[POV: a Point of View]
アジアの片隅で…狂い酒飲み干せば…このままずっと生きていくのかと思うのだが…
A:香港 B:中国 C:台湾 D:韓国
B | スケッチ・オブ・Peking(1995/中国) | ゴミゴミした街の裏側と暑苦しい署内を行き来する日常にシネマ・ヴェリテ的手法が活かされた佳作。仕事に追われて過ぎ去る毎日の徒労は警官とて同じ。そして終盤のたたみかけるような展開はドラマトゥルギーの発露も充分。その転調は計算に裏打ちされている。 | 投票 | |
B | 香魂女 湖に生きる(1993/中国) | 因習によって連綿と続く不幸の連鎖は決して杓子定規な規定をされてもいない。しかし、詠嘆調で湖を見つめるだけでは何も解決されないのも事実だ。その先を描かないとと思う。演出も主演ガオワーの演技も骨太で腰が据わっているだけに惜しい映画だった。 | 投票 | |
B | 菊豆〈チュイトウ〉(1990/日=中国) | 次々と主従が逆転していく変遷は長編仕立てで撮るような題材なのに切りすぎて形骸化している。しかもフィルムの解像度が妙に良すぎるので形式主義的セット美術への拘りのみが突出してしまって浅薄な印象しか与え得ない。 | 投票(3) | |
B | 乳泉村の子(1991/中国=香港) | 平凡な演出で特記事項も無いが少年時代の回想記というのは大概面白くなるので、これもそういう意味では退屈しない。現在を見せた上での過去の辛酸であり辛酸を嘗めても無事に成長できたという安心感があるからだろう。他の例にもれず子役が良く他は喰われる。 | 投票 | |
B | 麻花売りの女(1994/中国=香港) | 自我のある女を描いてそれなりには見せるものの、抑圧からの解放さるべく訴求されるのが大型テレビというのが如何にも陳腐であり、その為の拝金ストーリーも類型的だ。プライドを捻った『秋菊』以降の物語としては逆行の感は否めないが肯定的で気持ちいい。 | 投票 | |
B | グリーン・デスティニー(2000/米=中国) | 撓う竹の細枝を飛ぶが如くに舞う中国古来の仙人伝説と同列にワイヤーアクションを並べれば理詰めでは納得できたとしてもミシェールとツィイーの殺陣を見てしまえば矢張り重力を感じたいと思う。悠久の夢幻に飛翔するかのようなラストが素晴らしい。 | 投票(1) | |
B | 血祭りの朝(1990/中国) | 良くも悪くも優等生的であり、小綺麗にまとまっているものの、話法が妙にこなれ過ぎてて却って面白みがない。本来もっと激しく骨太で土俗的にプリミティブであって欲しかったと思わせる題材であるし、阿るだけで批評性が無いので根源的な何かを掴み損ねてる。 | 投票 | |
B | 子供たちの王様(1987/中国) | ど素人先生奮闘記というほどの腑に落ちる何かがある訳でもなく主人公の内実にもそれほど踏み込まない。その割にテーマは教育の在り方という一元的なものに見え単調。ときたま象徴性を帯びた表現も見られるが、それ程には映像的な昇華が達成された訳でもない。 | 投票 | |
B | 活きる(1994/香港=中国) | 今までも散々作られてきた「激動の歴史に翻弄される家族の大河ロマン」の枠組みを1歩も出ない。次々と語り口のスタイルを変えていく映像形式主義者チャン・イーモウらしからぬ平板な描写。とは言っても正直、子供絡みのエピソードには何度か泣かされる。 | 投票 | |
B | 鬼が来た!(2000/中国) | 戦時下の混乱のなかで右か左かを明確にできる訳ないのかもしれないが、こうも未整理に成り行き任せの丸投げを見せられても理に落ちるところがない。初期設定の帳尻を合わせ切られず混沌に逃げたようにも感じる。ラストもポランスキーが既にやっている。 | 投票 | |
