★3 | アングスト/不安(1983/オーストリア) | 狂気は伝わるものの、問題作というより単に作りが拙いだけの微妙な作品に思える。しつこすぎるモノローグがまったく好みでない。ただ、主人公に襲われる一家の娘役の女優が可愛い。できればこんな内容じゃない映画で出会いたかった。犬も好演ではある。 | [投票] |
★5 | 銀河(1968/仏=伊) | 全編宗教論争ばかりで丸々1本映画を撮るという試みが凄いし、シュールレアリズム的表現も随所で冴えている。無茶苦茶面白い。ブニュエル流のユーモアを堪能するのと同時に、いつの時代にも対立し分断してきた人間の歴史の積み重ねも感じずにはいられない。 [review] | [投票] |
★5 | PASSION(2008/日) | グズグズに絡み合った男女のだらしない関係性を描いて、ヒリヒリと切迫した情感を表出させており圧倒的。それぞれが隠していた他者への本音を吐露し、誤魔化していた己の気持ちと向き合う。そういった愚直な描写の積み重ねに心を揺さぶられずにはいられない。 | [投票] |
★4 | 怪談昇り竜(1970/日) | 筋は普通の仁侠映画だが、胡散臭い見世物小屋的なディティールが散りばめてあっていかにも輝男っぽい。とにかくこういうジャンルの作品撮るのに全然乗り気じゃないんだなってのがはっきり伝わる脱線ぶりと人物描写のどうでもよさ。歪さに魅力を感じるマニア向け。 | [投票] |
★4 | ズームアップ 暴行現場(1979/日) | これは結構よく出来ていて感心した。強引なとこもあるが、先が読めないヒネリの効いた脚本。目撃する側とされる側が入れ替わる展開が楽しい。ラストも決まっていて、小原宏裕の職人的な巧さを堪能。 | [投票] |
★3 | 刺青(1984/日) | ロングショット長回しに拘る曽根中生のスタイルは好みなのだが、ストーリーテリングが下手だというのも感じざるを得ない。木之元亮の一本調子な叫ぶ演技も没入を阻害する。冒頭の風俗レポなどは当時を記録した映像資料として興味深くはある。 | [投票] |
★4 | 最後の決闘裁判(2021/米) | 古い時代を現代的視点で見つめ直し、性被害者への抑圧の構図を浮き彫りにしているのが意義深い。独りよがりの男性性を女性側から批判的に描いた第三章が肝であり、その部分を際立たせるための仕掛けとして羅生門形式は充分効果的に機能してると感じる。 | [投票] |
★3 | 悪魔の沼(1977/米) | ドラマを生み出しそうな背景を持った登場人物が次々に何のタメもなくアッサリ殺されていく。なので物語がまったく形成されていかないというヘンテコな作りの作品。モーテルの場面の真っ赤な照明とか、異様な世界観は魅力的なのだがあまりに雑すぎる。 | [投票] |
★4 | インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説(1984/米) | 話も世界観も荒唐無稽としか言いようがないがこのいかがわしさが魅力的。ヒーローはいかなるピンチを迎えても絶対に死なないという予定調和の美学。徹頭徹尾中身ゼロのようだが、奴隷として扱われる子供たちの描写は後の社会的な作品群を予感させる。 | [投票] |
★4 | 嗚呼!!花の応援団(1976/日) | 漫画原作映画ならではのドタバタ描写が上映時間の大半を占めるが、やはり宮下順子や水原ゆう紀が絡む場面にこそ監督の持ち味が発揮されている。特に純情な思いが吐露される最終エピソードの不意打ちのような感動。後の『赤い教室』を予告しているかのようだ。 | [投票] |
★3 | 痴漢通勤バス(1985/日) | ポルノに三億円事件ネタを絡ませるという発想も面白いが、何より主演女優に結構危険(に見える)なアクションシーンをやらせていてびっくりする。この荒唐無稽でアホな作品のためにそこまでやる?という驚き。事件の再現シーンの雰囲気なども悪くない。 | [投票] |
★4 | 江戸の悪太郎(1959/日) | いつもながらの勧善懲悪時代劇だが貧しい人々の連帯が描かれているのが好ましく、行き当たりばったりの舞台を皆でなんとかするところはマキノらしい群像描写が冴え渡る。大友柳太朗の歌いながらの殺陣も見所。 | [投票] |
★4 | 吼えろ鉄拳(1981/日) | 鈴木則文演出は馬鹿なほうに馬鹿なほうに面白さを追求しているので、真田広之がかなり体を張ったアクションを見せてるにも拘らず能力の無駄使い感が凄まじい。個人的にはそういうとこが大好きである。千葉ちゃんは登場シーンからラストに至るまでイカしてる。 | [投票] |
★4 | リチャード・ジュエル(2019/米) | 冤罪の理不尽さもさることながら、主人公が終始ナメられ軽んじられているのが見ていて辛いが母親と弁護士の存在に救われる。やられっぱなしじゃなく一矢報いる展開もあるものの溜飲が下がるというほどのカタルシスはなく、そこがまたリアルで身につまされた。 | [投票] |
★4 | 第三世代(1979/独) | ゴダール並に音の使い方が凝っているが、やはりファスビンダーにはファスビンダーの世界があると感じさせる作品。物語、台詞、人物描写など何から何まで不可解ではあるが、見せきってしまう力があるのは凄いと思う。 | [投票] |
★4 | 愛の亡霊(1978/日=仏) | いたって当たり前な因果応報の物語で、大島渚にしてはあまりにも普通。演技経験のない素人をほぼ起用していないこともあり、挑戦的な姿勢が後退してしまったように感じるのは寂しい。ただそのへんの物足りなさを補う美しい撮影は見所。 | [投票] |
★4 | 桃尻娘 ピンク・ヒップ・ガール(1979/日) | セックスに対する考え方の相違から何かと対立する女子2人を軸にしながら、やたら純情な同性愛者男子のエピソードを絡ませる作劇が味わい深い。明るく開放的に性を描く作品コンセプトと見事にマッチした竹田かほりが魅力的で、ひたすら輝いている。 | [投票] |
★4 | その後の仁義なき戦い(1979/日) | 工藤栄一のムーディーな演出と独特な画面作りで題材とのミスマッチ感はあるが、結果として深作版はおろか他のどんなヤクザ映画にも似ていない奇妙な作品になっており魅力を感じる。根津甚八の底無しのクズっぷりは見所。ラスト近くの鏡の使い方など凝ってる。 | [投票] |
★4 | すばらしき世界(2021/日) | 社会や他人と繋がり承認されることを抜きにして人はなかなか自己肯定には至れないという当たり前の事実を痛感させられる。元ヤクザであるという怖さも表現しつつ繊細な演技を見せる役所広司が絶品で、彼を取り巻く人々のそれぞれに真摯な向き合い方が感動的。 | [投票] |
★2 | Seventh Code セブンス・コード(2013/日) | 女優前田敦子はもっと生活臭が滲み出るような役柄のほうが合ってる気がする。彼女の魅力を引き出せてるかどうか、という観点から見れば山下敦弘の『苦役列車』や『もらとりあむタマ子』に完全に負けている。 [review] | [投票] |