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バウンス koGALS(1997/日) | 登場人物は皆巧みに描かれているが、しかし佐藤仁美が頭抜けている。登場からジョンコには目が釘付けになってしまう。矢張り彼女の垣間見せる侠気がこの映画の肝だ。それは原田眞人らしい侠気でもある。従軍慰安婦問題への言及や官僚批判といった部分でやゝ理に詰んだ感がする。ラストでベタベタになるのも難点。 | [投票] | |
オートバイ少女(1994/日) | これも大した映画じゃないが、しかし紛れも無く「映画」だと思える風貌を持つ。あがた森魚のキャラクターを筆頭に全体に生活感が希薄だが、そこがこの映画の良さでもある。夕景や夕景の中の人物の色使いが美しい。石堂夏央の気丈な表情、キッとした表情もいい。確かにこれは「映画の面構え」だ。ラストシーンもいい。 | [投票] | |
僕は天使ぢゃないよ(1974/日) | これが面白いかというと全然面白くないし、むしろ出来損ないの映画なのだが、それでも一種の親近感を感じてしまう。今見ると恐ろしく豪華な出演者達で時代の記録としての価値も大きいと思うが、そんなこと以上に映画を作る喜びと儚さがビンビン伝わり胸を打つ。みんなで映画を見るシーンが好きだ。また緑魔子の存在も大きい。 | [投票] | |
キシュ島の物語(1999/イラン) | 3話目のマフマルバフが圧倒的だ。もう嫌味なぐらい出来過ぎのプロット構成。古今「映画の演出」とは「ドアの演出」と云っても過言で無いのだが、それを逆手にとってこのドアの扱い。これが独立した長編であれば大傑作だったろう。しかし、1話目も2話目も悪くない。ダンボールの海、海の向こうのタンカーのカット等、忘れ難い。 | [投票] | |
サイレンス(1998/仏=イラン=タジキスタン) | これは本当に美しい映画だ。冒頭からラストに至るまで全く弛緩することなくモフセン・マフマルバフらしい力強いイメージ、その連鎖が続く。 [review] | [投票] | |
ブーベの恋人(1963/仏=伊) | マーラとブーベ。そしてステファノ。夫々にテーマ音楽がある。このカルロ・ルスティケリの音楽に助けられている部分も確かにあると思うし、何よりマーラを演じるCC−クラウディア・カルディナーレが奇跡的に美しく、視線をさらってしまう。 [review] | [投票] | |
パンと恋と夢(1953/伊) | 斜面の映画。特にジーナ・ロロブリジーダの住処を中心とした斜面の捉え方が良い。女好きの警察署長を演じるデ・シーカの演技は本能と理性の現し方が少々アンバランス。はっきり云って、もっとスケベに描いたほうが面白い。とは云えデ・シーカも全体にいいムードだ。ロロブリジーダだけでなくマリサ・メルリーニもとても美しい。 | [投票] | |
赤い谷間の決闘(1965/日) | 渡哲也の位置づけがフラフラする構成に難点ありだが、それでも面白い。特に冒頭の西部劇的描写は絶好調だ。渡哲也がシベトロの駅に降り立ち、ホームに垂水悟郎、深江章喜、野呂圭介らの悪党面が待ち受ける。ここから続く格闘シーンは痛さがよく出ているし、ホームの移動撮影も格好いい。 [review] | [投票] | |
ハイロー・カントリー(1998/米) | フリアーズの演出はこゝでも非常に肌理細やかだ。そして矢っ張り生真面目過ぎる。ビリー・クラダップの扱い以上にウディ・ハレルソンの扱いにそう感じる。もっと常軌を逸していい。ただしカティ・フラドを印象的な役−占い師−に使うところがこの監督の映画愛。もう本当に驚愕。またペネロペ・クルスの後姿、その歩き方が実にいい。 | [投票] | |
死ぬまでにしたい10のこと(2003/カナダ=スペイン) | 総ての映画は「ファンタジー」だ。誰もが恐れ、居住まいを正す「死」というテーマを扱って少々ファッション化し過ぎだとは思うが、映画はD・W・グリフィスの頃から現在に至るまで現実をそのまま映すことなど無い、下世話な見世物以外の何物でも無い、という事実を受入れたいと思う。 [review] | [投票] | |
