トム・クルーズの映画ファンのコメント
けにろんのコメント |
ナイト&デイ(2010/米) | 60年代ハリウッド製ロマンス・アクションの最良形での復刻であり、フランケンハイマーを彷彿とさせるアクション演出の重量感も好ましい。そして、白馬の王子願望の成就が行き遅れ感あるキャメロンにより成される現代へのキャッチーなセンスこそ肝。 | [投票(1)] | |
M:i:III(2006/米) | 釣瓶打ちの見せ場の連鎖は近年の常套とも思うが、冒頭のシーンが山葵の如くに効いてくる構成は端折るという意味が入念に考慮されてると思う。バチカンと上海のシークェンスに流れる濃厚な『カリオストロ』臭や「マクガフィン」等一々喜ばせてくれる。 | [投票(4)] | |
アウトサイダー(1983/米) | ミュージカル・暗黒街・戦争とコッポラは意図的にオーソドックスなジャンルを踏襲してきたのだから、この不良ものの内容的陳腐さには確信的だった筈。なのに『ワン・フロム』の人工世界の形骸を引きずり反動からか描法に意欲見られず半端で弛緩したまま。 | [投票] | |
マイノリティ・リポート(2002/米) | プリコグによる予知が、ああいう具体的映像になる発想をした時点で負けてる。それをパズルみたいに絵解きする様は子供っぽすぎて萎える。喪失感を薬で埋める虚無感がもっとハードに突き抜けて欲しいし、2段構えの構成の後者が余分に見えちまうのも痛い。 | [投票(6)] | |
タップス(1981/米) | 少年達が守ろうとするものが旧時代の軍事的遺物である点をアイロニカルに掘り下げて問題提起でもしてくれるならまだしも、ブラッドパック街道まっしぐらのモロ商業路線に乗っかった代物として提供されると戸惑う。何より編集が小賢しく鼻につく。 | [投票(1)] | |
ミッション:インポッシブル/フォールアウト(2018/米) | 珍奇なハイテクや生温いバディ感に陥ったシリーズの隘路を肉体の酷使やローテクの容量超えの活用により打破する試みであるのだが、一方で非情の信義則とでも言うべき正しき殺戮にも言及。どう見せるかでなく内実が見せ方を選ぶ重厚なアクションの連鎖が快楽。 | [投票(3)] | |
ラスト サムライ(2003/米=ニュージーランド=日) | カスター大虐殺に立ち会いウィンチェスター社を指弾する男が遙か最果ての国とは言え近代武装化の一翼を担う、又英語を取得し進取の気性に富む男が近代化に反旗を翻す。こういうアンビバレンツな感情機微を十全に描けてないから、ラストがどっちらけに白ける。 | [投票(8)] | |
オール・ユー・ニード・イズ・キル(2014/米) | リセッタブルな運命なんて糞食らえだが、こうまで過剰にリセットしまくりだと、ギャグ臨界線上での均衡がスリリングに感じられ、反復の省略術が基本に忠実で巧緻なのも快感神経を刺激する。演出は安定感が出るもスピルバーグ2作のもろ影響下なのが露骨。 | [投票] | |
ワルキューレ(2008/米=独) | 異形となり世界に背を向ける。なるほど『Xーメン』にも通底するブライアン・シンガーらしい被虐感。一方で確定された結末へ向け消えゆくカタルシス。シナリオはそれに代わるものを見出せていない。正か負かへの舵取りが中庸で凡庸だからだ。 | [投票(1)] | |
M:I−2(2000/米) | イーサン・ハントが女ごときにメロメロになっちまうのではスパイの風上にもおけなく全然クールじゃない。見せ場が独自で遊離し物語と有機的に結合してない。しかも、何よりトム・クルーズの体技は編集でいくら取り繕ってもままごとにしか見えない。 | [投票(2)] | |
卒業白書(1983/米) | どんなくだらない題材であろうと映画にして悪いわけではないのだが、くだらないならくだらないなりの身の振り方というものがあるわけで、馬鹿丸出しなら笑って済む。あっち側に行ききらないなら努力してでも馬鹿になれと思う。時代に呑まれ阿っているのだ。 | [投票] | |
宇宙戦争(2005/米) | 日常に突如襲い来る非日常の切り込まれる手際の鮮やかさと倍加するカタストロフの怒涛の展開には確かにテロが対岸の火事で済まなくなった時代を表象して傑作。しかし、だからこそ、後半では原作の枷を外し同時代性を追求して欲しかった。怠慢だと思う。 | [投票(6)] | |
トップガン マーヴェリック(2022/米) | そうせざるを得ない遂行方途を馬鹿にする無能上司に抗い俺について来いの還暦親爺の若者掌握が凡庸なベタに留まり反転昇華しない。普通すぎる。世界のリアルから遊離したプラスティックな原子炉爆破ミッションはまんま『スター・ウォーズ』のデススター攻撃。 | [投票(7)] | |
ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル(2011/米) | アクション連鎖とコンゲーム的丁々発止が同期するドバイシークェンスを頂点に映画は停滞色が強まる。レアの退場も痛かった。以降、映画はエロスとバイオレンスが廃され挙句お子様映画化し、スペクターもどきの小粒な悪役はパロディでない分尚アホらしい。 | [投票(8)] | |
インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア(1994/米) | バンパイアが日常に介在する18世紀の退廃と闇と死の匂いが肝要だが、そこは、まあ欠点も無く美術も豪奢だ。ただ、やっぱ違和感は配役。ピットとバンデラスは根っからやおいの匂いが皆無。能天気クルーズのみが異様な輝きを放つが闇も遠ざかる。 | [投票] | |
オブリビオン(2013/米) | まあ、一応ビジュアルは良しとしても、フリーマン以下の面々が物語的に機能せずで寧ろ妻への想いの純度を薄め切なさを拡散。で、彼らがいないとしても、このネタは余りに近年で多く語られハードルが高い。そして案の定、超えてない。健闘作だが志は低い。 | [投票(7)] | |
レインマン(1988/米) | 疾走する車から見る架橋の光の燦ざめきどまりの娑婆感覚。場当たりなカジノシーンでしか活きない天才設定。投げ棄てられたビジネスの苦境。杜撰な構成が無理矢理お涙で隠匿されそうな不快感。ただ、こんなに甘くはないということは作り手は分かっていそうだ。 | [投票(2)] | |
ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023/米) | アクションの建て付けに驚くほど新しいものが何も無いのだが、それが最早伝統芸の家元とでも言うかのような泰然自若の佇まいを獲得。キャッチーな自走AIネタは瞬く間に放逐され「鍵」という物理的「モノ」の争奪に擦り替えられる。古式床しいマクガフィン。 | [投票(3)] | |
ロック・オブ・エイジズ(2012/米) | 清清しいバカップルのルーチン物語が80年代ポップスに乗り『ウエスト・サイド』張りに3重唱を奏でた序盤で射られる。カッティングは60年代ミュージカルの正統継子で、マイノリティへの共感と行ってこいのクライマックスは『ヘアスプレー』の合せ鏡。 | [投票(3)] | |
ジャック・リーチャー NEVER GO BACK(2016/米) | 来りて去りなむの定番展開がもはやパロディに迫る域に達している。汎用型フランケンハイマーなズウィック演出に卒はない。女性を相棒にして濡れ場無くスピーディーで打撃と関節技に重きを置いた殺陣も好調。これは500円のちょい美味仕出し弁当。 | [投票(3)] | |
ザ・エージェント(1996/米) | 崖っぷちエージェントにポンコツ選手を配し再生が2重構造になっているのが巧妙で両者が絶妙に補完し合う。クルーズのハイテンションパフォーマンスへの転換点。ゼルウィガーのキュートな哀感も相性抜群な正統派シチュエーションコメディ久々の快打。 | [投票] | |
コラテラル(2004/米) | プロ中のプロが心許してしまうにしては、タク運ちゃんは単なる夢見野郎に過ぎず、それをトムに看破される件が実は最も物語ヴォルテージが昂揚するのに構造をも破綻させるというパラドックス。設計図の描き方が甘い。垂れ流され続ける音楽も安い。 | [投票(2)] | |
ミッション:インポッシブル(1996/米) | 『スパイ大作戦』リニューアルバージョンにデ・パルマとは打って付けの人選に思え、実際、マルチスクリーン等のケレンがはまり、兎にも角にも欧州系俳優2人の参画で60年代冷戦下スパイ映画のムードは復刻された。惜しいのは後半のCG三昧だ。 | [投票(3)] | |
アウトロー(2012/米) | ダサいカットバックに疑念を感じる冒頭だったが、やはりトムのキャラ把握の的確とカリスマは大したもんだと思わせる。一瞬の躊躇を挿み軽くコードを超える「やってもた」感が快感。久々のデュバルの闊達とウッソーなヘルツォークの配置が妙だ。 | [投票(4)] | |
アイズ ワイド シャット(1999/米) | 最先端の過激度は無い替わりに極上の器が用意され、鬼面人を驚かすハッタリの替わりに揺れ動く心の襞の細部をも精緻を凝らして描くキューブリックの新局面と思われたのに…。クルーズとキッドマンのかけ合いには後期ベルイマンの匂いがある。 | [投票(6)] | |
マグノリア(1999/米) | 日常の営為の中で人は皆悩みを抱えて生きているが、それだからこそ愛おしいのだということを高らかに宣言してるかのよう。寓話的体裁に挟んだ錯綜する数時間という構成の妙もさることながらカメラワークの高度な達成。淡彩役者陣の中の劇薬クルーズの妙。 | [投票(1)] | |
アザーズ(2001/米=仏=スペイン) | パンニングを始めカメラオペレーションに意味を持たせ得たロジックは感じたし屋敷の外景を含めたロケーションも堪能したが、それでもやはり世界反転の卓袱台返しの記憶冷めやらぬ時期の同工異曲には頷ぜ得ないものを感じる。そういう意味で不運な出自の作品。 | [投票] | |
ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション(2015/米) | 何だかスパイ大作戦から行路を経て007に行き着いちまったみたいな今更言うのもなんだが虚しさを感じるのはスペクターみたいな大雑把な敵役のリアリズム。最高ランクのレベッカを得ながら野郎同士の友情とやらにかまける。バイクチェイスのみ勃つ出来。 | [投票(1)] |