[POV: a Point of View]
最後のアウトロー 追悼、原田芳雄”タテオ!ちんぽ立っちょるかよ!”・・・「祭りの準備」より
長髪にレイバン、ジーンズ姿。そんなヤクザ、見たことなかった。60年代から70年代へ、大きな転換期を迎えた日本社会が連続性を喪失したのと呼応するかのように、原田芳雄は今までのアウトロー像をひっくり返し登場し、斜陽にあえぐ日本映画界のなかを型破りなエネルギーを発散させながら80年代まで一気に突き進む。しかし、壮年期を迎えた90年代、原田的アウトローは主役の座から退き、どこか居心地悪そうに映画のなかの片隅にいた。しかたあるまい。隆盛から破綻へと向かうバブル騒動のなか、社会に飼い慣らされた中年男はみな従順な羊になり下がり、男盛りの原田が演じるに値する年相応のアウトローなど日本のどこにも居なかったのだがら。そして、最後の10年。ライバル刑事に同情されるアル中の初老のスリ。娘の恋に業を煮やして現れる幽霊。妻の積年の思いに絶句する老医師。商店街の復活を画策する引退した老店主。晩年の原田はエネルギーの燃え残りを燻らせながら、社会や制度からはみ出したじろぐ老人役がよく似合った。日本映画界、不世出のアウトローであった。
■ニュー・アウトロー時代(A:1968〜74 B:75〜79 C:80〜84) ■彷徨えるアウトロー時代(D:85〜89 E:90〜94 F:95〜99) ■翳を引きずるアウトロー時代(G:2000〜04 H:05〜11)
A | 八月の濡れた砂(1971/日) | 懺悔の値打ちもない神父 | [comment] | |
A | 田園に死す(1974/日) | 本家の奥さんと駆け落ちする情夫 | [comment] | |
A | 新宿アウトロー ぶっ飛ばせ(1970/日) | 裕福な家庭に育ちながらマリファナ密売する直 | [comment] | |
A | 野良猫ロック 暴走集団’71(1971/日) | フーテン集団のリーダー、通称ピラニア | [comment] | |
A | 告白的女優論(1971/日) | ? | [comment] | |
A | 赤い鳥逃げた?(1973/日) | 先行きの身の振り方に悩む無頼漢、宏 | [comment] | |
A | 竜馬暗殺(1974/日) | 中岡慎太郎といがみ合う長髪にドタ靴の坂本竜馬 | [comment] | |
A | 反逆のメロディー(1970/日) | 立花組の再建に乗り出す組長の弟、哲 | [comment] | |
A | 修羅雪姫 怨み恋歌(1974/日) | アナーキスト徳永乱水の弟で貧民窟の医者、周介 | [comment] | |
A | 復讐の歌が聞える(1968/日) | |||
A | 若者は行く −続若者たち−(1969/日) | |||
A | 関東幹部会(1971/日) | |||
A | 無宿人御子神の丈吉 川風に過去は流れた(1972/日) | |||
A | 無宿人御子神の丈吉 黄昏に閃光が飛んだ(1973/日) | |||
A | 無宿人御子神の丈吉 牙は引き裂いた(1972/日) | |||
B | 祭りの準備(1975/日) | 町のゴロツキ、トシちゃん。ばんざーい! | [comment] | |
B | 悲愁物語(1977/日) | プロゴルファーれい子の恋人でゴルフ誌編集長の三宅 | [comment] | |
B | さらば映画の友よ インディアンサマー(1979/日) | 学生に会場を占拠される映画祭の主催者 | [comment] | |
B | オレンジロード急行(1978/日) | 誘拐事件に発展した自動車泥棒を追う源田刑事 | [comment] | |
B | 裸足のブルージン(1975/日) | 親友のボクサーの命日にひょっこり現れた山本 | [comment] |
■未登録作品・・・『関東流れ者』(71)、『塹壕』(71)、『夕映えに明日は消えた』(73)、『反逆の旅』(76)、『夜が崩れた』(78)、『大地の砦』(78)、『盗写/250分の1』(85)、『あいつに恋して』(87)、『フライング 飛翔』(88)、『ラスト・フランケンシュタイン』(91)、『中指姫 俺たちゃどうなる』(93)、『陽炎2 KAGERO』(96)、『おんな 国衆一揆』(02)、『天皇の世紀』(10)、『マンホールチルドレン』(10)
この映画が好きな人達このPOVを気に入った人達 (11 人) | 動物園のクマ tredair いくけん 浅草12階の幽霊 DSCH uyo worianne トシ KEI ペペロンチーノ tkcrows |