B | 太陽の少年(1994/中国=香港) | 良く出来た年代記もので且つ少年時代の話というのは王道的売れ線要素だが、一方で余りに多くの作品があるので余程オリジナリティが無いと埋没する。年寄りと子供しかいない空虚な街という設定を活かしきれていない。そこがストロングポイントになり得たのに。 | 投票 | |
B | HERO(2002/中国=香港) | 講談調語りに『切腹』、兵士と馬に『影武者』の影響を色濃く滲ませた極彩色武侠映画。殺陣は本職同士より出来ない役者のそれに誤魔化しの美を見る。チャンとレオンを削ってでも我欲を捨て死地に赴くリーの悲愴と達観にこそ焦点を絞るべきだった。 | 投票(11) | |
B | 国姓爺合戦(2001/日=中国) | 圧倒的な物量で浸食して来る清国に対する衰退の明国の最後の叛逆という局所的攻防が、いつのまにか台湾をめぐるアジア対西洋の図式にすり替わる。物語の軸がブレては盛り上がった心のやり場に困る。ジャニーズ顔の主人公も軽くカンフーアクションも余分だ。 | 投票 | |
B | レッドチェリー(1995/中国) | ナチスの非道と退廃を描いた映画は山ほどあるわけだが、刺激的なエッセンスをおっかなびっくり抽出してトレースしただけのもの。実話であるなら半端な扇情的描写は失礼というものだ。抑制はあるが自立的なものとも思えない。どっちに振れるか覚悟が足りない。 | 投票 | |
C | クーリンチェ少年殺人事件(1991/台湾) | 事件に至る経緯の解明にせよ反動と保守が入替わる自国史にせよ不良少年グループの抗争にせよ題材としては目新しくもないが、個々の枝葉のリアリズムが絡み合い森林を形成するように嘗てあった時代を包括的に現出させる。凝縮されたミニマム世界の圧倒的熱量。 | 投票 | |
C | Hole(1998/台湾=仏) | 世紀末・疫病・雨と1歩間違えればあざとさキワキワのキーワードのオンパレードだがダサ直球を混じえて巧くすり抜けた。シュールな意匠は純なハートと表裏を成し、人は孤独地獄から救済されねばならないという確信が胸を打つ。 | 投票(1) | |
C | 恋恋風塵(1987/台湾) | 劇的な何事もないのに充ち満ちる郷愁。計算も多少はあるのだろうが清冽な映像は見たことのない域に達している。野外上映のスクリーンに代表されるストーリーと直に連携しない風景のフレームの切り方が巧く、そういうカットが計算外に意味を醸し出すのは見物。 | 投票 | |
C | ラブゴーゴー(1997/台湾) | 暑苦しい連中のコテコテ話かと思いきや予想を裏切るスマートさとポップ感。人物が錯綜する多重構造は流行追随かと思わせるがその本質は驚くほどに純なのだ。尚かつ全篇寸止め的な刹那感に支配されている。そして、泣き笑いが残す強烈な余韻が後々まで残る。 | 投票 | |
C | 恋人たちの食卓(1994/台湾) | 謙虚な長女とおキャンな三女に比して割喰う次女をバブリッシュなキャリアOLに設定し父親の対立項として設定したのが巧みで、氷解の楔が「料理」であることも良い。アン・リーのこの頃の演出は不器用だが真摯で骨太。出てくる料理の数々も悉く美味そう。 | 投票(1) | |
C | 悲情城市(1989/台湾) | 評価が決定的になった侯孝賢が己れの手法に絡め取られたような窮屈さを感じる。同じ構図で再三出てくる坂道のクドさや、いかにもオリエンタル情緒な立川直樹の過剰音楽のうざさ。『恋恋風塵』と相似とは言え4男絡みの挿話の詩情は素晴らしいのだが。 | 投票 |
資本提供国を必ずしも国籍とはしていません。
この映画が好きな人達このPOVを気に入った人達 (16 人) | いくけん kiona tat ree ぽんしゅう makoto7774 べーたん KADAGIO mimiうさぎ SUM マッツァ エピキュリアン worianne スパルタのキツネ 町田 ボイス母 |