淑さんのコメント: 更新順
左側に気をつけろ(1936/仏) | 横縞のシャツにズボン吊り、短いチョッキを着込み、頭には帽子。陽のあたる田舎で適当にサボりつつお百姓をやる。たまにはボクシングも来るし。何か楽しそうだ。退屈でも許せる。 | [投票] | |
東京の女(1933/日) | 岡田嘉子!貞淑そうに見えてどことなく淫靡。善悪定かならぬ大人の魅力を感じさせる女優だ。誰が何をしているかわからない都会の迷宮は、彼女の暗い瞳の奥に口を開けている。 | [投票(1)] | |
デビッド・クローネンバーグのファイヤーボール(1978/カナダ) | ニトロ燃料を食らってただ真っ直ぐ走るだけ。スピード偏執狂という内燃機関文明が生んだ異常心理。進化の袋小路の勇ましくも滑稽な姿。グロテスク描写はなく意外に普通の話。 | [投票] | |
英国式庭園殺人事件(1982/英) | 余りにも醜悪なものは、余りに罪深いものは、そっと暗示されなければならない。図像学とはそのためのもの。熟しすぎた果実のような悪臭一歩手前の香気。何ていやらしい映画…。 | [投票] | |
ぼくの伯父さん(1958/仏=伊) | 雰囲気が小津に似ているので吃驚!モダンと古臭さの共存。原色を使っても渋い色彩感覚。仕事嫌いの遊び好き。子供や犬への愛。しかし軽い憂鬱と韜晦はタチならではの味だ。 | [投票(1)] | |
クローネンバーグの デッドゾーン(1983/米) | 「我は如何にしてテロリストとなりしか」または「パラノイア的人生・その不安と恍惚」。人は正しく世界を認識しているという確信の揺らぐ時。その時、「自分」こそはホラーとなる。 | [投票] | |
イラク −狼の谷−(2006/トルコ) | フル装備の分隊を拳銃で壊滅してしまうトルコ人の強さ。米軍の悪逆非道。クルド人の陰険さ。イスラムの教えの正しさ。…等などイラクの真実が白日の下に。大変勉強になりました。 | [投票] | |
ぐるりのこと。(2008/日) | いい映画とは思う。思うが、糞真面目にうんざりしてしまったのも確か。いつか、『渚のシンドバット』の、あの青い入り江のような場所へみんな帰ることが出来たら…と願っているが。 | [投票] | |
イースタン・プロミス(2007/英=カナダ=米) | クローネンバーグはいつも「内なる異形のもの」を描くが、今回のそれは「ロシア」。暗さ、厳しさ、忍従、それらが故の深い憂愁。黒革の長外套とは、このような男のためにこそある。 | [投票(6)] | |
ノーカントリー(2007/米) | グロテスクだが不思議に芸術作品のようでもある殺しの数々。不意に異常な事態を割り込ませる分裂症的語り口。「悪い冗談」―コーエン兄弟にとって世界とはそういうものらしい。 | [投票(2)] | |
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(2007/米) | 焼け落ちる矢倉に、熱狂する牧師の眼の光に、「父なるもの」への強烈な呪詛(とその裏返しの同一化)はありありと顕現する。資本主義なる神の恩寵は世に遍く、全ては黒に染まる…。 | [投票(2)] | |
戸田家の兄妹(1941/日) | 記念写真・冠婚葬祭・家族会議…。なんと人生はしゃちこ張るばかりの実の無い行事に埋まっていることか。しかし、結末は驚くばかりに爽やかだ。戦前は明るく品の良い時代だった。 | [投票] | |
明日に処刑を…(1972/米) | 鬱蒼として泥臭い南部の風物がとてもいい。油汚れした鉄クギ、暴力、ブルース・ハープ、森の水溜りに映る青空…。手荒い語り口だが、ヒロインの純情は明らかにメロドラマのそれ。 | [投票(2)] | |
俺たちフィギュアスケーター(2007/米) | フィギュアの真髄をエロと大仰にありと喝破した製作者はえらい。アホ面の貴公子にセックス狂に邪悪な双子…タワケた面々はさすが超バカ大国アメリカ。下らないけどこういうの好き。 | [投票(2)] | |
プラハからのものがたり(1990/英) | 素っとぼけて煙に巻くのかと思いきや、とても率直に語っている。「真っ当さ」の根っこがあればこそ「異常」の花を咲き誇らせることもできる。一番無茶をするのは「普通の人」なのだ。 | [投票] | |
スターリン主義の死(1990/英) | スターリン主義とシュヴァンクマイエルの芸術は「在り得ないナンセンス」という一点で共通する。人の頭の中で発芽する「愚かさ」という名の種子。ある意味自伝的作品と言えるかも。 | [投票] | |
アナザー・カインド・オブ・ラブ(1988/英=独) | 背筋の凍る黒さも、めくるめく崩壊も、洒落た悪戯もなし。シュヴァンクマイエルとしては題名通り「別種の愛」に走ってくちゃくちゃにしてやりたかったところだろうが…。自制した? | [投票] | |
フローラ(1989/米) | は… | [投票] | |
肉片の恋(1989/英=独=米) | ほんの1分そこそこの短編なのに大抵の恋愛映画よりずっと洒落て淫靡でキュート。身を焦がす恋の成れの果てはウィーン風カツレツ。注文したのは勿論カップルの客なんだろう。 | [投票] | |
ワイズマンとのピクニック(1968/オーストリア) | 終末のピクニックには笑い声も息遣いも無い。普段は主人の下僕になっている「もの」達が静かに遊びに興じるだけ。黄昏の郊外。そこはかとなく漂う惨劇の予感。さようなら、人間。 | [投票] |