★4 | グレイト・フラマリオン(1945/米) | 往年の大監督・シュトロハイムが落ちぶれていた時期の主演作の一つらしい。美しい悪女に翻弄される哀れな初老の男を好演。アンソニー・マンの貴重なフィルム・ノワール。 | [投票] |
★4 | マルタ(1975/独) | 妻を自分の思い通りに従わせ、支配しようとする夫。そんな夫に違和感を感じながらも、結局言いなりになってしまう妻。常軌を逸した嫌な性格の人間を描き、しかも一切断罪しないファスビンダーの姿勢に震え上がるばかりだ。 | [投票] |
★4 | 地獄の曲り角(1959/日) | 薄幸そうな悪女を演じる南田洋子が文句なしに良い。主演の葉山良二はやや演技過剰か。しかしこれも蔵原惟繕の映像センスが冴えに冴えた傑作だ。車の追いかけっこのシーンなど、スタイリッシュで惚れ惚れする。 | [投票] |
★4 | 過去を逃れて(1947/米) | 結構複雑且つ先が読めない展開でついていくのが大変だったが、ジャック・ターナーの演出はこの一触即発の人間関係をスリリングに見せてくれる。 [review] | [投票] |
★4 | ビッグ・コンボ(1954/米) | いかにもフィルム・ノワール的な照明の格好良さに加えて、補聴器でジャズを聴かせる拷問シーンなどニクい演出満載。クライマックスの銃撃戦からラストカットまでの流れは圧巻と言うしかない。不敵なギャングのボス、リチャード・コンテの好演も光っていた。 | [投票] |
★4 | 嗚呼!おんなたち 猥歌(1981/日) | この内田裕也は本当に何考えてんだか分からない、もしかしたら何も考えてないのかもしれない・・・リアルにそう思わせるような得体の知れなさがあって、映画全体に不気味な不協和音をもたらしている。 [review] | [投票] |
★4 | わが生涯のかがやける日(1948/日) | 敗戦から3年後という、その時代がうまく描けていると思う。同年の『酔いどれ天使』と似ている部分もあるような。戦後の混乱期にやむにやまれず堕落してしまった人間を描いているわけだが、森雅之が演じることで凄い説得力が生まれている。素晴らしい役者だ。 | [投票] |
★4 | セントラル・パーク(1989/米) | セントラルパークという場所の魅力もさることながら、そこに集まる人々を興味深く見つめるカメラがいい。フィックスショットをテンポ良く繋いでいく、そのリズム感の秀逸さ。風船で作った恐竜が空に舞い上がっていくカットなんかにもセンスを感じる。 | [投票] |
★4 | 「エロ事師たち」より 人類学入門(1966/日) | 寄り過ぎず引き過ぎない、微妙なカメラの距離感が面白い。今村昌平の視点は一貫して観察者のそれであり、理解や共感よりとにかく「凄いものを見せられてる」という感覚を与えてくれる。特に、異様な凄味が漂う後半の展開には驚かされる。 [review] | [投票] |
★3 | 白昼の女狩り(1984/日) | ストーリーテリングをあえて放棄したのか、ただ単にやる気がなかっただけなのか。なぎら健壱は一体何がしたいのか、そもそも何故なぎらなのか・・・。謎だらけの珍品だが、サディスティックなセックス描写が一応見所か。ラストの唐突さは曾根中生らしい。 | [投票] |
★4 | やぶにらみニッポン(1963/日) | 日本に過度の幻想を抱く米国人と、自国の文化に対しネガティブでどこまでも自虐的な日本人。こういうディスコミュニケーションって今でもありそうだ。本作を楽しんで観てしまった自分も、骨の髄まで日本人なんだなと痛感させられた。 | [投票] |
★4 | ジョーズ・アパートメント(1996/米) | こじんまりまとまってしまうとつまらない類の映画だと思うのだが、全編突き抜けたくだらなさに満ちていて素晴らしい。ウンコがいっぱいに詰まった袋を抱えてバスに乗る主人公、という稀に見るバカな画ヅラに腹の底から笑った。こんな頭の悪い映画は大好きだ。 [review] | [投票] |
★2 | マリアの胃袋(1990/日) | 画面全体を容赦なく支配する安っぽさと空疎さに、バブル時代の能天気ムードがホラーというジャンルと徹底的に相容れなかったことを思い知る。中途半端なドタバタ演出も寒々しく、映画が向かうべき方向性が見えてこない。夜のシーンのロングショットだけは良い。 | [投票] |
★4 | 帽子箱を持った少女(1927/露) | サイレント映画ならではの人物の動きのキレが素晴らしく、尚且つそれぞれが愛すべきキャラクター。とりわけナターシャの小悪魔的魅力が堪らない。あんなに可愛らしく感動的なキスシーンにはなかなかお目にかかれないだろう。 | [投票] |
★4 | 無責任時代(1937/米) | 1930年代の映画にしてこの現代性。マスコミと大衆の偽善に対する皮肉は今でも有効であるし、尚且つギャグのセンスもまったく古びていない。プロレスと子供たちの合唱には特に笑った。どこか素っ頓狂で憎めないキャロル・ロンバードも魅力的だ。 | [投票] |
★4 | 黒魔術(1949/米) | 荒唐無稽な物語に説得力を与えるオーソン・ウェルズのカリスマ性を見よ!彼がどこまで演出に関わったかは分からないが、屈折した成り上がり者の悲劇というパターンは『市民ケーン』からしっかり継承されており、実にウェルズ的な傑作となっている。 | [投票] |
★4 | 食神(1996/香港) | 敵キャラに負けず劣らずシンチー演じる主人公も最低なのだが、こういう映画はまともな人間が出ないほうがかえって面白い。話の構成など凝るべきところは凝りつつも、全体としてはしっかりと雑な雰囲気を醸し出してるのもバカ映画としては立派。 | [投票] |
★4 | シルクハットの大親分 ちょび髭の熊(1970/日) | バカなところはとことんバカに、かっこいいところはとことんかっこよく、メリハリの利いた演出はもはや名人芸と言っていい。『緋牡丹博徒』シリーズのスピンオフという企画モノではあるが、一作目より断然パワーアップした快作だろう。 [review] | [投票] |
★3 | 顔役(1971/日) | 前衛とかヘタウマとかいう次元を遥かに超えた、唯一無二の勝新ワールド。脈絡なさすぎる展開と乱暴すぎるカメラワークにめまいがしそうだ。接写に次ぐ接写は確かに斬新ではあるが、かえってウェルメイドな映画の有難さを痛感することとなった。 | [投票] |
★4 | 桜の代紋(1973/日) | 若山富三郎の無骨なキャラクターといいやりすぎ感のある暴力描写といい、ゴツゴツした力任せな雰囲気がある一方、凝りまくったアングルでビシビシ決める三隅研次演出が実にテクニカル。脇も皆良いが、大滝秀治の不気味さが特に光ってた。 | [投票] |