コメンテータ
ランキング
HELP

水那岐さんのコメント: 投票数順

★3薔薇の葬列(1969/日)60年代のサイケムーヴメントの徒花として在るだけの逆説的オイディプス劇。これがシリアスなゲイの描写でない以上、画面は限りなく『ゲバゲバ90分』に近づく。若きピーターの美貌に0・5点上乗せ。[投票(3)]
★5少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録(1999/日)あらかじめ失われた王子によって呪縛された少女たち…「共犯者」たちの解放の物語。TVで語られたそれとは別であり、先鋭的でよりラディカルに産み直された世紀末のお伽話。(永井豪『バイオレンスジャック』のネタバレもあり) [review][投票(3)]
★4皇帝のいない八月(1978/日)至純の右翼は美しさに通じ、至純の左翼は鈍クサさに通じる。どちらが素晴らしいというものではない、ただ見かけだけだと山本薩夫は見抜いている。双方が怪物的成長を遂げるに至り、例外なくファシズムの唾棄すべき怪物へと姿を変える。国を憂える者は国の中枢から遥かに遠ざかった者だけだ。[投票(3)]
★5機動戦士ガンダム III めぐりあい宇宙編(1982/日)オーギュスト・ルノワール画集の担当者を驚嘆させたという安彦良和の神業的デッサンが円熟期に達し、アニメ界屈指のフェロモンを発していた頃の傑作。アムロが、セイラが、シャアが、そしてララァが躍動し輝きを放つ。人物とメカニックの漫画的色気はいまだに後続の追従を許さない。 [review][投票(3)]
★4長崎ぶらぶら節(2000/日)生涯処女たることを義務づけられた女優。その存在に嫌悪感をおぼえる人もいるだろう。だが、そのために老いを隠すことをしなかったこの作品の吉永には嬉しさを隠し得ない。 [review][投票(3)]
★1仁義なき戦い(1973/日)カメラは建造物を写さない。ただ男たちだけを追いまくる。「パヤヤ〜、パヤヤ〜♪」の下卑てセンセーショナルなトランペットの旋律とともに、過剰な血を吹き上げてあっけなく男たちは死んでゆく。 [review][投票(3)]
★3どん底(1957/日)貧すりゃ鈍す、と世間で言う。なるほど、例外もあるだろう。だが、妙に悟りきったコトバで貧民窟の和を保とうとする左卜全、あれは何もかも知り尽くした者の目、修羅場を渡ってきた者の目を持っている。 [review][投票(3)]
★3十九歳の地図(1979/日)本間は独善的な似非テロリストだが、随分とつまらぬ怒りを胸にたぎらせ、吐き出す場所を探しているあたりは自分との恥じ入りそうな共通点である。そのトランキライザーであったのが、情けない、しかし確実に「オトナ」である蟹江だったことは間違いなかろう。 [review][投票(3)]
★3海と毒薬(1986/日)遠藤周作の原作がそうだったように、これも極めて宗教的な映画である。戦中、未だ、「自分は無宗教だ」とイキがることもできなかった若者が人体実験に怯えたように、これを観た観客は「神の領域」を冒すことを怖れるのだろう。だが、この映画では無感動になってゆく若医者のほうがナチュラルに感じられた。 [review][投票(3)]
★4愛の亡霊(1978/日=仏)生きている者の想いを手繰り寄せれば、その想いを理解できぬことはない。だが死者に辛く当たろうと懇願してみようと、その真の想いに辿りつくことはできない。男は妻が憎かったのか、愛し続けていたのか。妻がああなることを男は望んでいたのか。全ては現世に生きる者たちの勝手な解釈で量られる。 [review][投票(3)]
★4にあんちゃん(1959/日)苦しさを叫ばない。つねに前を向いている。刹那だけの美しさを選んだ『火垂るの墓』の兄妹とはあきらかに別のベクトル上にこの兄妹はいる。たとえ進んでゆく道が変な方に曲がっていてもやり直しはきく、そのことを本能的に知って「生きる」。 [review][投票(3)]
★3モスラ MOTHRA(1996/日)「語らざるべきを語るな、語るべきを語れ」。それさえ守れば捨てたものでもないのだが。 [review][投票(3)]
★3楢山節考(1983/日)山奥の寒村社会に内在する厳然たる掟。しかもそれがムラ社会の構築に不可欠なのだから、これは断じて悲劇ではない。そうなのだが…。 [review][投票(3)]
★3けんかえれじい(1966/日)愛する浅野順子を思い、いきり立つ一物を涙で抑えながら男の喧嘩道を突き進む高橋英樹は最高にカワいかった。だからこそあの終わり方は納得できない。 [review][投票(3)]
★4太陽の墓場(1960/日)夕陽に照らされた貧民街のバラック群のノスタルジックな奇観。そこに生きる人々は分不相応な欲望によって死と隣り合わせに生きている。その中でチンピラになり切れない若者・佐々木功の子犬のような瞳がなんとも哀しい。しかし、ラストは…。 [review][投票(3)]
★4無理心中 日本の夏(1967/日)ひとつの思考実験としての試み:あなたに武器を渡します。それを持ってあなたは何をしますか?試験官:生の側・色情少女ネジ子。死の側・白人青年ライフル魔。 [review][投票(3)]
★4幕末太陽傳(1957/日)フランキー演じる居残り左平次の痛快な小悪党ぶりに心が躍る。世が世なら大人物になっていたかもしれない労咳男の哀しい運命を引きずりつつ、「てやんでえ、俺は生きてやるんだ!」とずうずうしい生きざまを貫き通す様には涙を誘われる。[投票(3)]
★3赤ひげ(1965/日)他人の骨を折って、「うん、医者ともあろう者がこーいう事をしてはいけないっ!」三船よ、冗談なのか本気なのか判らないところが怖いぞ。 [review][投票(3)]
★4黒い雨(1989/日)戦争は既に終わり、希望を詠う歌が街にはあふれているのに、田中好子の脳内の時計は止まっている。忌むべき日の残滓は否応なしに隣人を蝕み、フィクショナルなほどの死の連続がやり切れない螺旋を描いて彼女に纏わりつく。 [review][投票(3)]
★4砂の女(1964/日)蟻地獄のように砂穴に男を誘う魔の女を、「他人の顔」では都会の女を演じた岸田今日子が土俗的に演じた。彼女そのものでしかない存在感を持ちながら、広い芸域を持つ彼女には感嘆する。望まずして岡田英次を湿ったエロスの牢獄に幽閉する、彼女はある意味での怪異であろう。[投票(3)]