★4 | 情無用のジャンゴ(1966/伊=スペイン) | 白い陽光の下にうずくまる背徳の町。怪物的に狂った住人たち。極端なコントラストで描かれるその罪業の数々。「復活」したガンマンがぶち込む黄金の弾丸。救済はない。死以外には。 | [投票] |
★3 | 野良猫ロック ワイルド・ジャンボ(1970/日) | 後に、米国製ニューシネマと日本の湿っぽい風土を融合させた傑作を撮る藤田だが、ここでは見事に空転。何か噛み合わないままの語り口にいつもの愛すべきやる気の無さは窺えるが。 | [投票] |
★3 | 華麗なる対決(1971/仏) | 仏蘭西製西部劇。当然ながら女性上位、豪華な衣装、お色気有り、英語を喋る奴はアホ扱い。凄味はないが、バルドーだけはドスが利いている。『ごめんなさい。自然に弾が出ちゃって。』 | [投票] |
★3 | 楊貴妃(1955/日) | アメリカ的グラマーではなく東洋的豊満。桃のように妖艶。それでいて侵し難い気品。出来が悪いのは、京マチ子の美しさにさすがの溝口も呑まれてしまったから、と解釈してあげたい。 | [投票(2)] |
★4 | 華麗なる激情(1964/伊=米) | 権力者は現実を超えられず、芸術家は金がなければ創作できない。画家とパトロンの関係は愛憎交々。完璧なる世界の創造を夢見る傲慢な二人。まさに「画伯と猊下の異常な愛情」。
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★4 | 続・荒野の用心棒(1966/伊=スペイン) | 泥濘のゴーストタウン・大虐殺・十字架・私刑・娼婦達のホクロ・墓標の飾り細工…等などが渾然一体となって暗く、重く、倒錯した美を醸し出す。ネロの碧い眼は被虐の中でこそ映える。 | [投票(2)] |
★3 | 断絶(1971/米) | シートに背をもたせ、車窓に切り取られた光景にじっと見入る。まるで映画を観るように。世界は後方へすっ飛び、彼らは動かない。轟音と安息。アメリカの自由は鮮烈なまでに淋しい。 | [投票] |
★3 | 宮本武蔵・巖流島の決斗(1965/日) | 底知れない力を秘めて、海は小船の下に静まり返る。暴力に憑かれた男の地獄巡りは終わる。すべては無意味のままに。原作とは微妙に異なる結末に、戦中派の醒めた認識が窺える。 | [投票(1)] |
★4 | 宮本武蔵・一乗寺の決斗(1964/日) | 死者の目で見た白黒の世界は異様に覚醒している。蟹のように二刀を構え泥田を走る姿に、戦時中のニュースフィルムと同質のグロテスクさと悲劇的な美しさが宿る。凄惨な赤も強烈だ。 | [投票(2)] |
★3 | 将軍月光に消ゆ(1957/英) | 英国製戦争映画特有のスポーツ感覚が光る。アマチュアがプロに一杯食わせる痛快さ。勇気と頭脳とフェアプレイとすっとぼけたユーモアと。そして勿論、ドイツ人は常にマヌケなのである。 | [投票] |
★2 | エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?(2005/米) | 沈む豪華客船のような崩壊のスペクタクルを期待したが…。貧相。『甘い生活』や『華麗なるギャツビー』のようなバブルの心象風景をグラマラスに描いたフィクションの足元にも近寄れず。 | [投票] |
★3 | 宮本武蔵・二刀流開眼(1963/日) | アクの強い人物が続々と登場し、これでもかと超絶的剣技を披露する。話の展開も美術もメイクも過剰に猛々しい。男根的、と形容したくなる。武蔵のパラノイア的遍歴はさらに続く…。 | [投票] |
★3 | 十八歳、海へ(1979/日) | 並んで横たわる男と女。枕元に散らかる飲み食いの跡。ゴッコ遊びのチャチな生々しさに、この世の生の儚さ・つまらなさは写し取られている。足は着かない。うねりに身を任せ、漂うのみ。 | [投票] |
★4 | 新・平家物語(1955/日) | 貴族から武士へという劇的な権力交代を、清盛による一種の父殺しとして描く巧みな筋立て。僧兵共の集会に、婚礼の群舞に、「革命前夜」の熱気が漲る。鮮やかなカラーも素晴らしい。 | [投票(1)] |
★4 | 刑事マルティン・ベック(1976/スウェーデン) | 刑事たちの厳しく、温かく、人間的な風貌こそが見所。様々にハゲた頭に、常に痛みを感じているかのような眼差しに、終わりなき戦いを闘う男の苦痛と栄光が滲む。男らしさとはこれ。 | [投票] |
★3 | 宮本武蔵・般若坂の決斗(1962/日) | 暴力とは何か?その内なる衝動はいかに位置付けられるべきか?物語を貫く問いが提示される。死闘の最中の生の高揚。それは甘美でさえある。暴力に憑かれた男に救済はあるのか…。 | [投票] |
★3 | 宮本武蔵(1961/日) | 泥濘の中から始まり、「俺は愚かであった!」で終わる。青春というには凄惨過ぎる彷徨を極太・粘着質の語り口で。滴る汗、引き攣る肢体、噴き出す血飛沫…実はかなり性的な映画。 | [投票(1)] |
★5 | けんかえれじい(1966/日) | 戦前バンカラ浪漫。バカ共を満載して走るオート三輪の勇姿。散る桜はやがて激しい雪へ変わる。叙情的にして時に怪奇、平気で異界へスライドしてしまう描写も青春映画にふさわしい。 | [投票(1)] |
★3 | 八月の濡れた砂(1971/日) | 引き鉄は引かれず、欲望はあらぬ方向へそれる。頓珍漢な逸脱ぶり・非ドラマ的展開・女と男の通じ合えなさ。太陽族映画のようでいてとことん情けない。これは紛れもなく藤田の映画。 | [投票] |
★4 | 戦艦シュペー号の最後(1956/英) | 無駄のない姿、一糸乱れぬ動き。軍艦は美しい生き物。語り口もまた端正さを終始失わない。女も色恋も出てこないのに艶かしい余情を残す。赤い朝焼け。闇の中の炎。これこそ叙事詩。 | [投票(1)] |