コメンテータ
ランキング
HELP

3819695さんのコメント: 点数順

★5ラルジャン(1983/スイス=仏)世界最強の映画の一本であることは間違いない。この世の99パーセントの映画は『ラルジャン』に1ラウンドKO負けを喫する。なんとか12ラウンド戦い抜くことができる映画でさえ数えるほどしかないだろう。映画の極限。人間の極限。世界の極限。[投票(5)]
★5赤ちゃん教育(1938/米)このキャサリン・ヘプバーンは完全に頭がおかしいのだが、笑いすぎてこっちの頭もおかしくなりそうだ。世界一笑える映画。とんでもない前衛映画。ケイリー・グラントとヘプバーンの能力の高さをまざまざと見せつける映画。ホークスが史上最も聡明な監督であることを証明する映画。[投票(5)]
★5サイコ(1960/米)忘れ去られた場としてのモーテルの、罪や穢れを「洗い流す」はずのシャワールームで起こる惨劇。目指されているのは恐怖の量ではなく、質だ。撮影・演技・音楽・編集・舞台・小道具、ヒッチコックの指揮の下それらすべてはひたすら恐怖の純度を高めるべく按配される。 [review][投票(5)]
★5流れる(1956/日)大大傑作。もう壮絶に面白い。相変わらず撮影も美術も最高度にすばらしいのだが、それすらも意識化されないほどに女優たちの演技が凄すぎる。 [review][投票(5)]
★5硫黄島からの手紙(2006/米)「映画」が現実の再現の場に甘んじたことなどかつて一度たりともないのだから、確かに時代考証の面などにいくつかの「間違い」を含んでもいるこの映画に対しては、比類なき空間演出家イーストウッドが硫黄島という特異な空間を舞台にいつもどおり肩の力を抜いて仕上げた傑作にすぎないと云ってみせるのが適当だろう。 [review][投票(5)]
★5ペイルライダー(1985/米)なんと峻厳な映画。それはイーストウッドの演出のためだ。なんと崇高な映画。それはブルース・サーティースの撮影のためだ。神話の映画。あるいは、映画の神話。 [review][投票(5)]
★52001年宇宙の旅(1968/米=英)現在においてはこの映画がかましているコケオドシの大部分は既に無効になっていると思うし、その堂々としたコケオドシぶりに少々しらけてしまう気持ちがないでもないが、それでも傑出した作品であることに揺るぎはない。 [review][投票(5)]
★5ビッグ・フィッシュ(2003/米)虚構らしいいいかげんさを嬉々として演じるユアン・マクレガーの風情がよい。女優たち(ジェシカ・ラングヘレナ・ボナム=カーターアリソン・ローマンヘイリー・アン・ネルソン)も皆すばらしい。 [review][投票(5)]
★5東京物語(1953/日)どうしようもなく胸を引き裂かれる。小津における「物語」の最高到達点。 [review][投票(5)]
★5父、帰る(2003/露)非の打ちどころのない傑作。アンドレイ・ズビャギンツェフは水面の揺れさえも操っているかのようだ。オーソン・ウェルズ市民ケーン』以来の最高の処女作か。 [review][投票(5)]
★5冷たい雨に撃て、約束の銃弾を(2009/香港=仏)「この路線は一旦終了する」というジョニー・トー自身による言明があるように、今度こそ作家本人にも行き着くところまで行った感覚があるのだろう。しかし、それにしても、あの『エグザイル/絆』さえも超えた作品が易々と繰り出されたことの驚きは大きい。現在、世界最高の銃撃演出家はジョニー・トーである。 [review][投票(4)]
★5羊たちの沈黙(1991/米)ジョディ・フォスターアンソニー・ホプキンスの指が一瞬触れ合うだけのことをクライマックスに仕立ててしまう究極のプラトニック・ラヴストーリーに、これもまた究極の「肉」欲たるカニバリズムが不断に襲いかかり、かくして映画は無謀に美しい均衡に支配される。真の「アメリカ映画」は常にアメリカを脅かす。 [review][投票(4)]
★5丹下左膳餘話 百萬両の壷(1935/日)万人に愛される親しみやすさと巨視的にも微視的にも緻密な構成美を誇る最幸の親馬鹿映画。一般に「逆手の話術」と呼ばれる技法は台詞設計の妙である以上に、山中が「カッティング」の秘める可能性を知悉していた証左として理解したい。省略的に場面を割るカッティングによって現出する、美しき「溺愛」の情景。 [review][投票(4)]
★5リミッツ・オブ・コントロール(2009/スペイン=米=日)初めてジャームッシュの本当の本気を見た思いだ。絵画的に突き詰められた「ショット」の映画。ショットの映画を目指すなどということ自体が時代錯誤の振舞いなのだと批判する向きは当然あるだろう。しかし古典に学びつつ常に最新型の映画を提示しつづけてきたジャームッシュの選択を軽く見ることはできない。 [review][投票(4)]
★5雪之丞変化(1963/日)傑作だろう。他の作品では裏目に出ることも少なくない市川崑の特異な美的感覚が、ここではことごとく面白さに繋がっている。それはやはり悪趣味なものでもあるのだが、悪趣味もこの種のものであれば、「映画」はこれを歓迎する。 [review][投票(4)]
★5暗黒街の弾痕(1937/米)超傑作。ラングはリアリズムとは遠く離れたところでリアルを生み出す。放射状に伸びる鉄格子の影。ヘンリー・フォンダと神父ウィリアム・ガーガンの悲劇的な心の行き違いを覆う霧。荘厳な光の差し込む神話的風景の森。これらこそがこの映画の情動にとってのリアルなのだ。 [review][投票(4)]
★5ゲームの規則(1939/仏)無限に豊かな混沌。ひとつの画面で複数の物語が繰り広げられる、眩暈を覚えるほどの多重性。これもまた「世界」の映画だ。 [review][投票(4)]
★5タバコ・ロード(1941/米)常軌を逸した狂騒コメディ。なのだが、これはフォードの映画なのだから当然ただそれだけのわけはない。コメディの体裁をとっているので一見表立ってはいないが、たとえばここでの「家族の崩壊」は『怒りの葡萄』におけるよりもよほど深刻に捉えられているのではないか。 [review][投票(4)]
★5白熱(1949/米)一分の隙もない傑作。ものすごいスピード感だ。それは物語の展開という意味においても、個々のアクションという意味においても。刑務所の作業場・食堂やラストシーンにおける三次元性を強調した空間設計にも痺れる。 [review][投票(4)]
★5駅馬車(1939/米)世界最高水準の見事な空間演出。『バルカン超特急』を「最高の列車映画」と云うのと同様の意味で、「『駅馬車』は最高の駅馬車映画である」と云うことができる。 [review][投票(4)]