コメンテータ
ランキング
HELP

さんのコメント: 更新順

★3雲がちぎれる時(1961/日)王道を行くも何故か結晶化せず。渦中の二人が、哀れというよりは愚かとしか見えないようでは…。メロドラマの描写には冷徹さが必須だが、その点、成瀬小津はやはり卓越していた。[投票]
★4女王陛下の戦士(1977/オランダ=ベルギー)アマチュア戦士達のドタバタ・レジスタンス戦記。太い鉛筆でガシガシと殴り書きしたような語り口(ヘタともいう)。威風堂々として、かつ間抜け、そして一抹の悲哀も漂う現代版騎士道物語。[投票]
★5東京暮色(1957/日)闇に沈む東京の凄惨な美しさ。夜更けの喫茶店の深海のような雰囲気。一本でいいから、小津にチャンドラーやハメットの原作で犯罪映画を撮って欲しかった。傑作になっていたはずだ。[投票(5)]
★3若草の萌えるころ(1968/仏)火のついたような気分で夜の街を彷徨する、そんな時期が若い頃にはあるもの。偶然の出会いが人生を左右してしまう不思議さを知るのも、そんな時だ。語り口は叙情的でシュール。[投票]
★5華麗なるギャツビー(1974/米)緑の芝生、白い邸宅、黄色いスポーツカー、色とりどりのシャツ、暗い海峡に点滅する光。「バブル」の風景を描いた映画としては、フェリーニの『甘い生活』と並ぶ出来。音楽も良い― [review][投票(1)]
★5東京オリンピック(1965/日)新幹線のデザインなどにも通じるモダンで端正な映像。祝祭らしい華やかさが、次第に、「坂の上」へ到達してしまった悲哀へと変わってゆく美しさ。戦後の日本で最も格好いい映画はこれ。[投票(1)]
★3めし(1951/日)成瀬らしい憂鬱なホームドラマ。色でいえばグレーなのだが、不思議にカラフルな印象。様々なグレーの微妙な描き分けと、それらの巧みな組み合わせによる階調こそ、成瀬の魅力。[投票(2)]
★4痴人の愛(1967/日)チジンのチは「痴情」のチ、「痴話喧嘩」のチ、そして、「幼稚」のチ。誰よりも自分が可哀そうな二人によるままごとのような愛。増村演出としては珍しく、切迫した雰囲気はなくコミカル。[投票(1)]
★3北京の55日(1963/米)野蛮の海に浮かぶ文明の孤島。守るは後の全米ライフル協会会長。痛快なほどに傲慢。「アメリカ人」というドラマにとって、「原住民と対峙する砦」のイメージは欠かせないものらしい。[投票]
★4ブラックホーク・ダウン(2001/米)アメリカの側から見た「世界」の像とはまさにこういうものなのだろう。群集の真っ只中に孤立する兵士達。『北京の55日』の時代にはあった余裕は失われ、恐怖と怒りだけが燻っている。[投票]
★4地獄の黙示録(1979/米)鳴り響くワルキューレとともに解き放たれる攻撃本能。見境のない凄惨な暴力。超現実的なまでに壮大な浪費。正気を失ってゆく兵隊たち…。彼らを狂わせたものは何だったのか?― [review][投票(9)]
★4用心棒(1961/日)戦後の日本映画には数少ない格好よさ。荒々しい山並み、からっ風、舞い上がる関東ローム層の砂塵…これは関西では作れない。ここにカラフルなヒロインがいれば完璧だったのだが。[投票(2)]
★2バニシング・ポイント(1971/米)ナルシシズムの垂れ流しに辟易した。たんなる頭の悪さを英雄的行為と勘違いできた時代が羨まし…くない。この頃のアメリカ車の優雅で浪漫的なデザインには心惹かれるものはあるが。[投票]
★4秋刀魚の味(1962/日)娘が「嫁にやる」ものだった時代、人々は巡り来る季節を生きるように人生を送っていた。落ち着いた語り口、波瀾のないドラマ…しかし、その底には何か無残なものが横たわっている。[投票(1)]
★4初恋・地獄篇(1968/日)荒々しい世相を鮮やかに写した街頭風景。土俗とモダンの混交したアングラ的演出。しかし、本質的には、愚直な心情の美しさを描いたシンプルな映画。荒木経惟の写真を連想した。[投票]
★4「女の小箱」より 夫が見た(1964/日)色と欲をめぐってカラフルな男女が闘争するピカレスク映画。と同時に、あるべきモラルを追求する観念ドラマでもある。日本におけるルネサンスこそ、戦後派・増村の主題だった。[投票(5)]
★3悪い奴ほどよく眠る(1960/日)現代が舞台なのにまるで時代劇。増村保造のような、高度成長期の世相を善悪を超えた視点から描いた同時代の監督と比べれば、黒澤の勧善懲悪ドラマは上滑りと言うしかない。[投票(3)]
★3乱れ雲(1967/日)夕闇に沈む湖面。雨の中で震えるヒロイン。美しい映画だが、メロドラマという様式がもはや時代遅れであることも明白に。一つの様式とともに一人の偉大な監督のキャリアにも幕が…。[投票]
★4豚と軍艦(1961/日)基地からこぼれるドルに群がる有象無象。長く伸びたアメリカの巨大な影の中で、「豚」以外の生き方とはあり得るのだろうか?公開から半世紀、今もこの映画は色褪せていない― [review][投票]
★4野獣の青春(1963/日)庭に椿、応接間のある日本家屋、という昭和的空間にレイモンド・チャンドラー風物語をねじ込む力技。いちいち辻褄を合わせず、アバンギャルドな飛躍で片付ける洒落っ気が堪らない。[投票(4)]