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★4フード(1992/英=チェコスロバキア)朝:社会主義。皆で飢える。昼:革命。強者が弱者を食う。夕:資本主義。人が人を食う。「食らう」行為に潜む狂気と妄執。いかなる体制もこの頑迷を追いやることはついにできない…。[投票(1)]
★4石のゲーム(1965/オーストリア)カチンとぶつかる硬い音。結晶・配列・周期・幾何・音楽…見えない法則に従って運行されている時計仕掛けのこの宇宙。石は美しい。古いし、清潔だし、意味など無くても黙っている。[投票]
★5徳川セックス禁止令 色情大名(1972/日)馬鹿の花の満開の下にはアナーキズムという名の屍が埋まっている。性の中に死があり、死の中に生がある。権力と信仰・日本と西洋・男と女…絡み合い、入れ違う。けしからぬ映画![投票(1)]
★4秀子の車掌さん(1941/日)煙草の置き場所ひとつにも明らかな成瀬の洒落たセンス。白いシャツ、ベルトに挿んだハンカチ、下駄履きでゆく畦道。戦前のある種の映画のモダンさ・明るさにはいつも驚かされる。[投票(1)]
★4ペルセポリス(2007/仏=米)Iron Maidenからジャスミンの花びらへ。香気溢れるビルデュングスロマン。一見幼稚な描線は、受け継ぐべきものの単純さへの深い信頼の表れ。パンクは死なず、そして古き良きものも。[投票]
★3突撃隊(1962/米)タフで強情で孤独で狷介。上にタテ突き、理解されずされたいとも思わず、武器を取って一人荒野の戦いへ。さすがシーゲルの英雄。しかしマックウィーンは苦虫を噛み潰しすぎでは…。[投票(1)]
★3闇・光・闇(1989/チェコスロバキア)我々は何処から来たのか?蛾のように夜空を飛んで来たり、扉をノックしてペタペタ入って来たりしたのである。では何処へ往くのか?それは闇である。シュヴァ教授の歴史学講座。[投票(1)]
★4男のゲーム(1988/チェコスロバキア)暴力的で熱狂的で野蛮人のように優雅で宗教のように人々を惹きつけ健康に悪く女には相手にされず脳ミソが無いのかというほど愚かで他に無いほど美しいゲーム―それがサッカー。[投票(1)]
★4陥し穴と振り子(1983/チェコスロバキア)時計仕掛けの地獄。歯車・錘り・滑車・梃子…カラクリに宿る非情の意思。チャチな造りが余計に恐ろしい。これほどの悪意あるものを人間が作ったとは思えないが、では一体誰が…。[投票(1)]
★4地下室の怪(1983/チェコスロバキア)誰の心の中にもある地下室。そこでは黒猫が鳴き、ジャガイモが駆け回る。恐怖は最良の芸術家。暗闇は白い画布。それは太古の昔からあった。そして、誰もが最後はそこに戻るのだ。[投票]
★3対話の可能性(1982/チェコスロバキア)丸呑みし砕き潰しゲロを吐き罵り溶け合い食い違いぐじゃぐじゃになりくちゃくちゃになる。粘土やら何やらをこねくり回すシュヴァンクマイエル。芸術家と素材の幸福な「対話」がそこに。[投票(1)]
★3部屋(1968/チェコスロバキア)遊びとヒネリを利かせ最後まで素っとぼける。とぼけて、とぼけて、とぼけ倒し、その末にほんのり笑えてくる。マジメにやって何か良い事あるのか?と言わんばかり。飄々として悲惨。[投票]
★3自然の歴史(組曲)(1967/チェコスロバキア)「生命」とは眼に見える音楽。奇怪な形態と様々な色彩とが織りなす巨大な楽曲群。無限にある音色とメロディ。そして、白く清潔な骨(=死)は無音。勿論、静寂も音楽の一種である。[投票]
★4婦系図(総集編)(1942/日)メロドラマは後ろ向きであるほど純度が高い。愚かしくも美しく、線香花火のように燃え尽きる青春。女の中に棲む荒ぶる魂。献身は闘争。純情は両刃の剣。敗れたものには死あるのみ。[投票(1)]
★3ドラゴン危機一発(1971/香港)『田舎のカンフー大将怒髪天』または『カンフー番長・地獄の双手突き』に改題すべき。恐ろしく垢抜けない上に出来もヘロヘロ。まあ、ブルース・リーが観られればそれでいいのだが。[投票(1)]
★4陽のあたる場所(1951/米)クリフトとテーラーは兄妹のように似ている。彫像のような虚しい美しさ。どこかに潜む「悪」の影。厖大な富だけが生み出し得る完璧な容姿。アメリカン・ビューティーには惨劇が似合う。[投票]
★5ひなぎく(1966/チェコスロバキア)とことんフザケ倒す語り口こそが反逆の表れ。最高の復讐とは優雅に生きること。ワヤクチャのカット割りは明るい悲惨に満ち、ひらめくイメージには捨て身の美しさが…。しかし出口は無い。[投票(3)]
★4三十三間堂通し矢物語(1945/日)敗戦の年、映画は繊細優美な江戸へ回帰する。若者の口から漏れる『恐い』の一言。父から子へ、継がれるべきは勝ち負けより大切な何か。手弱女振りの中に成瀬の芯の強さは光る。[投票(1)]
★4タロットカード殺人事件(2006/英=米)美しくも卑劣。そんな英国上流階級の枯れ具合が彼には心地良いのだろう。好きな女に赤い水着を着せて探偵ゴッコ。この糞つまらない世間を他所に、アレン爺は乙な余生を送っている。[投票(3)]
★5ハワイ・マレー沖海戦(1942/日)日本映画における叙事詩の最高峰。存在を賭した戦いの渦中にいた人々の血のどよめきが伝わってくる。愚かさも含めて、虚飾のない姿に震撼した。白がこんなに美しい映画は他にない。[投票(1)]