生と、渡辺謙のような人生とどっちを歩むかというような究極の選択問題を作ることが出来るくらい、人物が類型的である。そして、大女優を何のテレもなく大女優然と起用し、セットを恥ずかしげもなくセット然と使っている。[投票(4)]
★3私は告白する(1953/米)不自由を自ら選択する自由人についてのヒッチコックの私的思い入れに満ちた詩篇。この不自由状態を表現するのに、モンゴメリー・クリフト の硬い美貌とロバート・バークスの意識的に硬質なローキーの画調がものすごい効果をあげている。[投票(4)]
★3八月の狂詩曲(1991/日)せりふなどに、こらえ性のなくなった老人の失禁めいた生煮えのところもあるが、どういう訳か、『東京物語』を思い出した。 [review][投票(4)]
★3アメリカン・ビューティー(1999/米)ずいぶん遠くまで歩いてきたようだけれど、実は一歩も踏み出せないでいる我等。その悲しみを切なくおかしく、そして実に丹念な計算のもとで描いた戯画。この映画は、現代を切り取っているようで、実は、何万年もの人類史を一気に書き上げたのだ。[投票(4)]
★3栄光のル・マン(1971/米)ドキュメントスタイルの映像と、ありえないアングルから撮影を敢行する映画人魂がスパークした小気味よい作品。いや撮影だけじゃない。構成も、編集もとても斬新だ。これで、人物に深みがでれば4だった。[投票(4)]
★3奇跡の人(1962/米)野蛮だったのは彼女じゃない。彼女に対する家族の取り扱い方だった。[投票(4)]
★3バリー・リンドン(1975/米)創作意図は全く不明ながら、スタンリー・キューブリックは映画のテクノロジー革新にまたもや貢献。「空気」を映したといえるような仕上がりの美しさ。[投票(4)]
★3バベットの晩餐会(1987/デンマーク)慎みに慎みを重ねた後の悦びの一夜。とても上品な食のポルノ。[投票(4)]
★3鴛鴦歌合戦(1939/日)この映画を見ていると、戦前のイメージが一蹴されていく。リアルを発破する起爆力は時代を超えて強い。オペレッタにはコケティッシュな女優を、という欧米文化を自家薬籠中のものとしているマキノ正博はとてもモダンな人だったろう。3人の女優、見事な揃い踏み。奥行きのボケ味、今の映画にはない潤いを感じる。[投票(3)]
★3THE BATMAN ザ・バットマン(2022/米)腐敗と悪が、悪人の属性としてではなく、脈打って生きている巨大なシステムとして描かれる。これは『ダークナイト』すら達しえていないヴィジョンだ。悪人の誰が死のうが、誰に替わろうが小動ぎもしない構造としての悪がリアルに迫ってくる。ヒーロー映画のレベルをはるかに超えるみごとな成熟だ。[投票(3)]
★3ザ・スクエア 思いやりの聖域(2017/スウェーデン=独=仏=デンマーク)予測はずれの事態の連続に戸惑うのは主人公だけでなく、本作を観る我々も同様。可笑しくもあり怖くもある両義的状況は、他の映画では得られなかった新鮮な体験だったが、ここまで長尺にされると、鑑賞後の疲れがめっぽう溜まる。構図の素晴らしさは超A級。[投票(3)]
★3アナと雪の女王(2013/米)口パクの唇の開き具合や形が、発音と対応していることに単純に感動し、北の氷の宮殿の山からアレンデール城の方を俯瞰する描写に単純に感動した。それだけだ。しかしそれだけでもすごいことだ。物語に面白さはなく、Boy meets girl ストーリーを再生産してくれた方がよい。[投票(3)]
★3ゼロ・グラビティ(2013/米)この空間モデルがヴァーチャルとリアルの二項対立を無効にする。動くキャメラでもって空間を動かして見せた溝口的時代の次の時代をこの映画は圧倒的な皮膚感覚を伴って予感させた。映画はキャメラを通過しない映像を届けることに初めて成功したかもしれない。[投票(3)]
★3ダージリン急行(2007/米)狭い場所と左右対称の構図への特殊な偏愛がこの作家にある。本作と『ライフ・アクアティック』を観ただけの印象で語るのは気がひけるのだが、列車と船というキャメラを据えるには少し難儀な背景を殊更設定したがるこの嗜好には、当然ながら映画作家としての矜持があるはずだ。 [review][投票(3)]
★3イースタン・プロミス(2007/英=カナダ=米)ロシアの過酷な冬の中で鍛え上げられた筋金入りの組織悪の凄みが、香水のように男たちの体から立ち昇っている。男達の整髪料臭さ、ナオミ・ワッツの石鹸臭さ。本作品は嗅覚を刺激する。それは一級品の証だ。性器晒しての取っ組み合いは、その重量感において比類ない。[投票(3)]