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[POV: a Point of View]
バイブル2
南部僑一郎・佐藤忠男共著「日本映画一〇〇選」秋田書店・昭和48年刊

小6で買ったこの本は今でもチョクチョク読み返す。100本の映画を死ぬまでに全部映画館で見たいものだ。A〜Gは各1910年代〜1970年代を分別。極私的POV。
C★0伊豆の踊子(1933/日)
C★0綴方教室(1938/日)
D★3無法松の一生(1943/日)当処ない人生は生きる縁を得ることで180度変わる。だけど負い被さって懐いた子はやがて成長し遠くに巣立っていくだろう。それも又人生。煌めく日々の運動会と対置される少年時代の遠出の追憶。博多太鼓と連なる宮川のディゾルフ乱れ打ちは切られ無惨。投票
D★3酔いどれ天使(1948/日)三船山本も格好つけ過ぎで本物のヤクザには見えない。大体、自滅しゆく男は放置すればいいのであってヒューマニズムの医者は余分だし多分に形骸的。闇市セットも造形美には遠く、ましてや独表現主義的幻想シーンのチンケさをやだ。風化した名作。投票(1)
D★2次郎物語(1941/日)戦中の作品だと割り引いても雑い出来だと思う。同時代の『路傍の石』とセットで上映されることが多かったが格の違いは歴然だった。ただセンスはともかく100本近いプログラムピクチャーを撮り最後は香港に流れて史馬山と名乗った島耕二は敬愛する。投票
D★0小島の春(1940/日)
D★0姿三四郎(1943/日)
D★0わが青春に悔なし(1946/日)
D★0青い山脈・続青い山脈(1949/日)
E★5羅生門(1950/日)脚本の徹頭徹尾なロジカル構成に対し、演出のパンフォーカス多用の人物配置は当意即妙で、パッションとエロスの発露に稀代の才能が2枚揃い、リリカルな瞬時の詩情をカメラは変幻に抽出する。真の天才的職人たちの奇跡のコラボレーションは最早伝説の領域。投票(3)
E★5麦秋(1951/日)ルーティーンから半歩外したキャストの仄かな新風も完膚なきまでの手法の絶対世界で牛耳られる快感。編集リズムの極致的快楽のみでも個人的には全き小津ベスト。豊穣な侘び世界は辛らつな寂びの詠嘆に連なる。その諦観は真に美しい。投票(2)
E★5雨月物語(1953/日)田中よりは案外に水戸光子が切ないのだが、やはり真に圧倒的なのは京マチ子宮川一夫であり、両者が3年前の『羅生門』とリンクする形で戦前戦後の巨匠を同期させたことに映画史上の因縁を思わずにいられない。奇跡と思う。投票(4)
E★5東京物語(1953/日)戦後小津フィルモグラフィ中、物語へ準拠が形式への拘泥と拮抗し、感情吐露が諦念と併置された点で『東京暮色』と双璧。スタティックな構図と華麗なカッティングのリズムの錯綜。そして、熱海での眠れぬ夜を海辺で過ごす老親への想いが絶対強度を付与。投票(1)
E★5近松物語(1954/日)溝口のと言うより日本映画の頂点を極める独立最高峰。宮川が印画した滋賀山中の朝靄と水谷が誂た商家の薄暗い奥座敷での衣擦れ。依田がセットする偶発の運命翻弄と沈殿の底より浮び上るパッショネイトな意思の昂揚と堕ちる悦び。至宝の融合。投票
E★4生きる(1952/日)正直、この男の生き様の温さが反転するにせよ、汚濁に塗れのたうつレベルにも達せぬ公園事案の弾けなさで、一寸デカダンしてみたり純情に触れたり程度のままごとも終盤の時間軸の解体再構築で醒めた視点に晒される。そこでコペルニクス的に映画は様を変える。投票(3)
E★4七人の侍(1954/日)侍集めのシークェンスは面白く最後の雨中の決戦は確かに凄いが、どう黒澤を擁護したってここに出てくる農民達は左ト全を始めとしたキャスティングを含め卑屈すぎやしないか?長焦点のレンズを安易に使いすぎるのも手法的な統一感を欠いている。投票(3)
E★4浮雲(1955/日)敗戦の荒廃と虚無の中、仏印→東京→屋久島と流されて行く2人の離反と吸着を繰り返しダメになっていく腐れ縁の遣る瀬無さが堪らない。中盤の伊香保温泉の煌きが誘う新たな地獄。投げやりな高峰秀子の表情が目に焼き付いている。終盤の道行きは圧巻。投票(4)
E★4夫婦善哉(1955/日)微速度での崩落が際どくも真の地獄へと至らぬのは、何とでもなるやろという開き直りがあるからなのだが、それを主役2人の演技が裏打つ。特に中途半端なな生き様を歯切れ良き台詞廻しで演じた森繁が神業。スタッフワークも堅牢。投票(3)
E★4夜の河(1956/日)この毅然と自立した価値観に立脚した女性の往き方というのは若干今更でもあるが、ハイクオリティの宮川映像と山本富士子の熱い情とクールネスの混在と古都の染物屋という閉鎖社会の雰囲気描写の3者の結合には惹かれる。そういう映画だ。投票
E★4人間の條件 第1部純愛篇・第2部激怒篇(1959/日)馴れ合えばいいものを組織の中でモラルと正義を貫くということは、裏返せば我を通すということである。それが如何に絶望的に困難な道程であるかを執拗に描き続ける9時間作の初篇で又烈迫の気合いが漲る大陸もの戦争映画の正統派代表作。投票(2)
B:『足に触った女』『彼をめぐる五人の女』『忠次旅日記』『お嬢さん』 C:『明治元年』『旅は青空』『また逢う日まで』『祇園祭』『大菩薩峠』『人生劇場』『兄いもうと』『股旅千一夜』『蒼氓』『阿部一族
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このPOVを気に入った人達 (13 人)HW Santa Monica づん sawa:38 トシ ぱーこ ぽんしゅう 寒山拾得 町田 くたー ペペロンチーノ tkcrows