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★4彼岸花(1958/日)幸せとは周りが手を出して作るもの。本当は割り切れなくとも…。割り切るために儀式があり、酒があり、友達がいる。小津の描く娘の嫁入りはいつも華やかで無惨、お目出度くて悲しい。[投票]
★3ダーティ・メリー クレイジー・ラリー(1974/米)投げやりな語り口に滲む深い憂鬱。ひたすらの逃走も堂々巡りにしか行き着かない。感傷的。しかし、あの凝縮された一瞬の、艶めかしく、悲哀に満ちた美しさには逆らい難い魅力がある。[投票(1)]
★3デス・プルーフ in グラインドハウス(2007/米)いつものB級耽溺趣味。珍しい蝶を収集している暇人のようだ。お気に入りのガラクタで一杯の子供部屋から出る気はタランティーノにはないらしい。ここに怠惰はあってもロマンはない。[投票(1)]
★4娘・妻・母(1960/日)成瀬の非情の描写が冴える。日常のあれこれを淡々と写しながら、身の置き所の無い人々の生き辛さを浮かび上がらせる。台詞の端々にチラつく残酷さに唖然、そして痺れた。 [review][投票(5)]
★5サスペリア(1977/伊)無意味なカットを秘密の法則に従って組み合わせ、何一つはっきりとは語らず、それでいて何かが隠されていることをほのめかす。中身よりもバロック的に歪んだ語り口にすべてがある。[投票(1)]
★4ピンクサロン 好色五人女(1978/日)そう、行き着く先は決まっている。どれほどはしゃいでも、踊り狂っても、一期は夢。元いた場所へ帰るだけ。ありきたりな歌謡曲も、こういう風に聴かされると恐ろしくアナーキーに聴こえる。[投票]
★4隠し砦の三悪人(1958/日)なんとモダンなのか!難関をくぐり抜ける機知と大胆。スピードと力強さ。奇想溢れる造形美。『インディ・ジョーンズ』よりも『スター・ウォーズ』よりも、遊びに徹した黒澤はこんなにも面白い。[投票(1)]
★3誰も知らない(2004/日)彼らには不安も恐れもない。ただ漠然と広がる薄暗闇に佇むだけ。世界はその向こう側にある。侵食してくる闇とそれを押し返す光のせめぎ合い。誰もがかつてはそこにいた。そして今も。[投票]
★3帰らざる日々(1978/日)地方都市・最後の夏・父の不在・年上の女…。しかし、藤田ファンとしては不満も残る。いつものように、なし崩しの逸脱へ、男と女の倦怠へ、うたかたの日常へと雪崩れ込んでほしかったが。[投票(1)]
★4老兵は死なず(1943/英)戦争がスポーツだった時代があった。美々しい制服、勿体ぶった儀礼、そして大事なことはいかに敗れるか。壁に飾られる猛獣の首のように、高貴に、美しく…。これが戦時中の映画とは![投票]
★3山椒大夫(1954/日)絵巻物のように美しく残酷に奇跡の物語が語られる。非情の世界。見えない糸に操られる人々。か弱い者の内にある反逆の魂。その純粋さを溝口は賛美する。語り口はやや荘重すぎるが。[投票]
★2デス・アンド・コンパス(1996/英)最後まで観れば、と思いつつ観てもっとわからなくなった。反復される迷宮のイメージ。辿り着く虚の世界を思わせる場所。そこで置いてきぼりを食うのが自分とは…。原作を読むしかない?[投票]
★3キル・ビル(2003/米=日)頭の悪い中学生の描いたマンガのよう。これ見よがしの白痴的展開はイモなハリウッド大作への揶揄。B級ディレッタント趣味。耽美派ならぬ耽B派。幼稚だなあと思いつつ、結構楽しんだ。[投票(3)]
★3煙突の見える場所(1953/日)戦後は決して明るくなどなかった。貧しく、冬は寒く、戦争の傷痕は生々しかった。そんな時代、煙突は人の温もりと営みを示す目印だった。生真面目な語り口。しかし意外にセクシャル。[投票]
★4最後のブルース・リー ドラゴンへの道(1972/香港)完璧にコントロールされた、まるで舞うような技。マラドーナやモハメド・アリもそうだった。激しく動いていても静的なものを感じさせる。魔術的。シャイな笑顔と香港くさいコミカル演技もいい。[投票(1)]
★4モハメド・アリ ザ・グレーテスト 1964-74(1974/仏)アリの自意識と黒人たちの意識革命とが激しく共鳴する。個人の精神と歴史の大きな流れが一致した時に見られる、奇跡のような力。そのアナーキズム。ラフなカット割りが利いている。[投票]
★5赤い靴(1948/英)Victoriaは勝利の名前。しかし芸術はそれ以上を要求する。愛も幸福も踏み躙り、めくるめく忘我へ、深淵へと赤い靴は誘う。濡れ場は全く無い。なのに激しく官能的。クスリをやったよう。[投票(1)]
★4好色一代男(1961/日)江戸のドン・キホーテは目指す。女の歓びを、平和を、この世ならぬ至福のパライソを。夢想家の果てしなき聖戦。世界が狂っているのなら、物狂いこそが人間的だ。雷蔵・鴈治郎は完璧。[投票(1)]
★4エロスは甘き香り(1973/日)「何も表現するものがない」という若い芸術家の悩み。虚勢→ヤケクソ→自信喪失→女と寝る→最初に戻る。生きることを巡るぐじゃぐじゃ。それが生の全て。藤田は描く、「何もない」ことを。[投票(2)]
★4早春(1956/日)陽光に輝く白いシャツ。遊びに夢中の人々はそのために生まれてきたかのよう。そこに差し込まれる不穏なイメージ。真っ赤な口紅、結核、睨み付ける目。青春の光と影。夏はまだ先である。[投票]