★4 | 日曜日には鼠を殺せ(1964/米) | 闘牛よりもフットボールよりも革命よりも男らしい戦いは、「内なる神」と改心を巡って戦われる。一人着けにゆく決着。残雪。山の空気の爽やかさ。ジンネマンの映画はいつも若々しい。 | [投票] |
★4 | 赤線地帯(1956/日) | 『へんないきもの』と改題してもいいかも。辛辣だが、溝口としては珍しく「笑える」映画ではなかろうか。ラストは、この悲惨な世界への恐れと愛を表白する真に素晴らしいシーンだ。 | [投票] |
★4 | 雪の女王(1957/露) | 暗い海・吹雪・辺境の老婆・動物たちとヒロイン…。彼(それ)らの美しさ、寂しさ、その威厳!個としてこの世界に在ることの厳しさ・素晴らしさをこそ製作者は語りたかったのだろう。 | [投票] |
★3 | 皆殺しのバラード(1966/仏=独=伊) | 大人の娯楽映画としてイキ過ぎず保守的過ぎもせずのファッションや音楽を見せてくれるのはいいが、余裕をかましすぎて退屈になってしまった。60年代の東京を見られるのは楽しい。 | [投票] |
★4 | チェンジリング(2008/米) | 物語をドライヴさせる馬力には眼を瞠る。イーストウッドの戦いはより容赦無く、より内面的な場所で戦われるようになっている。母親の真っ赤な唇は受難者の流し続ける血の印だろう。 [review] | [投票(5)] |
★3 | 独立愚連隊西へ(1960/日) | ちまちました事物が出てこないので精神衛生上とても良い。「それがどうした、やってやるぞ」的な明るい好戦性。個人主義と行動への信頼。いずれも日本映画では希少価値。痛快。 | [投票(1)] |
★3 | 英国王給仕人に乾杯!(2006/チェコ=スロバキア) | 主人公の追憶のかなりの部分(特に女関係)は虚言だと思うが、給仕人(語り手)としてはむしろ誠実な態度だろう。テーブルの傍から見た現代史。艶めかしく美味。でも毒は足りない。 | [投票] |
★3 | 地獄門(1953/日) | 途方もなく倒錯した姦通ドラマ。貞淑に見える妻は実は男を欲しかったのである。でなければこの異常な発光の色彩は説明がつかないではないか。―と、思えばまあ面白くなくもない。 | [投票] |
★4 | 建築家の腹(1987/英=伊) | 建(勃)てられない建築家の悲喜劇。これはマチスモを揶揄う映画なのだ。ローマの偉大さ(暴虐)には決して敵わない現代の私達にとって、芸術とはまず「笑い」でなければならない。 | [投票] |
★5 | ダーティハリー(1971/米) | 資本主義の極相林・コンクリの密林たるLAに展開されるマン・ハント。夜のスタジアムでいたぶる時の生唾を呑む雰囲気。人間の本性はやはり悪なのだろう。しかしそこに高貴さもある。 | [投票(3)] |
★4 | 彼女について私が知っている二、三の事柄(1966/仏) | 退屈が映画の主題になり得るとゴダールは発見した。快適でぴかぴかの郊外という名の開拓地。そこで物を言うのは銃や馬ではない。捨て鉢と、それを逆手にとった明朗さなのだ。 | [投票] |
★4 | ミツバチのささやき(1972/スペイン) | 昆虫学者の細密と正確さをもってエリセは家族をスケッチする。心の朽ちた大人達、そして毒キノコや怪物や精霊と平気で同居している子供達。見掛けよりもずっと剛毅な映画と思う。 | [投票(4)] |
★4 | 青春群像(1953/伊) | 「一人醒めている者」だったフェリーニは「祭り」の一員であることに、「子供の時間」に憧れ続けた人だと思う。だから彼は発たねばならなかった。これはそんな彼による偽青春映画。 | [投票(1)] |
★4 | かくも長き不在(1960/仏) | 生活力溢れる立派な腰の中年女。今の恋人と安穏に残りの人生を送ることもできるのに何故かトチ狂う。むしろ彼女は平和を呪詛したいのではないのか?これは本当に反戦映画か? | [投票] |
★4 | 宗方姉妹(1950/日) | 日本の古いもの、新しいもの、そしていつの時代にも変わらない何かについての考察。また、小津らしく若い娘の男選びの話であり、古今の様々な建築を観て回る映画でもある。 [review] | [投票] |
★3 | ベッカムに恋して(2002/英=独) | ユニフォーム姿も凛々しい実は正統派フットボーラー映画。エスニック風味も楽しい。ビッチにしか見えない(インド的にはOKらしい)お姉さんの方がストライカーの素質がありそうだが。 | [投票(1)] |
★3 | 刺青(1966/日) | モダニスト増村による未来派時代劇。そこで礼讃されるのは、陰翳ではなくスピードとエゴイズム。日本映画の湿った風土を足蹴にする突飛な展開とヒロインの剛毅な啖呵に痺れた。 | [投票] |
★2 | ヘヴィメタル(1981/カナダ) | エイリアンだ変身だデカパイ女だのB級のガラクタは決して嫌いではないが、モテない男特有のオーラが全編に漂っていて赤面する。音楽の大半はへヴィ・メタルとは何の関係も無いし。 | [投票] |
★3 | 日本暴力列島 京阪神殺しの軍団(1975/日) | ダブルのスーツの助さん格さんが諸国を漫遊し、地元ヤクザに因縁を付けては大組織の代紋に物を言わせる話―と思えば面白い。『悪者はつらいよ 助さん格さん純情旅』と改題すべき。 | [投票] |
★4 | メイド・イン・U.S.A.(1966/仏) | ハードボイルドの反逆と個人主義は、ゴダールの流儀では洒落とフィクションの解体へと変換される。米国製ヒーロー転落後の世界では、タフであるには道化でなければならないのだ。 | [投票(1)] |