死ぬにはまだ早い(1969/日) | 非常に面白い。ラストへ集約的に伏線が生きてくる。ある部分は日本映画とは思えない粋さ。まるでヨーロッパ映画のよう。高橋幸治と緑魔子のカップルが画面に登場する度に映画的記憶が刺激されて仕方がなかった。 [review] | [投票] | |
手討(1963/日) | 「番町皿屋敷」の見事な翻案。これはよく出来ている。ローキーを多用したコントラストの高い画面造型はヒリヒリした雰囲気を巧く伝えている。役者も皆適役だが特に前半の城健三朗の迫力は凄まじい。前田家の門前で繰り広げられる彼のパフォーマンスは呆れてしまうぐらい過剰な演出だが、これでこそ城健三朗と思わせる。 [review] | [投票] | |
陽気な幽霊(1945/英) | まずテクニカラーの美しさに感動してしまう。先妻の霊−エルビエラの表現なんかも上手くいっている。少女の霊−ダフネはアーヴィング・バーリンの「オールウェイズ」が大好き、なんていう細部も嬉しくなる。 [review] | [投票] | |
ジンジャーとフレッド(1985/独=仏=伊) | マシーナの笑顔の可愛いこと!マルチェロもまた相変わらず情け無くもあり切なくもある。フェリーニらしい猥雑で少々煩いシーンが続くが、テレビ局に入って二人で着替えをするシーンあたりから実に見事な描写の連続だ。停電がいいね。こういう些細なしかし映画的なアクシデントで切ない感情を高めていくところが矢張り上手い。 | [投票] | |
オール・アバウト・マイ・マザー(1999/仏=スペイン) | 強引で無理やりな奇矯さをでっち上げるプロット構成は気になるが、キャラクタリゼーションが巧みで嫌らしさがない。それに色使いは抜群に美しい映画だ。だが、私にとってこの映画で一番印象的なのは実は何を隠そうペネロペ・クルスの登場シーンなのだ。 [review] | [投票] | |
絶唱(1975/日) | 西河克己らしい手堅い仕事ぶり。だが私は滝沢英輔監督、浅丘ルリ子版の美しい画面の印象が強すぎて少々物足りなく思える。ただし本作のプロローグとエピローグは倒錯した趣がありゾクゾクした。確かに狂気的なレベルまでは至っていないが山口百恵という偶像をもてあそぶ趣向としては悪くない。この部分は浅丘版に比べて勝っている。 | [投票] | |
ゆうれい船 後篇(1957/日) | まあこれはこれで面白いのだが、前篇との連携が余りにいい加減なのには驚いてしまう。山形勲の登場はご愛嬌としても、加賀邦男や星十郎そして原健策の扱いには疑問を感じるし、忘れ難い悪役二人−松永弾正・月形龍之介や進藤英太郎の話が全く放りっぱなしというのはちょっと酷い。 | [投票] | |
ゆうれい船 前篇(1957/日) | まず特筆すべきは松永弾正を演じる月形龍之介の悪役ぶりだ。その登場シーンでいきなり何の躊躇も無く民衆に銃弾を浴びせる。いいねえ。また、極端な若作りを強いられた三島雅夫や原健策の成り切りぶりも楽しませてくれる。 [review] | [投票] | |
忍術水滸伝 稲妻小天狗(1958/日) | 松村昌治の映画は構図がとてもカッチリしている。女優へのディレクションもなかなかのもので本作も長谷川裕見子が綺麗。東千代之介とダンスするシーンがいい。ただし本作は絵巻の蟹のアニメーションが余りに陳腐だったり、ラストの決闘シーンが手抜きとしか思えない安っぽい画作りだったりと全体的には出来は宜しくない。 | [投票] | |
血は渇いてる(1960/日) | やや教条主義的な嫌らしさも感じてしまうが、しかし撮影とカッティングは冴えている。吉田喜重の初期作品は格好いいね。芳村真理と三上真一郎が再会した夜のダンス。そして「血を吐け、唾を吐け....」と歌手が唄うシーンのカッティング等。佐田啓二、織田政雄、岩崎加根子の祭り上げられる側3人が皆情けなくていい。 | [投票] |